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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
このままだと終わる! とコーチに言われ息子落ち込む問題
公開:2017年7月26日 更新:2017年7月27日
体は小さくても、ボールの扱いが上手くてサッカーを楽しんでいた息子にライバル出現で状況が一変。コーチに「挫折を乗り越えないと終わる」と厳しい言葉をかけられ落ち込むわが子をどうサポートすればいいいのか悩んでいるママからのご相談です。
自身もサッカー少年少女の母として子育てした経験を持つ、教育・スポーツジャーナリストの島沢優子が、読者の悩みに答える『蹴球子育てのツボ』。今回は自信をなくして落ち込む子どもをサポートする親の心構えをアドバイスします。(文:島沢優子)
※写真は少年サッカーのイメージです。 質問者及び質問内容とは関係ありません
<サッカーママからの相談>
はじめまして、小学4年生 男子の母です。
息子は小学1年生からサッカーを始めました。ほぼ毎日サッカーに励んでおります。私はサッカー素人なので、うまいとかはわからないのですが、「ボールさばきは上手だよ」とコーチや周りの保護者にも言われていました。
本人もそういうことが自信につながり、自信満々で2、3年時代を送っていました。
4年になった現在、移籍組のそこそこ上手な子が何人か加入し、ポジション争いのような感じになり、私としては「切磋琢磨でいい環境かな~」と思っていましたが、どうも息子が悩んでいるようです。
息子は同学年の子どもより小柄で、足も速くない。ボール捌きがうまい子とはいえ、小さいので相手にボールを取られてしまうという状況が続いています。
コーチからも直接、「この壁を乗り越えないと、上手いだけの選手で終わってしまう」と言われました。本人も常にコーチに練習中や試合中に言われています。
コーチ自身が小学生で挫折し、プロを諦めたとのことで、そういった経験から息子に発破をかけているのも理解しているのですが、最近は練習後に泣いていたり、落ち込んでいることが多くなりました。
がんばって!としか言えない私。
厳しいコーチのもと成長を願う反面、つぶされてしまう事もあるんじゃないか、と考えてしまいます。私が心配しても仕方ないのでしょうが、親のサポートはどんなのがベストでしょうか?
<島沢さんのアドバイス>
ご相談いただき、ありがとうございます。
「このままでは上手いだけ、今の挫折を乗り越えないと終わる」ですか......。何を根拠におっしゃるのでしょうねえ? 少年サッカー界にはよくいらっしゃいます。まったく悪気はないのですが「このぶんじゃ中学じゃ通用しないな」とか「このタイプは小学生までだね」などと言われることがありますね。
そのように言われ、なおかつ息子さんが泣いたりする姿を目の当たりにすると、お母さんも不安になりますよね。お察しします。
ただ、そのコーチの方は日ごろからちょっとひと言多い方ではありませんか? そんなに深刻に受け止めなくてもよいかと思います。コーチも恐らくお子さんに期待しているのでしょう。
この場合、お母さんが自分の心を整える一番の処方箋は、コーチのネガティブな言葉を「聞き流すこと」です。一番大事なのは、お子さんが楽しくサッカーをすることです。お母さんは気にせずお子さんに「一つひとつのプレーに集中して楽しもう」と励ましてあげてください。
■子どもの頑張りを認め、気持ちに寄り添う
リクエストいただいた保護者のサポートですが、ベストかどうかはわかりませんが、子どもが落ち込んだときの心構えを三つほど挙げてみます。
ひとつめは「共感しても同化しない」ことです。
子どもが「コーチにこんなこと言われた」「こんなことができない」と泣いたりしたとき、お母さんはどんな態度で接しているでしょうか。
「そうか~。残念だったね。でも、○○は頑張ってるよね」
そのように彼の頑張りを認めて、気持ちに寄り添う。つまり彼に共感することが重要です。
「どうしたらうまくいくかな?次に練習に行ったときに考えてみたら?」などと励ましてもよいでしょう。
ただし、お母さん自身がわが子の気持ちに一緒にどっぷりつかってはいけません。親が「かわいそうに!こんなに頑張ってるのに!」と感情が同化してしまうと、息子が置かれた状況を客観的に観ることができなくなります。
辛い部分はありますが、困ったことがあれば、それを乗り越えたらまたひとつ成長できることも確かです。成長のプロセスだととらえて、見守ってあげられればと思います。
■目の前の結果にとらわれない
ふたつめは、受け身な考えをしないこと。子どもの成長にコーチの存在は欠かせませんが、すべてコーチ次第というわけではありません。この状況をもっと能動的にとらえましょう。ご相談の文章に書かれているように「つぶされてしまうのではないか」と親がとらえてしまうと、子どものほうも受け身になります。コーチの顔色をうかがったり、ほめられるのか、けなされるのかといった反応を気にするのではなく「自分がやりたいプレーを思い切りしてごらんよ」と声掛けしてあげませんか。
三つめは「まだ先(サッカー人生)は長いこと」を教え、小さな成長をほめてあげることかなと思います。まだ4年生ですから、これからきっと身長も伸びるし、体も大きくなるでしょう。試合に出られない、活躍できないと目の前の結果にばかり気を取られずに、例えば新しいフェイントを覚えたとか、利き足ではないほうでコントロールできるようになったなど、小さな前進を一緒に喜んであげてください。
文:島沢優子
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