発育期の子どもにおこりやすいスポーツ障害の一つが"ひざの成長痛(オスグッドシュラッター病)"です。その成長痛について、筑波大学大学院でスポーツ医学を教え、トレーナーとしても多くのトップアスリートをサポートしている白木仁教授にお話を伺いました。白木教授直伝の、長く競技を続けていけるように、その予防方法や、お父さん・お母さんのサポート法をお届けします!
■膝の成長痛って?
小学生~高校生になると、よく耳にする「成長痛」。一言で成長痛といっても、ひざやかかといったさまざまな部位で、その症状がでてくるようです。
「成長痛はかかとや腰骨にも起こります。その中でも"ひざ"は、非常に負荷のかかる場所です。動きが大きく、(屈伸やジャンプなどで)強力な力で負担をかけるため、筋肉をよく使う部位ということもあり、ひざの成長痛が注目されています。特に、小学校高学年から15歳くらいまでの運動の活発な子どもにおきやすいですね。また、ひざの成長痛を発見した外科医の名前から、オスグッド・シュラッダー病などと呼ばれることもありますので、基本的には、ひざの成長痛=オスグッドと理解していただいていいと思います」
■成長痛(オスグッド)は、どうして起こるの?
そもそもオスグッドは、どうして起きてしまうのでしょうか。そのメカニズムを簡単に教えてもらいました。
「身体におこる成長のスピードは、組織(骨、筋、腱など)によって異なってきます。骨が活発に伸びるときに、筋は遅れて成長していきます。ひざには、お皿のような骨(膝蓋骨)がありますが、その骨は大腿四頭筋と膝蓋じん帯がくっついており、この骨が伸び、軟骨が骨化していくところで痛みがおきるのです。特に、サッカーの場合は蹴るスポーツなので、大腿四頭筋を使うために痛めてしまうのです。骨化するときに骨がはがれてしまうなど、症状が悪化してしまう場合には、骨化を促すように、膝の下に穴をあけて発育を早めることもあるのです」
■子どもの「痛い」は重要なカギ
成長痛(オスグット)が起きても、外傷ではわかりません。その症状を見分けるには子どもたちの「痛い」の声です。
「小学生の場合は『痛い』と口にしたら注意してみましょう。『痛みを感じることもあるけれど、プレーは平気』、ということであれば、そこまで深刻に考えなくても大丈夫です。また、『サッカーはできるけれど、ボールを蹴ると痛い』というレベルであれば、病院で診察を受けましょう。『痛い』と口にするようになったときに、走れなくなってしまっている状態だと、症状が悪化してしまった場合があります。