サッカー豆知識
2020年4月 2日
新年度から8人制にも本格適用! 新ルールをおさらいしよう!! <後編>
日本では8月から適用され始めた2019/20年の競技規則改正。VARの導入などに影響されて、またもや大きくルールが変更されました。国際的には2019年6月1日 から適用されています。Jリーグでは2019年8月2日の第21 節から適用されており、新ルールに慣れてきた人も多いことでしょう。
しかし、草の根でサッカーをする子どもたちの試合では、まだ適用しきれていないのでは? 日本サッカー協会は、U-12となる小学生年代が主に行う8人制サッカーのルール改正適用を「遅くとも2020年4月1日」と定めており、新年度からすべての大会でルール改正が適用されることになります。競技者としてはまだ新ルールに慣れていないという子どもたちもたくさんいれば、審判員として新ルールに自信がないという監督やコーチ、保護者の人たちも多いことでしょう。
ハンドや交代など多くのルールが改正された今回の新ルールについて、2月に発売したサカイク初のMOOK「サカイクBOOK 親子で一緒に楽しむ サッカー技術3分ペアトレーニング」でご紹介いたしましたが、ご覧になっていない方のためにも改めて紹介。
後編では、PKやFKの変更点に加え、少年サッカーの現場にはほとんど影響はないと思いますが、プロの試合で注目の「VAR」解説などをお届けします。新年度を迎える前におさらいしておきましょう。
<<前編:【これまでとの変更点】明確化されたハンドの規定、ゴールキック、交代のルール
■ペナルティーキック時のGKの立ち位置に注意
ペナルティーキックに関してもルールの改正がありました。大きな影響を受けるのは、主にGKとなります。
これまでGKは、ペナルティーキック時にはゴールライン上に立たなければいけませんでした。キッカーがボールを蹴るまでは、両足共にゴールライン上になくてはならず、ゴールラインよりも前方もしくは後方に立つことは認められていませんでした。
しかし今回の改正では、「少なくとも片足の一部をゴールラインに触れさせているか、ゴールラインの上に位置させていなければならない」と、変更になりました。つまり、セービングのために片足を先に踏み込めるようになったのです。片足を前に出すことを許されたのですが、そのルールに反すると警告となってしまうので注意が必要になります。
これを判定する審判員も注意が必要で、片足がゴールラインに接触していなければならないわけでなく、ゴールライン上にあればルールの範囲内となっています。つま先立ちになってカカトを浮かせている状態でも、浮いている足の部分がゴールライン上に あれば問題ありません。一見、ゴールラインより前方にいるように見えてしまいますが、審判員はしっかり確認するようにしましょう。
■FK時の壁で陣取り合戦は禁止
フリーキックのルールも変更になっています。フリーキックが蹴られるまで、相手競技者は9.15メートル以上離れなければいけません。8人制なら7メートル以上となっています。このルールはこれまでと変わっていません。
相手競技者はこのルールに則り、シュートコースを限定するために離れた位置に複数人で立って"壁"をつくります。これもルール上は何の問題もありません。しかし、近年ではGKの視界をさえぎろうと、味方競技者が"壁"の間に割って入ろうとして、ボールとは関係のないところで争いが起こっていました。それを防ぐために、味方競技者に対するルールが追加されました。
「守備側の競技者が"壁"をつくったとき、すべての攻撃側の競技者はボールがインプレーになるまで"壁"から1メートル(1ヤード)以上離れていなければならない」という新しいルールが加わりました。GKの視界を隠しても良いが、"壁"での陣取り合戦はやめましょうということが決まりました。
攻撃側の競技者がこのルールに違反した場合には、守備側だったチームに間接フリーキックが与えられます。せっかくのチャンスをふいにするだけではなく、ボールを相手にやすやすと渡してしまうことになるので、十分に気をつけましょう。
■みんなが興味津々! 注目のVAR解説
これまで各国で試験導入されていたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)ですが、Jリーグでも今季から正式導入されることになりました。草の根でサッカーをする育成年代には、このルールが関係する機会はほとんどありませんが、興味を持っている人が多いと思われますので、簡単に解説します。
まず、VARは映像を使って主審を補助する審判員を指します。ピッチ脇のモニターで映像を確認する行為は、「オンフィールドレビュー」と言い、VARとは言いません。また、VARを補助するAVAR(アシスタントVAR) という審判員もいます。
VAR導入の目的は、「はっきりとした、明白な間違い」または「見逃された重大な事象」をなくすためです。オフサイドの判定など誰の目で見ても明らかな事象では、オンフィールドレビューを行いません。
それでは主審が映像で確認するのは、どういったときでしょうか。それは主審の判定内容とVARの見立てに、差異があったときになります。ペナルティーエリア内で競技者同士の接触はあったが、主審がプレーを続行した場合、アウトオブプレーになると同時に、主審はオンフィールドレビューを行うでしょう。その映像を見てファウルかノーファウルかを判定します。しかし世界的に見ても、その数はまれです。それほどプロの審判員たちは明白な間違いを起こさないのです。
少年サッカーではVAR使う機会はないと思いますが、プロの試合ではどんな場面でどんな判定をされているのか、保護者で審判員を務める人も優秀な審判員たちの動きなどをまねてみるのも良いでしょう。
■コイントスなどにも変更あり。その他の変更点は?
その他にも、今回の改正で変更になったルールがあります。
着用するアンダーシャツの色は、ユニフォームの袖部分と同じ色や柄でも良くなりました。
それに、監督やコーチなどベンチにいるチーム役員にも、警告や退場が掲示されることになりました。指導者などで試合中にベンチに座る人は、言動や行動などに注意しましょう。
ピッチ外のルールで言えば、給水のための「飲水タイム」と体温を下げるための「クーリングブレーク」が明確化されました。
そして、キックオフを決めるコイントスでは、これまで勝ったほうが前半に攻めるゴールを決めていましたが、今回の変更では、前半に攻めるゴールか、またはキックオフを行うかを決めることになりました。
その他にも細かい改正はありますが、まずは押さえておかなければならないものを抜粋して解説しました。
今回の改正でも、普段見ている11人制と普段やっている8人制で、違いのあるものがあります。変更をしっかりと把握をして、 正しいレフェリングをできるようになりましょう。
<<前編:【これまでとの変更点】明確化されたハンドの規定、ゴールキック、交代のルール
サッカー競技規則2019/20
日本サッカー協会のHPにてご覧いただけます>>