バルセロナ発!賢い選手を育てる指導法
2012年5月11日
サッカーも勉強と同じように、年齢に応じた指導を!
『知のサッカー』でおなじみ、FCバルセロナのメソッド部門責任者をつとめるジョアン・ビラ氏。これまでの連載では、賢い選手を育てるグローバルメソッド(包括的な練習)について解説してきましたが、今回は、年齢に応じた指導の重要性についてです。
■小学1年生に二次方程式を教えますか?
サッカーの指導をするとき、多くの指導者は3つの疑問を持つと思います。1つは「なにを指導すべきか」。2つめが「どのように指導すべきか」。そして3つめが「いつ、それを指導すべきか」です。ここから数回にわけて、この3つについて、サッカーサービスの考えを紹介したいと思います。
学校の授業を例にあげましょう。サッカーではなく算数を教える場合、「なにを」「いつ」「どのように」子どもたちに教え、理解させればいいのか、多くの人に共通した考えがあります。だれも、小学1年生に二次方程式を教えようとは思いません。まずは足し算、引き算、かけ算、割り算など、基礎的なことから始めます。
そして、小学校、中学校、高校、大学……と、教える内容は徐々に難しくなっていきます。このように、段階を追って教育がおこなわれ、それを飛び越えて指導することはありません。多くの子どもはそのようにして、たくさんのことを学んできました。
私は小学生のとき、長い時間をかけて算数の基礎的なことを習いました。そのため、大人になったいまも、当時教えてもらったことを覚えています。スーパーに行って買物をするとき、金額を計算することができます。おそらく、みなさんもそうでしょう。
■サッカーも年代にあった指導が必要
スペインでも日本でも、勉強においては「年齢にあった指導」がおこなわれています。しかしそれが、サッカーになると事情が変わってきます。学校では年齢に応じた教育を受けている子どもたちが、サッカーグラウンドに行くと、年齢に関係なく、みんなが同じトレーニングをしている場面を見かけることがあります。高校生も、小学校低学年も、同じようなパスの練習をしているのです。そして、多くの指導者が、その選手が7歳なのか、12歳なのかは考慮せず、自分が知っていることをすべて教えようとしています。
算数の先生は難しいことをたくさん知っていても、9歳の子どもには年齢にあったことしか教えません。しかしサッカーの現場では、9歳の子どもと高校生に同じ事を教え、同じように指導している現場をよく見かけます。
なにを、どのように、いつ指導しなければならないかについては、議論の余地がありますが、我々はサッカーも算数と同じように、年代にあった指導が必要だと考えています。私の国スペインでは、U-11は7人制がおこなわれています。日本は8人制ですね。ほかに9人制を採用している国もあります。小学生年代のカテゴリーの選手は、頭も心も発育の途中です。毎日、変化を感じることができます。
年齢に応じて試合の人数を変えることと同じように、どの年代で、なにを教えるべきかを議論することは、とても重要だと考えています。算数を学ぶときと同じように、サッカーも身につけるべきことを整理し、時間をかけて少しずつ、成長していくものなのです。
それではサッカーにおいて、「なに」を「いつ」「どのように」教えなければいけないのでしょうか。それは次の更新で考えていくことにしましょう。
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ジョアン・ビラ・ボスチ//
Joan Vila Bosch
FCバルセロナでクライフと共にプレーし、引退後はバルサの下部組織で14年間監督を務めた。現在はバルサのメソッド部門ディレクターとして、下部組織におけるトレーニングの進化・改善、コーチの指導を担う。監督時代はシャビ、プジョルなど現在のバルサの中心選手を育てた。
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