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あなたの支え合う心が、子どもの成長を加速させる
子どもが捻挫⁉︎ あなたはどうする? 親でも実践できる5つの対処法
公開:2016年1月25日 更新:2016年3月 7日
子どもがスポーツをする上で心配なことのひとつにけがの問題があります。多少のけがは、「元気な証拠」と笑い飛ばすくらいの心構えも必要ですが、骨折や打撲、捻挫など、これからの成長に影響を及ぼす可能性のある傷害は、親としても対処法を知っておきたいものです。
こくみん共済SCで子どもがプレーしている佐藤ともえさんは、チームのなかでは最年長の44歳。3人目の子育てで多少のことでは動じないようになっていますが、わが子がサッカーをプレーするのは初めてのこと。全速力で走ってきた選手同士が激突したり、シュートしたボールが体に当たったりする様子を見て、「思っていたよりも激しいスポーツなんだな」と思い直していました。
そんなとき佐藤さんの子どもが、試合中のプレーで捻挫をしてしまいます。(構成 大塚一樹 監修 金成仙太郎[国際スポーツ医科学研究所])
今回、読者の疑問に答えてくれる『こくみん共済SC』のメンバーはこの人
佐藤ともえ(44歳)
【職業】主婦 兼 個人事業主
【チームでの役割】最年長ママさん
【応援スタイル】[バランス配慮型]
周囲の状況を把握するのがうまく、何事も要領よくこなすタイプ。
息子がコーチに怒られたときはフォローを優先、プレーについての指摘は特にしない。
※このキャラクターはフィクションです。登場する人物、団体名は実物のものとは関係ありません。
※
■子どもがサッカーの試合中にけがをした! あなたならどうする?
「ちょっと、あそこで倒れてるよ。痛そうじゃない?」
「見てきた方がよくない?」
ある日の試合でうちの子が試合中にけがをしました。はじめのうちは他のお母さんたちの心配する声に「大丈夫、大丈夫。大げさなんだから」と笑っていましたが、しばらく時間が経っても痛がる様子は変わりません。
「しょうがないなぁ、ちょっと見てきます」
一度「大丈夫」と言ってしまった手前、少しの恥ずかしさもありました。それでも立ち上がった後も顔をしかめながらコーチの肩を借りてゆっくりとベンチに戻ってくるわが子を見て、急に心配になり私もベンチに向かいました。
「大丈夫?」
そう声をかけたのはいいのですが、座り込む子どもに何をしてあげれば良いのかわかりません。
痛めたのは右足。ゴール前の混戦でボールをクリアしようとして足をひねったようでした。すね当てを外し、くつ下を脱いだ息子の足首は少し腫れているように見えます。
(ええと、骨は折れていないと思うけど、素人判断は危険だろうし・・・・・・。こんなときは動かさない方がいいんだよね。冷やした方がいいんだっけ?)
「よーし、動かないいでそのまま、そのまま」
私が戸惑っていると、サッカー経験者でもあるお父さん、嶋津さんが氷のうを手にやってきました。
「これはたぶん捻挫だな。腫れてきそうな気配もあるから医者に行って診てもらった方が良いですが、まずは冷やしましょう」
嶋津さんは手慣れた様子で私と息子に交互に視線を送り、話しかけながらアイシングを始めます。
「すみません。どうしたらいいかわからなくて」
私がそう言うと、嶋津さんは氷のうを当て続けながら痛めた方の足を少し高くしています。
「大丈夫ですよ。結構痛そうですから、レントゲン撮ってもらってください」
後から聞いた話では、大学までサッカーをやっていた嶋津さんは自分もけがでサッカーをやめてしまったこともあって、けがへの対処方法をよく知っているとのこと。嶋津さんのおかげで、けがの発生直後に正しい応急処置をしてもらうことができました。
※
■覚えておきたいPRICE処置
その後、病院に行った佐藤さんの息子さんは「捻挫」と診断されます。骨に異常がなく、捻挫の程度も軽度で済み、ひとまずは安心といったところですが、佐藤さんには別の思いもありました。
この出来事がきっかけで、佐藤さんは嶋津さんのように応急処置くらいはできた方がいいかもしれないと思うようになりました。
手をついて手首を痛めるなどのケースもありますが、足を使ってプレーするサッカーのけがは自ずと下半身に集中します。中でも多いのが、捻挫と打撲でしょう。
応急処置の基本としてよく言われるのがRest(安静)Icing(冷却)Compression(圧迫)Elevation(挙上)の頭文字をとった「RICE処置」です。RICE処置については聞いたことがある人も多いかもしれませんが、最近ではこれにProtection(保護)を加えたPRICE処置という考え方も定着しつつあります。
まず、しなければいけないことは、現状を把握することです。そのためにはむやみに動かさないことが重要です。けがをした子どもの安全を確保し、守ることこそがProtection(保護)になります。Restは安静ですから、けがをした箇所はもちろん、とにかく姿勢をあまり変えず安静にすることが大切です。けがをしたらまずプレーを止めること。見るからに重傷の場合はそこから動かさずそのまま救急車を呼ぶなどの対応をする。それ以外の場合は患部を保護したまま、ピッチの外に出して応急処置を行います。
このとき、そのままプレーを続けてやっぱり痛くてダメでしたというのは最悪です。けがをしたらまず大人が近くに行って様子を見る。トレーナーははじめに目視で患部を確認する視診、次に話しかけて痛みや状態を確認する問診、その次に患部を触る触診を行いますが、お父さんお母さんであっても、簡単な視診と問診はできます。専門的な判断は医療機関を受診してからのことになりますが、まずはPRICE処置を念頭に、けがに接するようにしましょう。
捻挫や打撲の場合はIcing(冷却)が有効です。嶋津さんがしてくれたように氷のうに氷を入れて患部に当てて、冷やします。アイシングはずいぶん一般的になってきましたが、冷やす時間の目安は20分くらい。長時間そのままにしておくと凍傷を起こしてしまうので、冷たさをあまり感じなくなったら一度外して、感覚が戻ったら再度氷のうを当てるようにします。
同じように患部を圧迫することも重要です。Compression(圧迫)は、腫れや内出血を抑えるために行います。捻挫や打撲で目に見える出血がなくても、体の中で内出血が起きています。患部を圧迫することでこの出血をテーピングなどで止めるのですが、きつく巻きすぎると血流が止まってしまったり神経を圧迫したりする可能性があるので、子どもに患部の痛みや感覚を聞きながら強さを調整しましょう。
Elevation(挙上)は、患部を心臓よりも高いところに挙げて腫れを抑えるために行います。
以上がけがをしたときに行いたいPRICE処置になりますが、応急処置はあくまでも緊急時の対応策。痛みがなくなってもその日はプレーするのをやめて、なるべく早く医療機関を受診しましょう。
成長途中の子どもたちは、骨や関節がまだ柔らかい状態です。その場で痛みがとれた、腫れが引いたからと言って無理をしてしまうと成長の速度に影響を与えたり、その後の慢性的な痛みにつながる場合もあります。けがについては、正しい応急処置とその後の対応を学んでおくことが子どもたちの健やかな成長を見守ることにつながります。
※
子育てをしていれば、子どものスリ傷やキリ傷のひとつやふたつでいちいち騒いでられません。元気に遊ぶ子どもはヒザに傷があるくらいがちょうど良い。いつもなら「そんなの舐めとけば治る!」と言って放っておく私ですが、自分がしっかりと理解していないサッカーのプレー中のけがとなると話は別です。今後は何かあったときのためにPRICE処置くらいはできるように、しっかり勉強をしようと思いました。
■佐藤ともえさんのけがの保障に関する疑問
「今回は軽症の捻挫ということで、体への負担も少なく数回の通院で済みそう。でも、こういう場合の保険ってどうなっているの? できれば、入院や通院だけでなく、大きなけが(骨折やアキレス腱の断裂)の場合は、まとまった保障がある保険がありがたいです」
▼この連載の過去記事はこちら!
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構成 大塚一樹 監修 金成仙太郎[国際スポーツ医科学研究所]
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