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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
故障してサッカー辞めたい中1をどうするか問題
公開:2017年3月16日 更新:2017年3月21日
■同じ境遇から復活した人の話をして勇気を与える
三つめは、ケガから復帰したアスリートの話や、自分の好きなことをあきらめなかった選手の話を教えてあげてください。
精神的に辛いとき、自分と似た境遇や、共感できるものに出会えると、そのことがエネルギーになるのはよくあることです。
例えば今季、大学を休学して横浜のエスペランサSCからJ3のFC琉球に加入した玉川由というルーキーがいます。彼は中学時代、同じように成長期特有の膝の障害に悩まされ、ほとんど練習できなかったと聞いています。
しかも、一般入試で進学した早稲田大学では、サッカー部のセレクションに落ちてしまいます。それでもエスペランサで芽を出し、Jリーガーになったわけです。
以前話を聞いたとき「逆にけがもなく順調にいったら、プロになれなかったかもしれない」と彼は話していました。
挫折をしたぶん、可能性は逆に広がることがある。そんなことを私たちに教えてくれます。
また、手前味噌ではありますが、私の著書に『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』というノンフィクションがあります。県選抜で将来を期待されたバスケットボール選手が、中学3年生のときに脳出血で倒れながら、その後公式戦でシュートを決める話です。
彼を主人公にしたドキュメンタリーを、大学ラグビーで8連覇を遂げた帝京大学の選手が大学選手権決勝前に毎年のように観ていると聞きます。
会ったこともない他人の頑張りに勇気をもらうこともあるのです。
島沢優子(しまざわ・ゆうこ)
スポーツ・教育ジャーナリスト。筑波大学卒業後、英国留学など経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年よりフリー。『AERA』や『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。主に、サッカーを始めスポーツの育成に詳しい。『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実 そして少年は死ぬことに決めた』(朝日新聞出版)『左手一本のシュート 夢あればこそ!脳出血、右半身麻痺からの復活』『王者の食ノート~スポーツ栄養士虎石真弥、勝利への挑戦』など著書多数。『サッカーで子どもをぐんぐん伸ばす11の魔法』(池上正著/いずれも小学館)、錦織圭を育てたコーチの育成術を記した『戦略脳を育てる テニス・グランドスラムへの翼』(柏井正樹著/大修館書店)など企画構成も担当。指導者や保護者向けの講演も多い。日本文藝家協会会員(理事推薦)1男1女の母。
文:島沢優子
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