■配球は、蹴り上げる角度を考えよう
次に覚えておきたいのは、蹴り上げたボールは角度によって落下点が変化するということです。いくらボールが落下するタイミングがわかっていても、落下点にいなければシュートを打つことはできませんから、これは大切なことです。
ボールは、45度の角度で蹴り上げたときにもっとも飛距離が出るといわれています。その45度を基準として考えると、低めの30度の軌道では45度よりも手前で落ちてしまい、高めの60度では30度よりも飛びますが、45度の手前で落ちてしまいます。
したがって、サッカーの練習のときに、パスを配球する親やコーチは、基準となる45度のボールと、それよりも低めと高めのボールを同じ強さで蹴り分けてあげます。ペナルティエリア内で待ち構える選手は、蹴り上げられたボールが角度によって、それぞれどの地点に落下するのかを予測し、実際の落下点との違いを考慮しながら反復することによって、空間認知能力を養うためのイメージトレーニングとなるのではないでしょうか。
このように科学は、一見するとサッカーとは無関係に感じられても、実はサッカーが上達するためのヒントを与えてくれることがわかっていただけたと思います。
今回の前編では、力強いダイレクトボレーシュートを放つために必要な「タイミングと落下点」についてお伝えしました。次回の後編では、シュートのときに重要となるフォームについてお届けします。どうぞお楽しみに!
後編に続く(8月13日(水)配信予定)>>
サイエンスサッカースクールとは
半導体製造装置メーカーの東京エレクトロン株式会社が、2011年にJリーグのスポンサーになったことを機に、「子供たちの理科離れに歯止めをかけ、理科をもっと身近に感じてほしい」との思いから、サッカーを通じて科学を学ぶことを目的に開催しています。年4回各地で実施しており、今秋には熊本、仙台にて開催を予定しています。
取材・文・写真/山本浩之