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子どもの疲れやケガを防ぎパフォーマンスを高めるには?
夏は特に重要!コンディション維持のために知っておきたい プロテイン摂取の落とし穴と賢い食事法
公開:2023年6月14日
管理栄養士で公認スポーツ栄養士である横山笑子さんに伺う、汗と栄養摂取の関係。Part1では汗で流れ出てしまうビタミン補給の大切さを、Part2では賢く十分なビタミンを摂取するためにはサプリメントを味方につけるべきだということをご紹介しました。最終回となる今回は「とはいえ食事も超大切!」ということと、最近の子どもに多いプロテインとの付き合い方にはコツがあることを教えてもらいました。
■食欲が落ちる夏こそ「サプリメントさえ飲めば安心」はNG!
暑くなってくると一気に落ちていくのが食欲。つるんとした麺類ばかりを欲したり、食べられずとりあえず食べられるものだけでOKにしたりと、栄養面での心配が高まります。
前回・前々回の解説では、エネルギー産生のためにはビタミンB群をバランス良く摂取することが欠かせないものの、夏は汗で流れ出てしまうため、意識して摂る必要があることについて解説しました。そこで頼りたいのはサプリメント。賢い選び方もご紹介しています。
では、サプリメントを毎日飲んでいればビタミンをはじめとした栄養摂取は完璧なのでしょうか。答えはNOです。
「栄養の吸収に欠かせないのは"食べる"ことです。顎を使って咀嚼すること、それにより唾液が分泌されること、おいしく味わうことは、栄養を体が吸収するモードになるために重要な働きかけになります」と横山さん。サプリメントはあくまで「栄養補助」の位置付けにといわれる理由はそこにあるのだそう。
特に「唾液」には消化酵素であるアミラーゼが含まれ、夏の食欲減退の理由の1つである消化不良を防いでくれる役割も持ち合わせています。
■栄養摂取はチーム戦!
また、ビタミンBは「B1」や「B2」などの単体で意識するのではなく、「B群」としてバランスよく摂るべきであることを前回お伝えしましたが、それはビタミンに限らずすべての栄養素にもいえること。5大栄養素(タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル)の1日の必要量を五角形のグラフにするなら、「正五角形」であることが最良です。どこかが欠けてしまうとその分他の栄養素も引きずられるようにバランスを崩してしまいます。
サプリメントでビタミンとミネラルをどんなに補っても、タンパク質や脂質、炭水化物が摂れていないとエネルギーになりません。これも「食べる」ことが重要な理由です。
■できる限り「バランスよく」する献立のコツ
自宅で食事作りをする親御さんが無理なくできる栄養バランス維持のコツを横山さんが教えてくれました。その方法は「目で見て足りなさそうなところを追加する」こと。
例えば、そうめんを用意したら、タンパク質が足りなさそうだったら冷製の豚しゃぶや納豆、冷奴を添えるなど。野菜やフルーツ、海藻もなければ簡単な1品を追加するだけでOKです。
また、「色」に着目するという方法も。赤・緑・黄色・黒・白のものが1食で摂れればOKとする考え方です。前述のそうめん(白)に、大葉(緑)とごま(黒)を加えるなどがその方法です。
■プロテインを飲むなら、その分他の栄養素もプラスして
ちなみに、プロテインの摂取は、前述した「バランス」を崩しやすいデメリットもあります。タンパク質を手軽に大量に摂れるのがメリットのプロテインですが、多く摂った分、他の栄養素もしっかり摂らないとむしろデメリットになってしまうそう。
「最近の子どもはプロテインを摂っている子が多いのですが、摂取したタンパク質を分解・吸収するにはやはりビタミンB群をはじめとした栄養素が相対的に必要になります。タンパク質だけを多く摂り、他の栄養素のバランスが悪いと肝臓や腎臓に負担をかけてしまいます」とのこと。横山さんによると「お子さんのタンパク質摂取は食事で必要量になるのがベスト」だそうです。
ここでもやはり、「栄養バランス」が肝心。成長期の子どものために積極的にプロテインを取り入れているご家庭は、「その分さらに他の栄養素も必要になる」ことを心得ておくとよさそうです。
■栄養が摂れているかの判断基準は?
サプリメントや食事で十分な栄養摂取ができているかの判断方法も教えてもらいました。
「栄養がしっかり摂れているかどうかは、血液検査をして調べることがベストな選択肢ですが、なかなか難しいですよね。血液検査以外では『症状をみる』ことが有効です。栄養状態は本人のコンディションに現れるので、お子さんであれば聞くことで判断しましょう」と横山さん。
「疲れにくくなった」
「いつもよりたくさん走れた」
「体が軽くなったように感じる」
「授業に集中できた」
などの言葉がお子さんから出たら栄養状態はきっといいはず。「昨日あれを食べたから今日は調子が良かった」というところまで子ども自身がわかるようになるのが理想です。
「できれば、食べたものをノートに記して、コンディションがどうだったかの観察日記をつけられるといいですね。日本代表で活躍してきた選手の中には、子どもの頃からそれを実践していたという方もいます。栄養摂取に限らず、自分の体に興味を持つことや、記録すること、観察して改善を試みることなど、大人になっても役立つスキルばかりです」とのこと!
食べたものやコンディションを話すことで、親子のコミュニケーションが1つ増えるほか、子どもが自分の食や健康に興味を持つという生きていく上で大切なスキルアップにもつながります。いいことずくめではないでしょうか。
今年の夏も猛暑が予想されます。「伸びる夏」にするためには健康第一。有意義な夏を過ごせるよう、食事とサプリメントを強い味方につけていきましょう!
●横山笑子
公認スポーツ栄養士・管理栄養士・調理師
保育園、小・中学校給食センター、総合内科を経て 16 年勤めた産婦人科を退職 。2021 年 12 月よりフリーランスで活動開始。「選手は栄養でパフォーマンスが変わる」という熱い思いで実業団やアスリートのサポートや地域の食育講演活動、小・中・高校の教育講演やアスリートの栄養セミナーを行っている。その他、鹿児島でスポーツ栄養部会を発足し、若い栄養士の育成にも注力している。
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