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蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
少年団に不満爆発! 保護者は意見を述べてはダメなの問題
公開:2018年5月23日 更新:2018年8月11日
少年団のコーチがワンマンでチームが引っ掻き回されている。技術指導のレベルも低く、子どもたちも挨拶もできない、ダラダラ練習するなど人間的な成長も見られず、何のための少年団かと不満。保護者からコーチに意見したらぎくしゃくする? と悩むママ。みなさんのチームではどうですか。
サッカーママとして先輩の島沢さんが今回もご自身の経験をもとにアドバイス。コーチとポジティブな話し合いができる「ふんわり作戦」を実行してみてください(文:島沢優子)
※写真はサカイクキャンプのものです。 質問者及び質問内容とは関係ありません
<<運動神経よくない息子。親の期待だけで続けさせちゃダメかな問題
<サッカーママからの相談>
初めまして。小学校3年から少年団でサッカーをしている今年から新5年生になる娘の少年団の悩みです。
2年間所属してこの団についての思いとして率直に、
・コーチの指導力がないという不満
・コーチの資質に対する不満
・団としての統制がないという不満
・弱いという不満
があります。
コーチは1年生から6年生までのコーチが10名で構成されています。1~2年をCチーム、3~4年をBチーム、5~6年をAチームという構成で各クラスでコーチが3~4名指導しています。娘のチームのコーチは3名で、B~Aチーム一緒に子ども達もコーチの上がっていくシステムです。
その3名の内の一人に10数年コーチをしていただいているリーダー的な存在の方がいるのですが、サッカー経験者ではないこともあり、技術的な指導のレベルが非常に低いように思うのです。
それは仕方がないことだと受け止めているのですが、そのコーチがいることで、他のコーチがしたい練習ができなかったり 他のコーチは試合でのポジション決定権がなく、試合ごとにポジションを変更するのなど、一貫性がなく子どもたちが困惑している状況もあります。
一言でいえばワンマンなコーチにひっかきまわされている状況で、他のコーチは何も言えません。
このような状況下ですから、子どもたちはサッカーとしての基本技術が教えていないので身に付いていないですし、育成の観点からみた場合にも、チームで指導されてないので子どもたちは挨拶もきちんとできない、練習後のグランド整備をしない。(することの意味を教えられていない)練習に対する子どもたちの姿勢がよくない、だらだら練習をする。など、資質においても目に余ることばかりです。
なんのための少年団であるか疑問に思えます。
このような状況下のなかで、保護者から意見を述べたり、指導介入はしていません。基本まかせている観点から控えているというのが現状です。
また、新コーチがこのような状況下を変えたい、きちんと指導したいという志を持っていて、その方に1年前から指導してもらっているのですが、コーチリーダーから練習方法に対する言葉での批判や新コーチの練習参加を拒否するような態度をとられたり理不尽な扱いを受けています。
最近、保護者からもこのような状況を打開したい変えていきたいという声が上がっています。スポーツ少年団としての意義、あり方において保護者が意見を述べることはよいことなのでしょうか。述べることで、コーチとの関係がぎくしゃくしたり、子どもたちへの影響があってはと思い悩みます。
また進言したら団は変わっていくのでしょうか。子どもたちが楽しくサッカーができることが一番大切なことで、保護者の思いは封印したほうがよいのでしょうか。ご教示いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。
<島沢さんのアドバイス>
メールありがとうございます。
親御さんが、子どもたちのため真剣に少年団の在り方を考えていらっしゃる様子がうかがえます。
少年団は保護者とスタッフがともに活動を支えるものですから、親御さんたちも意見を言っていいと思います。例えばここ最近、日本大学アメフト部の悪質タックル問題が取りざたされていますが、同部における指導者と選手の過度な主従関係や部内の閉塞感を周囲の大人たちが問題視していれば不幸な状況にはならなかったかもしれません。
その意味でも、大人がみんなで議論していくことは非常に価値のあることです。
ただし、意見を言う前に、少年団に対する見方や評価をもう少し変える必要があるように思います。
まず第一に、少年団なのでスタッフの方々はプロではなく、あくまでボランティアで力を貸してくださっているということを理解してください。善意で毎週ピッチに足を運ばれている彼らに対する感謝とリスペクトを持つことが重要です。
現時点ではまだ「指導介入はしていません」と書かれていますが、指導や介入をするといった感覚は変えた方がいいと思います。
加えて、冒頭に「コーチの指導力がない」「コーチの資質」「団としての統制がない」「弱い」と四つの不満が書かれていますが、その四つがそろったジュニアのクラブは、Jリーグの下部組織でもなかなか見つけられないのが現実だと私は思います。
四つのなかでも、弱くて勝てないのが不満というのならば、お嬢さんに強豪クラブへ移籍することを勧めるしかありません。もちろんそのように親が決定権を握って子どもを動かすことは反対ですし、そもそも強いところでプレーすれば上手くなるわけではありません。
つきましては、二つのことをアドバイスさせてください。
■話し合いをポジティブに進める「ふんわり作戦」
もしコーチと保護者で少年団のあり方や運営について議論をしていくのであれば、最初に「どんなチームになってもらいたいか」をテーマに掲げてみてください。
つまり「少年団のミッション」です。みなさんが仕事や何かの活動をしていくうえでも、最初にミッションがあって、次に到達するためのビジョン、そしてその方法を具体的に考えていきますよね。
ご相談の文章を読んでいると、ミッションやビジョンに目を向けられておらず、現場のコーチらへの不満だけが渦巻いている。そんなふうに映ります。
コーチの誰々さんはこうしたいと思っているのに、こんなこと言われてかわいそうだよね......保護者同士でそんな若干ドロドロしたうわさ話に終始する少年団やクラブは少なくありません。そして、そのような話に加わる親が多ければ多いほど、話が長時間に及べば及ぶほど、強いクラブではないようです。
よって、まずは、前述した「指導介入する」といったものではなく「子どもが活動する私たちの少年団を、みんなでよりよいものにしていきませんか?」というような呼びかけをしてはいかがでしょうか。
いきなり「コーチがワンマンだからダメだ」などとネガティブに指摘するのではなく、話し合いの入口をふんわりとしたポジティブな空気で包むことをお勧めします。
私自身はいきなり本論から入りたいストレートな性格なので、それで失敗したことも数々あります(恐らく編集者はこれを読んで笑っているはず)。
痛い目をみているからこそ、この「ふんわり作戦」をお勧めしたいのです。
最初に司会者と書紀を決めます。
「○○コーチはどんな少年団にしたい?私は、子どもが全員楽しめる少年団がいいと思うな」そんなふうにポジティブな話題でスタートし、そこに集った大人が全員発言できるやり方で話し合っていけばよいと思います。
途中でしびれを切らせた私のようなお母さん(笑)が「話したいのはそういうことじゃないんだよね」などと言い出しても、慌ててはいけません。
「うんうん。でも、ちょっと待ってね。まずはみんながこんな感じだったらいいなあと思う少年団の姿を共有していこうよ」と言って、全員に聞いていきましょう。
そのようにして、民主的に、建設的に話ができることが理想だと思います。「民主主義」とは多数決でどんどん決めていくものではなく、少数意見をきちんとすくいあげて議論していくことです。
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