■においのもととなる「菌」は、熱に弱い!
ここまで、酸素系漂白剤で殺菌するつけ置きノウハウを紹介しましたが、じつはもう1つ殺菌する方法があります。それは菌に「熱」をあてること。洗濯前に熱湯をかける、乾いた後にアイロンを当てるなどが該当しますが、生地によってはいたみや劣化の原因になることもあるので、やはり初心者にはつけ置きが安心なのではないでしょうか。
■「戻り臭」対策は?
練習中にウエアから雑巾のような嫌なにおいが発生してしまう「戻り臭」が気になるお母さんもいるのでは?個人のウエアだけでなく、共用のビブなどもプレーしているうちにだんだん臭くなったりしますよね。「それは、汚れが落ち切っていないことで衣類の中にとどまっていた菌が繁殖することが原因です」と洗濯王子。プレー中の汗ではなく、残った菌が汗などの水分を栄養にして繁殖することが原因なのだとか。驚くべきことに、本来汗は無臭です。ウエアがしっかり除菌され、清潔な状態であればどんなに汗をかいてもさほどにおうこともないそうです。
ということで、やはり対策法は除菌・殺菌。前述の50℃つけ置きで一度しっかり菌を取り除きましょう。
■白いアンダーウエアやタオルの黄ばみも気になります
酸素系漂白剤液のつけ置きは、だんだん黄ばんでしまう白い衣類をよみがえらせることも可能ですが、白さをさらに際立たせるためには「蛍光剤」入りの粉末洗剤を使って洗濯するのも手段のひとつです。最初から白い生地というものはじつは存在せず、白い衣類にはもともと蛍光剤が含まれていますが、洗濯を繰り返すうちにその蛍光剤が少なくなっていくそうなので、補充するという感覚でしょうか。
白い衣類を白くするもう一つの裏技アイテムも教えてもらいました。それは、「クエン酸」。粉末の酸素系漂白剤で漂白した衣類は弱アルカリ性に傾いており、漂白後のすすぎの時にクエン酸を使うことでそれが中和されたときに白さが際立つそうです。
■カビが発生してしまった衣類も復活させたい!
残念ながら、一度生えたカビには酸素系漂白剤液のつけ置きは対策にならないそう。また、こすり洗いなどでカビを取って見た目にはなくなったように見えても、「根っこ」は残っているためすぐにまたカビが生えてしまいます。
白いタオルなどであれば、思い切って塩素系漂白剤を使えばカビの撃退も可能です。酸素系漂白剤と違い、塩素系漂白剤は色素を破壊してしまうので色柄ものには使えないのですが、除菌力は上。また、黄ばみにも効果てきめんです。そういった理由から、タオルやアンダーウエアは塩素系漂白剤で徹底的に菌を撃退することを前提に、白いものを選ぶのも賢い選択かもしれません。
長引いた梅雨が明けて洗濯物がにおいがちなシーズンは過ぎましたが、夏はこれからが本番。雑菌が繁殖しやすい季節もまだまだ続きます。洗濯は私たち母親ができるサポートのひとつ。子どもたちがきれいに洗いあがったウエアを着て、さわやかな気持ちでサッカーをしてくれますように!
【プロフィール】
中村祐一さん(なかむら・ゆういち)
長野県伊那市のクリーニング店「芳洗舎」三代目。 「洗濯王子」の愛称で呼ばれ、知っているようで、知らない洗濯の知識を わかりやすく伝える洗濯アドバイスの達人。 現在は、テレビ・雑誌・講演等で活躍する他、東京都内に「センタクスタジオ」を オープン。洗濯や染み抜き、アイロンがけなどを実演しながら行う洗濯教室を開講中。 http://www.sentaku-yuichi.com/
取材・文・写真/小林博子