体重の50~60%は水分。この内たったの1~2%が減少しただけでも、運動パフォーマンスは低下してしまうとか。冬場でも水分補給を怠らず、ベストなコンディションを保ちましょう。
Q:冬でも水分補給は必要なの?
A:もちろんです。「脱水症」というと、何となく夏をイメージしますが、それは勘違い。冬場でも、体内の水分は失われています。冬場の水分補給の注意点としては、そもそも水分を摂ろうという気にならないこと。サッカーをしていてもあまり汗が出ることがないので、ついつい水分補給がおろそかになってしまうのです。
Q:なぜ水分補給が風邪の予防になるの?
A:人には、鼻や喉の粘膜に生えている線毛が、ウィルスを外に排出し、風邪などを防ぐ「線毛運動」というシステムが備わっています。この線毛運動は乾燥に弱いため、体内の水分量を保つことが風邪の予防に繋がるのです。冬の風邪予防には、人の粘液に近い成分を持つスポーツドリンクを、冷やしすぎないのが理想的です。
Q:効果的な水分補給の頻度や方法は?
A:運動中は20分に1度が理想。少なくとも、30分に1度は水分補給をしたいところです。量の目安は100~150mlですが、飲みたいだけ飲んでもOKです。飲む量は夏場よりも少なくていいので、定期的に飲むことを心がけましょう。試合や練習の前は、開始30分前に300mlを飲み、直前にトイレに行っておくと、いいコンディションで臨めます。
■スポーツドリンクは水分補給の強いミカタ!
水を飲むよりも、電解質や糖分が入ったスポーツドリンクのほうが、運動中の水分補給には効果的。体内への吸収も早いので、慌ただしい試合中の水分補給にもピッタリです。
田地陽一(たち・よういち)先生//
鎌倉女子大学家政学部管理栄養学科准教授。日本女子大学非常勤講師。筑波大学大学院博士課程医学研究科修了。医学博士。日本栄養・食糧学会参与。専門は栄養学、スポーツ栄養学、運動生理学、分子生物学。東京武道館健康体力相談室でスポーツ相談員を経験。著書に『栄養生化学』(メヂカルフレンド社)、『動く、食べる、休むScience』(アイ・ケイコーポレーション)、『臨床栄養管理ポケット辞典』(建帛社)などがある。
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写真/小川博久