国際舞台で日本が当たり負けしてしまうのは、こうした小さい時からの環境や考え方、それに基づいたトレーニング法が、結果として出ているといわれています。
こうした、瞬間的に大きな力を、発揮しなければならない競技をしているのに、土台となる筋力向上はさせない。それなのに技術面では、高いレベルを要求すれば、結果的にケガにつながることになります。
「筋トレ」は、スポーツ傷害の予防だけでなく、適切な筋肉や、関節への刺激が筋骨格の成長を促します。「筋トレをして、筋肉をつけると背が伸びなくなる」というのは、迷信です。また、筋トレを適度に行っている子どもには、「競技からの挫折が少ない」、「粘り強い」というデータも出ています。
では、適切な「筋トレ」とはどういうものでしょうか。
① 人間の運動機能や身体の構造を考えてトレーニングを行う
⇒例えば、先ほど挙げた「うさぎ跳び」を行ってはいけない理由ですが、「うさぎ跳び」の動作は、しゃがんだ際に、ヒザを大きく深く曲げすぎてしまう、また、その状態を何回も繰り返す、ということがあります。ヒザの解剖学的な視点から、スクワットのようなヒザを曲げるトレーニングを行う時は、つま先からヒザが出ないようにする、というポイントがあるんです。
② 個々の運動能力に応じたメニューを構成する
⇒「十把ひとからげ」の指導は駄目、という意味ですね。子どもも、年齢や個々によって、体力レベルや思考力が違います。子ども一人ひとりに合った、トレーニングメニューが必要になります。
③ 部分的なトレーニングだけでなく、全体的にトレーニングを行う
⇒「当たり負け」は、筋力とボディーバランスの不足が原因ですから、頭の先から、足の先まで、しっかり鍛えることが大切ですね。特に、「体幹」のトレーニングは重要です。ちなみに、「体幹」も誤解されていることが多いのですが、「体幹」とは腹筋だけでなく、胸や背中など、大きな筋肉を全て総称したものをいいます。
■身体が変われば意識も変わる
「筋トレ」は、必ずしもバーベルやダンベルを使って、トレーニングを行うものばかりではありません。むしろスポーツでは、自分の身体をコントロールしなければなりませんから、自体重を用いた筋力トレーニングを、正しいフォームで行うべきです。回数は10~20回。この回数を2~3セットで設定し、行うことがポイントです。