蹴球子育てのツボ ~サッカーで子どもは一人前になる~
2024年5月22日
息子が周りに酷いこと言われてるのに、「〇〇(息子)も言ってるからお互い様」と言うコーチに不信感を抱いてます問題
周りとレベル差がある息子。練習でチームメイトに「出来てない!」と言われ「行きたくない」と。コーチも事情を知っているのに次の練習の時「○○(息子)も言うほうだから、お互い様」という。
言った言われたの話じゃなく、チームメイトに「ポジティブな声掛けを使用して」で良くない? 指導者ってそこも踏まえて指導してくれるものでは? コーチに不信感です。というご相談。
今回もスポーツと教育のジャーナリストであり、先輩サッカーママでもある島沢優子さんが、これまでの取材で得た知見をもとに、お母さんにアドバイスを送ります。
(文:島沢優子)
(写真は少年サッカーのイメージ ご質問者様及びご質問内容とは関係ありません)
<<練習や試合を直前で休みたいと言い出す息子に疲れました問題
<サッカーママからの相談>
こんにちは。
息子はサッカーを習い始めてまだ4か月で、少し慣れてきたとはいえ、前からやっている子達とはレベルも違います。
そんな中、練習でチームメイトみんなに「出来てない!」と言われ、モチベーションが下がり、「次のサッカーは行かない。行きたくない」と言いました。
子どもの言う事なので、そこまで目くじら立ててるわけではなく、リーダーに経緯を話して、お休みするかもと伝えました。それはコーチの耳にも入っています。
次の練習の時に、コーチに「行きたくないって言っても、◯◯(息子)も言う方だからお互い様なんだけどね」と言われました。
私が思うのは、言った言われたの話ではなく、コーチがそこを踏まえて指導していただけないのか? ということです。
「出来てない」と言った子たちに「そうゆうのではなく、もっとポジティブな声かけしていこうよ!!」でいいんじゃないでしょうか。
親が口出すべきではないしお任せしてると思ってるので、練習中には口をだしたくありません。うちの子守ってよ! などとも思っていません。
ただ、息子を含め、チーム全員に注意するべきなのではないでしょうか?
それなのに「ん? お互い様なのに休むの?(笑)」みたいなニュアンスに聞こえたのでなにかモヤモヤして、コーチへの不信感で親の私がサッカーへ行きたくなくなりました。
少しですが、贔屓も見て取れる場面もあり、もう一つのサッカークラブは試合はなくとも、楽しくサッカー出来ていてるので、そちら一本にしたい気持ちです。
このようにコーチに不信感抱いてしまった場合は、親としてどのようにしてあげたらいいのでしょうか? 他の親御さんはどのようにしているのでしょうか?
<島沢さんからの回答>
ご相談いただき、ありがとうございます。
メールの文章だけでの判断なので、理解が届かない部分があるかもしれませんがどうぞご理解くださいね。
■今の状況を俯瞰で見てみるとわかってくる事があるかも
お母さんはコーチの指導について、言った言われたの話ではなく、ご自分の息子さんを含めチーム全員に注意するべきではないのか? と疑問を投げかけています。
もちろんその通りだと私は思います。ただ、もしかしたらお母さんの見ていないところで、見ていないときにコーチたちはそういった話をしているかもしれませんし、全体像はわかりません。
文章のトーンからみてずいぶんお怒りのようです。が、少しだけ冷静になって今の状況を俯瞰で見てみませんか。
この話、シンプルに言えば「あなたの息子さんも仲間に文句を言うことがあるからお互い様ですよ」ということですよね。お母さんにとって皮肉に聞こえたかもしれませんが、息子さんも負けずに言い返しているかまではわかりませんが、少なくとも言われっぱなしではないようです。
そこを踏まえて、まずはコーチの指導がいいか悪いかはではなく、息子さんの様子に注目してみましょう。
■言い返せるのはむしろ喜ばしいこと ただ、必要以上にレベル差を感じているのかも
息子さんは、仲間から「出来てない」と言われたことで傷ついたから練習に行きたくない、とお母さんに言った。お母さんは「子どもの言う事なので、そこまで目くじら立てていない」と書いています。コーチが言うには息子さんも言い返しているようだ。
であれば、それこそ目くじらを立てる必要はありません。それはある意味、喜ばしいことではありませんか?
サッカーを始めてまだ4か月で前からやっている子達とはレベルも違う。そのなかで息子さんなりに頑張っている。ただ、みんなが出来ていることがひとりだけ出来ない。ドリブル、トラップ、パス。サッカーにはさまざまな細かい技術があります。そのひとつひとつが劣っていることを、息子さんは必要以上に感じてしまい気持ちが落ちているのかもしれません。
まだ7歳です。そんなことは気にせずにどんどんサッカーを楽しめばいい。時にはけんかしたり、言い合いになるのも子どもの自然な成長過程です。
そのように受け止めて、息子さんにこう話してみませんか。
「何かが出来るとか、出来ないとかはお母さんはどうでもいいいと思ってるよ。サッカーを楽しむのが一番大切だよ。人の言うことなか気にせず、やってごらんよ」
■どうしても子どもの出来不出来が気になるなら、一度自分を見直してみよう
それでも出来不出来を気にするようであれば、いい機会です。一度お母さんの子育てを見直してみましょう。
お母さん自身が、何かが出来るか出来ないかを気にしていなかったか。建前ではなく、本音の部分で振り返ってみましょう。私自身、子どもが試合に出してもらえなかったとき、悔しくて悲しくて途中で家に帰ってしまったことがあります。帰途、情けないことに夫に泣きながら電話までしました。コーチの扱いがひどくて悔しい、と。
夫から「〇〇(息子)のほうが悔しいと思うよ」と言われ、はっとしたのを覚えています。
子どもは親が思う以上に、やさしい生き物です。親の望む姿でありたいとどの子も思っています。それがなかなか叶わないと、何か他のことに原因をつくろうとすることがあります。しかし、それも良い悪いといった物差しで測ろうとしないでください。それも成長の過程のひとつだと受け止めましょう。
■他の子のせいだ、と言われたように感じた可能性もある
さらにいえば、コーチにとっては預かっている子どもたちはある意味身内なわけです。息子さんが練習を休んだ時、お母さんがリーダーに対しどのように説明したかはわかりません。
お母さんはただただ、仲間も言われて落ち込んでいるから休みますと説明したことが、お母さんがその仲間に対し文句を言ったように伝わってしまったかもしれません。
コーチも人間です。他の子どものせいで練習を休んだと言われたと感じ、少し感情的になってしまったのかもしれません。話というものは、ひとりの人間を挟むと、そのひとりの感情がそこに乗り移って伝わりがちです。できれば、そんなふうに理解してみませんか。
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