■覇気、自主性、気持ちがない子どもには、オンとオフのメリハリをつける習慣を
さて「覇気がない、自主性がない、気持ちがない」と最初に書きましたが、これらは日本人特有の問題なのでしょうか。じつは今ドイツでも大きな問題になっています。
子どもを巡る環境は大きく変わってきています。たとえば友達との交流手段もソーシャルネットワークでの関係が必須事項で、小学生でも片時もスマホを手放せず、つねにメッセージのやり取りをするのが普通になっています。気持ちが絶えず周りの何かに依存してしまい、物事とまっすぐ向き合って集中して取り組むことができない。地方都市ではまだ緩やかですが、ベルリンなどの大都市ではこうした問題は顕在化してきていると言われています。
注意力が散漫になりがちな生活環境の中で育つと、昔のように“がむしゃらに”何かに取り組む下地が欠けてしまうことは、事実あるとされています。だからこそ、家族で協力して、オンとオフのメリハリをしっかりとつけられるようになることが重要なのでしょう。遊ぶときと学ぶとき、サッカーに取り組むときと友達とふざけるとき、スマホやTVゲームに興じるときとそれらと距離を置くとき。
「言っても子どもだからわからない」
そんなことはありません。ドイツの研究報告によると、何かに依存することの怖さ、切換することの大切さは小学生でもしっかりと認識し、自分で解釈し、対応しようとする能力は備わっています。今日言ったことが明日、急にできるということはありません。でも何度も繰り返し伝えていくことで、ふと、目に見えた変化として出てくる日が必ずきます。
大事なのは、やっていいこととやってはいけないことの線引がぶれないこと。そして子どもだけにその線引を適用させず、親やコーチも同じように取り組む努力をすること。スマホをいじりながら子どもに「ツィッターはやめておけよ」といっても説得力はありませんから。