■1日10分でいいから毎日続けることが大切
「コンディショニングは習慣にすることが大事」という先生の言葉通り、マッサージケア自体を習慣化するのと同時に、今日のマッサージももうすぐ終わるよ、これで終わるよ、という合図をしっかりと伝え、習慣づけることも大切なんだそうです。
講座では、違いがわかるように片方の足だけをマッサージします。短時間ですし、お互い素人の施術ですが、大げさでもなんでもなく、かなりの変化があります。血行がよくなって、左右で足の色が全く違います。むくみのある人は、マッサージした方の足だけむくみがとれているのが見てとれるほど効果は歴然でした。
実技では太ももまでマッサージするので、服装はサッカーやバレーボールなどで履くハーフパンツのような太もも周りがゆったりした短めのボトムスを準備するのがいいでしょう。また、マッサージは全身を使うので、Tシャツ素材など動き易いものがいいと思います。
座学の時間までは自己紹介以外に、お互いが話すようなことはありませんが、実技ではペアになった方と肌が触れ合いますし、力加減などを聞いたりしながらマッサージを行うので、自然とコミュニケーションが生まれ一体感が増すような気がします。時折笑いもありながら和やかに、それでいて、みなさん真剣に受講していました。座学を含め約2時間半の講座ですが、アッという間でした。
■成長期の子どもの天敵オスグッド病や超回復に関するわかりやすい説明も
今回受講して、個人的にとくに「なるほど!」と思ったこと2点を最後にお伝えします。
まず、座学でのオスグットの説明。オスグットとは主に成長期の子どもに発症するスポーツ障害として認識されているもので、膝周辺に痛みが出ます。
「成長期には、手足にある長い骨がどんどん伸びて成長するが、骨の端はまだ軟骨で柔らかい。それに加え、小学校高学年~中学生は筋肉の成長よりも、骨の成長が早いため、筋肉がパンと伸びて張った状態になる。また、筋肉は繰り返し使うと硬くなり、縮んでいく。筋肉は骨に付いているので、それが続くと、柔らかい骨の端がはがれ出す。これがオスグットの原理」と、「スキャモンの発育発達曲線」を見ながら、筋肉と骨の発育時期の違いや、筋肉の特性と共に、子どもならではの怪我や体のしくみについて大変分かり易く教えてもらえました。なんとなくの理解だったものが、原理からちゃんと理解することができたというわけです。コンディショニングマッサージを行う上で、体のしくみを知っておくことは重要です。不安を抱えながら子どもの体に触るのと、正しい知識を身につけて、自信をもってやるのとでは相手に伝わるものも変わってくるそうです。
もう一点は、受講者の声です。講座を終えて、受講者の皆さんに感想をおうかがいしたところ、皆さん「とっても勉強になりました」「早速今日から実践してみたい」などと仰っていましたが、その中でもこんなコメントが印象的でした。
小学生の息子さんがJリーグの下部チームに所属している人ですが、コーチが言う「オフはオフれ」という指導にイマイチ納得していなかったそうです。「人が休んでる時に練習してこそ差がつくんじゃないの?」「練習すればするほど上達するはず」と。それが今回、座学で先生が超回復についてわかりやすく説明してくれたおかげで「本当にオフはオフっていいんだ」と納得できたそうです。超回復とは、トレーニングによって体が疲れても、しっかりと休養をとることで、トレーニング前よりも筋力やパフォーマンスがアップするということ。これは科学的に証明されているそうです。
私もまさに学生時代の部活では毎日練習が当たり前で、「ボールを触っただけ上手くなる」という感覚でした。きちんとした知識をコーチだけでなく、パパやママも身につけるということが、がんばるわが子をサポートするにあたって大切なことだと、参加者の声を聞いて改めて感じることができました。
私も早速、わが子にマッサージをしてあげようと思います!! 後編では、実際にわが子にマッサージをした際の子どもの反応などをお伝えしていきます。
後編につづく>>
取材・文 中野里美 写真提供 一般社団法人キッズ&ジュニアスポーツコンディショニング協会