サッカー豆知識
2024年7月 2日
部屋干しの噂、ウソ? ホント? 洗濯王子に聞いたサッカーの練習着を速く乾かす方法
梅雨の洗濯物がにおう問題を解決すべく、洗濯王子として活躍する洗濯家の中村祐一さんにお話をうかがったところ、「部屋干しのにおい対策は干し方ではなく洗い方」と、予想を覆す事実が。
梅雨の時期はにおいもですが、「なかなか乾かない」ことも悩みの種。前日の帰宅後すぐに洗濯したのに朝になっても乾いてない、今日も練習なのに...... ということも多々あります。
そこで今回は、中村さんの部屋干し方法を教えてもらいながら、よく聞く「部屋干しトリビア」について、そして洗濯にまつわる噂にもお答えいただきました。
(取材・文:小林博子)
<<前編:部屋干しのにおい対策は「干し方」ではなく「洗い方」!洗濯王子に聞いた、におわない洗濯のコツ
■知りたい「部屋干しのコツ」
「洗濯で汚れがしっかり落とせていれば、梅雨時の部屋干しでも洗濯物がにおってくることはない」と、正しい洗濯方法をおしえてもらった前回。
筆者も取材翌日から「3つの量を守って3回すすぐ」こと(詳しくは前回の記事へ)を実践し、かなりの効果を実感しています。
大前提として、汚れが落ちていれば乾きにくくてもにおってはこないことは理解しつつ、せっかく綺麗に洗えるようになったのだったら、より効果的な干し方もあるようであれば知りたい、そんな思いで部屋干しのコツも教えてもらいました。
■部屋干しのコツは、早く乾かす条件を最低1つ満たすこと
洗濯物が早く乾くには、
・温度:高い方が乾きやすい
・湿度:低い方が乾きやすい
・空気の流れ:ある方が乾きやすい
という3つの条件があり、そのうち最低1つは満たすことが「早く乾くコツ」になる、と中村さん。どんな場所に干すかよりもどうやって干すかが大切だと教えてくれました。
・家の中で室温が高いところ(日が当たる部屋など)
・換気扇が近くにあり、つけっぱなしにできるところ(ただし料理の油煙がつきやすいキッチンはNG)
・人の往来があって風の流れがあるところ
・除湿機の近く
・扇風機やサーキュレーターの近く
などが該当します。
「人が快適に過ごせるところが洗濯物が乾きやすい場所の目安。昼間の南向きのリビングルームや、エアコンが効いて温度や湿度が適切に保たれた部屋などがおすすめです」(中村さん)
とはいえ、雨でじめじめした日に洗濯物がたくさん干された部屋ですごすのがやや不快という声も。そんなときは、洗濯物を干す部屋にエアコンで除湿したり、サーキュレーターで風を当てたりして、早く乾かす条件を備えましょう。
■洗濯王子が「常に部屋干し」の理由
スポーツをするお子さんがいるご家庭のパパでもあり、洗濯のプロである中村さんは、実は家庭の洗濯物は常に部屋干ししているという衝撃の事実が。
「洗濯物は外干しがベスト」と思っている親御さんたちも多いのではないのでしょうか。なぜ中村さんが常に部屋干しなのか理由を伺いました。
「部屋干し自体が悪いことではないからです。お伝えしたように、しっかり洗濯でしっかり汚れを落とせていればどこに干しても大丈夫です。部屋干しする環境をある程度整えることはもちろん必要ですが、"いつ干してもいい"ということが、洗濯ストレスを大きく減らしてくれています。外干しだと干すタイミングに制限が生まれますし、排気ガスや土ぼこりなどの汚れがついたり、直射日光による衣類の染色へのダメージなども。常に部屋干しすると決めてしまうと、洗濯がとても楽になりますよ」
そんな中村さんがおすすめするのは、家の中に「部屋干しスポット」を設けてしまうこと。場所は前述した環境下のほうがいいのですが、家事動線がラクで干しやすいところを優先してもOKなのだそう。
例えば洗濯機の横にホームセンターで購入した突っ張り棒をつけて干すスペースにし、サーキュレーターや除湿機を下に置いておくなど。可能であればぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
■本当? 早く乾かす裏ワザ5選の真偽のほどは?
この時季になると各メディアでよく見かける梅雨の部屋干し対策のあれこれ。「本当に?」と思ってしまう裏技も多々あります。
そこで、部屋干しでも、洗濯物を早く乾かす裏ワザについて、 中村さんに本当かどうかを伺ってみました。
1.脱水の時に乾いたタオルを入れる
2.干す位置を工夫する
3.洗濯物の上下に新聞紙を置く
4.洗濯物を裏返して干す
5.アーチ干しする
出典:部屋干しでも、洗濯物を早く乾かす裏ワザ5選(ウェザーニュース) より
その① 脱水の時に乾いたタオルを入れる
→脱水時に乾いたタオルを入れることで、タオルが水分を吸って洗濯物が乾きやすくなる
中村さん「せっかく乾いていたタオルが湿ってしまうことを引き換えにするほどの時短にはならないので、あえて入れる意味はないと思います」
その② 干す位置を工夫する
→湿度は低い位置に集まる性質があるため、なるべく高い位置に干す
→窓際より、空気の流れがある部屋の中央に干す
中村さん「これは"YES"です。早く乾く条件にも当てはまります」
その③ 洗濯物の上下に新聞紙を置く
→除湿効果がある新聞紙を、洗濯物を干した部屋の床に置いたり、洗濯物の間に挟んだりする
中村さん「あまり意味はなく、片付ける一手間も増えてしまいおすすめとは言えません。何より、新聞紙があるご家庭は今は少数派では?」
その④ 洗濯物を裏返して干す
→縫い目やポケットが外側になるように裏返して干す
中村さん「これはいいと思います。空気に触れる面積を増やせば早く乾きます」
その⑤ アーチ干しする
→長いものを両端に、短いものを真ん中にし、アーチ形に干す
中村さん「これも空気が通りやすくなるので正解です。早く乾く工夫の1つですね。ただ、必ずそうしなくてはいけないわけではないです。」
■サッカー少年少女の父母からの疑問に回答
目からウロコが何枚も落ちるほどの洗濯ノウハウを教えてくれた中村さんに、サッカー少年少女の保護者が気になる質問をぶつけてみました。
Q1:洗濯物がどうしてもにおう場合に使うといいものは?
中村さん「いきなり漂白剤や抗菌剤などをつかうのではなく、まずは3つの量と、3回のすすぎの徹底を。それだけで解決することは多いです。一回洗って落ちなければ、2度3度洗って蓄積した汚れをしっかり落としてみましょう。それでも臭った時に初めて、漂白剤や抗菌剤の使用を検討しましょう」
Q2:泥汚れをきれいに落とすには?
中村さん「3つの量をしっかり意識して洗うだけでかなり落ちるはずです。泥汚れなどは物理的に揉まれたり、叩かれたりした時に落ちやすいので、洗濯機の中でしっかり回転しこすられたり、叩きつけられたりといった動きがでるように、衣類や水の量を調整してください」
Q3:洗う時間の目安は?
中村さん「最低10分は必要ですが、20分以上は汚れが戻ってくる可能性があって逆効果。長ければいいわけではありません。サッカー少年少女の親が最も気になるであろうソックスで【洗い】の時間を15分前後を目安にしてください」
Q4:洗剤の酵素は水につけてから30分後から働くと聞いたことがあるのですが
中村さん「酵素が働くには温度、水分、時間が必要です。そのため、洗剤を溶かした40度程度のお湯に30分~2時間ほど浸けおきするというのが酵素入り洗剤の使い方として一般的です。ただし、この家庭用の洗剤の場合、酵素の力よりもお湯の力で今まで落ちていなかった汚れが落ちているということも多いです。酵素を使うことを考えるよりも基本の3つの量とすすぎを見直すほうが先です」
Q5:40度のお湯に浸けおきして洗ってもにおいます
中村さん「どのタイミングでにおっているのか? を確認してみましょう。使う前や使った直後ににおう場合、まずは基本の洗濯の見直しを。一度で落ちなければ2度3度繰り返して蓄積した汚れを落とします。もし、着ているときまではにおわずに着て少し経ってにおうのならそれは着用によるニオイなので、着替えをすることや、抗菌剤を活用してにおいにくくするなどの対策になります」
Q6:夜洗ったら、部屋干しと夜の外干しのどちらかが正解ですか?
中村さん「夜は意外と外の湿度が高いので、温度湿度が快適に保たれた室内なら部屋干しのほうが早く乾きます」
Q7:汚れた衣類は早く洗った方がいい? 雨の日の濡れたユニフォームなどは翌朝まで洗濯を待たない方がいいのではと思ってしまいます
中村さん「早く洗わなくて大丈夫!早く洗うよりも、洗う時にきちんと基本の洗濯をすることが大事。翌朝ぐらいだったら汚れ落ちやにおいに大きな違いは生じません。ただし濡れた衣類をそのまま置いておくとカビの発生が心配。洗う前に通気性のいい場所に干しておくなどはしておいたほうがいいでしょう」
Q8:乾かなかった衣類を超特急で干すにはどうしたらいい?
中村さん「時間があるなら扇風機の風をあててみてください。全く時間がないならドライヤーの温風や、アイロンに頼ってください」
■汚れをしっかり落とせれば、洗濯にまつわる悩みは全部解消
さまざまな洗濯の基礎知識や裏技を伺いましたが、結局は「洗濯で汚れをしっかり落とす」がどんな問題も解決する基本中の基本なのです。
まずは「3つの量を守って3回すすぐ」そこを見直すことから。基本をおさえてきちんと洗濯で汚れが落とせれば、梅雨シーズンはもちろん、これからの洗濯ライフは確実に快適になりそうです。毎日の家事が楽になると、気持ちもぐっと明るくなりますね。
面倒だったサッカーの練習着やソックスの洗濯も楽になって、親の負担も軽くなります。ぜひみなさんも次回の洗濯から実践してください。
中村祐一(なかむら ゆういち)
洗濯家。長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。「洗濯から、セカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきたパイオニア。「衣・食・住」における「衣文化」の革新に取り組む。洗濯という側面から、よりよい暮らし方、よりよい社会への変革を目指す。「洗濯王子」の愛称で、テレビ・雑誌など各種メディアにも多数出演。