あなたが変われば子どもは伸びる![池上正コーチングゼミ]
2018年6月15日
小学生の指導との違いは。 ボールを蹴ったこともない年少さん、どう教えたらいい?
10年以上のU-6年代指導経験があるコーチ。この春から初めてボールを触る子も多い年少さんの指導をすることになり、どのように始動すればいいかご相談をいただきました。4歳児の指導は小学生への指導とどう違うのでしょうか。
これまでジェフユナイテッド市原・千葉の育成コーチや、京都サンガF.C.ホームタウンアカデミーダイレクターなどを歴任し、のべ60万人以上の子どもたちを指導してきた池上正さんは今回どんなアドバイスを授けたのでしょうか。幅広い年代が所属するチームの指導者の皆さん、ご参考にしてください。(取材・文:島沢優子)
<<ダメ出しばかりする指導者に疑問 理解してなくても、事あるごとに指示を出すほうがいいの?
<お父さんコーチからの質問>
私はボランティア団体でコーチをしています。
4月から年少を指導する事になりました。U‐6の指導は10年以上しているのですが、年少さんは経験ありません。
サッカーボールを蹴るのも初めての子どもたちにどのように指導していいか、特に気を付けた方がいいことなどがありましたら教えて下さい。
<池上さんのアドバイス>
ご相談、ありがとうございます。
大きく分けて、三つのことをお伝えします。
年少さんと言えば3歳です。一番重要なことは「いかに楽しくできるかどうか」です。小学生も同じですが、とにかくどんなふうに楽しませるかを指導の目的にしてください。
そのうえで、小さな子どもたちには「ボールに親しむ」という視点を持ってください。例えば、サッカーボール以外にも柔らかくてよく弾むビーチボールを使った遊びをしてみる。もしくは軟式テニスのボールでもいいでしょう。それらを使って、手で投げる、どこかに当ててみるといった遊びをします。
もちろん、道具を使わない遊びも取り入れてください。鬼ごっこ、かくれんぼなどでしょうか。
子どもたちは遊びのなかで、いろいろな動きを体験します。もともと体を動かすのが大好きな年代です。興味をもってできる遊びのメニューをやらせてあげてください。
■遊びの中の動きがサッカーを上手くする
二つめは、指導時間の配分です。
全体の50%を、前述の「遊びの時間」に割いてください。サッカーとは違うことに時間を半分もとるの? と思われるかもしれませんが、この年代は遊びのなかでさまざまなものを身につけていきます。
例えば、この距離だとこのくらいの力で投げたら届くかもしれない。この距離だとこのくらいのスピードで走ると追い付くだろう。そんな空間認知力です。サッカーはもちろん、多くのスポーツでこの力は大事です。
もうひとつは、いろんな動きをするなかで、神経系が鍛えられます。神経系を小さいときに鍛えれば鍛えるほど、上の年代になるといろんなことができるようになります。これらふたつの力は、小さいときだからこそ磨けるものでもあります。外でたくさん遊ぶことは実はのちのちに生きてくるとも言えます。
それとは逆に、サッカーだからと最初から手も使わず蹴ってばかりいては、そういった部分を伸ばせません。小さいときだからこそ、ひとつの競技や動作に制限をつけずに、自由に体を動かすことが求められます。
そして、あとの半分の時間は、25%をサッカー的なトレーニングに、もうひとつの25%をゲームにします。
トレーニングは、ドリブルで競争させたり、二人でパスを蹴るといったものを。それぞれのメニューになにかしら勝ち負けがつく仕掛けになっていればより望ましいです。