これからのサッカーの標準!「ポジショナルプレー」入門編
2022年3月31日
ビルドアップで数的優位を作って相手を突破! マンCやバルサ、川崎フロンターレも重視するビルドアップで「+1」を作る方法
最近よく耳にする「ポジショナルプレー」ってなに? そんな人に「入門編」としておすすめなのが3月に発売された『こどもポジショナルプレー ~ボールを追うサッカーから、ボールを追いかけるサッカーへ~』です。
ポジショナルプレーをわかりやすい表現で解説するとともに、ポジショナルプレーが身につく練習メニューも紹介。
本書にポジショナルプレーの達人として登場する中村憲剛さんも「これからはポジショナルプレーを標準装備する時代」とおすすめしています。
本書の中から今回はポジショナルプレーを意識した「『+1』のビルドアップ」の解説と練習メニューを紹介します。
<<ポジショナルプレーの鍵となる「中間ポジション」の位置と役割
■「『+1』のビルドアップ」って何?
数的優位をつくるためのビルドアップのしかた
マンチェスター・シティやチェルシー、バルセロナ。日本でいえば川崎フロンターレや横浜F・マリノス。近年、世界各国で優勝を争うチームの多くがビルドアップを重視し、ポジショナルプレーに取り組んでいます。その理由はたくさんありますが、きっかけのひとつにはルールの変更がありました。
2019年にルール変更があり、ゴールキックの際に攻撃側のフィールドプレーヤーが自陣のペナルティーエリア内でボールを受けることができるようになりました。すると以前のように大きく前線に蹴らずに、自陣から短いパスをつなぐチームが増えました。
最初にペナルティーエリア内で受ければ、相手はペナルティーエリアの外にいるため、プレスをかけられずに試合を再開することができます。そこでポジショナルプレーを有効に使えば相手を崩していくことができるからです。
前線からボールを奪いにくる相手に対して、どうやってビルドアップをしていくのか。そのひとつのアイディアが数的優位の「+1」を作ることです。
相手が1トップでプレッシャーをかけてくる場合は、2人でビルドアップを始める。相手が2トップなら、3人でビルドアップを始めるという具合です。これも相手を困らせるポジショナルプレーのひとつと言えます。
■「+1のビルドアップ」トレーニングメニュー
ポジショナルプレーの眼
【ねらい】
ポジショナルプレーで、「意図的に」突破する
【準備】
1.15m×40(25+15)mのグリッドを作る
2.攻撃側4人と守備側3人を図のように配置する
【ルール】
1.エリア外の2人からスタート
2.エリア外の2人はパス交換しながら、エリア1の守備者2人と味方1人の動きを見てパスを入れる
3.パスがつながったところで、エリア外にいた2人もエリア1に入り、攻撃側3人vs守備側2人の数的優位を作る
4.同様にエリア2で待つ味方へパスをつないでから移動し、エリア2で4vs3(守備側2人もエリア2へ)
5.最終的に奥のラインをドリブル突破したら攻撃側の勝ち
■練習のポイント
ゲーム形式ではないですが、攻撃方向を決めてエリアを2つ設けることで、必然的に縦の距離(深さ)ができます。エリア外→エリア1→エリア2と相手のゾーンに進入していくことで、ビルドアップから相手の守備ラインをひとつずつ突破し、前進していく感覚を身につけるトレーニングです。パスだけでなくドリブルもプレーの選択肢に入ってきます。
攻撃側は数的優位の状況で、どうすれば次のエリアにボールを前進させることができるか。たとえばエリア1では中間ポジション(守備側2人の間)にうまく立ってボールを受け、ターンすることができれば次のエリアへ縦パスを入れたりドリブルで運べます。
中間ポジションでパスを受けられなくても、相手のマークを引きつけられれば、ほかの選手がフリーになって次のエリアへ縦パスを入れたり、ドリブルで運べます。
狭いエリアで強度の高いプレーをする中で、相手と味方の位置を見ながら「レーン」や「中間ポジション」を見つける眼を養えば、試合でもポジショナルプレーで「意図的に」相手の守備を突破することができるようになるでしょう。
ビルドアップはサッカーの攻撃を組み立てる大事な要素です。小学生年代からその基本はしっかり身につけておきたいもの。
親御さんもこのようなサッカーの基本を知っておくことで、お子さんと一緒にサッカーを見るのが楽しくなったり、子どものサッカーへのかかわり方がもっと楽しめるようになることでしょう。