親子でチャレンジ
投げ出さないように"契約"を結ぶ? バディスポーツ幼稚園の「子どもの"やる気"を引き出す」6つのコツ
公開:2016年12月 7日 更新:2023年6月30日
最近、子どもがなかなかサッカーをやる気になってくれません。自分でやりたいと言ったからチームにも入ったのに……。どうすればやる気になってくれるのでしょう?
サカイク編集部には、よくこのような悩みが読者から届きます。
子どものやる気については、性格や気分などに左右されるので改善することが難しい問題ですよね。
そこで今回は、日本代表FWの武藤嘉紀選手なども通っていたバディスポーツ幼稚園の鈴木威校長の著書「子どもの『生き抜く力』の高め方」から、サッカー少年のお父さんお母さんにも役立つ子どものやる気の育み方を抜粋・加筆し、ご紹介します。(取材・文 篠幸彦)
■“楽しい”がやる気と継続のカギ
子どもが物事を継続するために大切なファクターは「楽しい」と思えるかです。子どもはなにかが上手になったり、記録が更新できたり、できないことができるようになるなど、成長できたと実感できたときに「楽しい」と感じるものです。親やコーチは子どもになにかをやらせたいと思うのなら、そうした楽しいと思える仕掛けを工夫することが必要です。
子どもは「楽しい」と思えることをいずれ「好き」になります。好きなことにのめり込むと、次第に仲間ができ、コミュニケーションが生まれ、楽しさはさらに倍増していきます。そうなると「もっと知りたい」「もっとやりたい」と、好きなことをもっと深く追求したい欲求が湧いてきます。こうしたモチベーションが子どもの成長過程では重要です。ですからなににおいてもまずは「楽しい」と思えることが、子どものやる気と継続を引き出すための原動力になります。
■お母さんとの会話が子どものやる気を引き出す
接する時間が長く、交わす会話の数も多いお母さんとの関係が、子どもの家庭環境を大きく左右すると言っても過言ではありません。とくに幼児期はお母さんとの会話が表現力やコミュニケーション意欲を高めるうえで大切な期間となります。子どもとの会話で大事なポイントは6つあります。
1) 子どもの言葉に真剣に耳を傾ける
子どもが発する言葉の一つひとつには意思が込められています。その言葉に耳を傾けることは、子どもの性格や成長を認識することにつながります。
2)問い詰めるような聴き方はしない
子どもがうまく喋れなかったとしても「どうして?」「なんで?」「どういうこと?」といった聴き方をすると、余計にうまく喋ることができません。
3)素っ気ない返事に気をつける
家事で忙しいときに「ふーん」「あ、そう」「へー、そうなんだ」と素っ気ない返事を無意識にしてしまう人は多いかもしれません。そんな返事では子どもだって自分に興味を持ってもらえていないと感じるものです。そうなればすぐに話す意欲を失ってしまいます。
4)次の言葉を誘導する
子どもの会話を上手に引き出すためには、まずは親が興味を持ってあげることです。「それについてもっと教えて」「お母さんそのあとどうなった知りたいな」など、次の言葉を誘導するように会話をつないであげることが大切です。
5)子どもに対して無配慮な発言をしない
子どもは大人が思っている以上に言葉に対して敏感です。「どうせまだ子どもなんだから」など、子どもにとっては理不尽な言葉を大人は何気なく発してしまうので注意が必要です。
6)他人と比較しない
子どもは「◯◯ちゃんはできるのになんでできないの?」と、誰かと比較して怒られると深く傷つくものです。誰かとの比較ではなく、「惜しかったね。次はきっと大丈夫」や「ここまでできたすごい! ◯◯ならもっとできるよ!」など、次につながるような言葉をかけながら励まし、褒めてあげることです。
このように日常のちょっとした会話をおざなりにせず、しっかり子どもと向き合ってやる気を引き出す意識を持って会話をすることが大切です。
■子どものチャレンジ精神を奪わない
近年、小学校の体育の授業で危険を理由に跳び箱を飛ばせない学校があります。同様の理由から、運動会で組体操のピラミッドや騎馬戦をやらせない学校もあります。確かに跳び箱は、飛んだことがない子には不安や恐怖が伴うものです。ただ、その「飛べるかな」というドキドキを抱え、勇気を振り絞って立ち向かうことで度胸、胆力が鍛えられるものです。また、そういった自分のギリギリに挑戦し、乗り越えることが次の挑戦意欲へとつながります。大人は子どものチャレンジ精神を奪うのではなく、思う存分チャレンジできるようにサポートすることが役割だと思います。
■月齢の差は貯金があると考える
幼少期から小学生頃は4~8月生まれの子どもがスポーツや勉強で活躍し、1~3月生まれの子どもはなかなか活躍しづらい傾向があります。とくにスポーツはその“月齢の差”が大きく影響します。例えば同学年の4月生まれと3月生まれの4歳児がいるとします。この2人の間には11ヶ月もの差があり、この時期の11ヶ月にどれほど成長差があるかは想像に容易いと思います。月齢差を理解していない親が「なんでこの子はいつもビリなんだろう」と悩むことは少なくありません。
この11ヶ月は“差”ではなく、“貯金”と考えるべきです。今は敵わなくても、11ヶ月後には追いつき追い越せるようにする。大切なのはそうしたことを親やコーチが理解し、他人との比較ではなく子どもの成長ペースに合わせて育ててあげることです。そうすれば子どもは劣等感を覚えることなく、何事も意欲的に取り組むことができるようになります。
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取材・文 篠幸彦