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幼少期にはボールにたくさん触れて、動きの中で自然にサッカーを身につける 遠藤塾トレーニング

公開:2013年7月19日 更新:2023年6月30日

キーワード:指導育成

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前回はアトランタオリンピック代表の遠藤彰弘さんに「世界と日本の差を埋めるためにキッズ年代で必要な育成」についてお聞きましたが、今回は実践編です。彰弘さんがコーチを務める遠藤塾でのトレーニングの様子を紹介します。
 
 
<<次世代を担うキッズ年代は「身体とココロのバランス」が大切 遠藤塾のトレーニングに迫る
 
 

■キッズ年代で重要なのは“ボールを触る”と“考える”

午後3時。彰弘さんが、「皆、今日はここに何しに来たの?」という問いかけに、全員が「プロになるために来た」と元気よく声を揃え、6歳までを対象にしたトレーニングが始まりました。トレーニングの最初に行われた四角形のグリッドを用いてのドリブルには前回、紹介した身体のバランスを身につける狙いとともに、
 
「子どもたちに一生懸命、言葉で伝えても、幼少期なので、いくつも頭には入っていきません。だからこそ、動きの中で自然と覚えていくことが大事。今はまだ、子どもたちはピンと来なくてもいい。まずはグラウンドに来て、たくさんボールを触る事が重要なのです」
 
という狙いがあります。
 
「ボールがそばにあった際に手でとりにいくか、足でとりにいくか。それだけで違います。サッカーを学びに来ている子は必ず足で行くし、足でずっと蹴っています。僕らもずっとそうだったけど、始めるのが小学校3年生からだと遅かったですね。早い段階で身につけていれば、もっと学べる事が多かったと思います」
 
ボールを多く触らせる理由には彰弘さんの幼少期に感じた思いがあるから。自分たちの経験を伝える事で、遠藤兄弟を越える選手が生まれて欲しいと話します。そして、トレーニングで目を惹いたのは問いかけの多さ。遠藤塾では世界を見据え、“考えながら行動に移す”ことをテーマに掲げ
ています。
 
「自分のプレーが良かったとしても、悪かったとしても考えることが大事。なんでボールがとれたのか?なんでボールがとれなかったのか?を考える姿勢はこの年代で身につけておかないといけません。サッカーに取り組む姿勢とか、自分なりに考えて行動する姿勢をキッズの年代で教えたいですね」
 
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■人の話を聞くのは気付く力に繋がっていく

考える力とともに、もう一つ子どもたちの育成で大事なのは、“人の話をしっかりと聞く”ことです。トレーニングの最中、彰弘さんの子どもたちに丁寧と話しかける姿が印象的でした。
 
「いくら僕たちが教えても、話を聴いてなければ意味がありません。聞くということは親の話もそう。こうしましょう、ああしましょうではなく、例えば僕らが出来ていた『朝、早く起きなさいよ』とか、『ご飯を残さず食べなさいよ』といった部分が、今の子は欠けているのかなと感じます。ピッチの外では自由にやってもらっていいのですが、サッカーに関しては“こういう選手になりたい”という思いがあるなら、逆算をしていかなければなりません。逆算の最初にあるのは、“挨拶”とか人間としての部分だと思うので、そうした部分は人の話を聞いていないと身につきません」と説明します。
 
そして、考える力を身につけ、人の話を聞けるようになると、物事に気付けるようになると彰弘さんは言います。
 
「今ボールがちゃんと蹴れている子は、成長のための絶好のチャンスなので、ドンドン伸ばしてあげたいですね。反対に、出来ない子はそれに負けないように追いつかせてあげる必要があります。社会に出れば競争社会。自分が這い上がっていくには何かを考えなければなりません。その何かを考える力、気付く力をつけて欲しいので、今、ボールを使いながら考えて動くことを身につけて欲しいです。そのためにも、人の話を聞かなければ考えられません」
 
サッカーには相手だけでなく、味方との競争もあります。競争とともに常に力の差が存在します。前回、紹介したように、自分が出来ないと感じ、サッカーを辞めていく選手が多くいる中で、そうした差を力に変え、成長のチャンスと捉えるためにはどこに差をあるのか?を考える力、気付く力が大事なのです。
 
「人との差が出来た際に気付ける力を育むのはキッズ年代だと思うので、気付いたことをちゃんと言える選手を育てたい。そういう子はやんちゃと言われるけど、それで良いと僕は思います。正論を言いなさいと子どもたちには言っています。間違った事を言い続けても周りはついてこない。正しい事に気付く力、正しい事とは何かを考える力が必要なのです。『なぜ監督、コーチがこれをやらせようとしているか』ということに気付ける力もそう。大人が答えを与えずに自分で気付ける子どもは吸収力も高い。出来なくても、間違っていてもいいのです。気付ける子は必ず出来るようになります」と彰弘さんは話します。
 
「『今日の練習楽しかった?』って聞いて、『楽しかった』で終わるのではなく、『ここが上手くいかなかった』とか自分たちの考えが話せる子になって欲しいし、生活の中にサッカーが入り込んでくる子になって欲しい。プロでやっている選手のほとんどが、いつもサッカーのことを考えています。時間はかかると思うけど、我慢していれば、いつか必ず出来るようになります」
 
遠藤塾は世界やプロで長く活躍出来る選手を育てることに主眼を置いていますが、このような考えはサッカーから離れても人として、大事な要素ないでしょうか?今回の取材を通し、彰弘さん、保仁選手という2人の偉大なサッカー選手のこだわりと愛情が感じられました。
 
 
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遠藤彰弘//
えんどう・あきひろ
1994年にJリーグの横浜マリノス(後の横浜F・マリノス)に入団。2004年には中村俊輔の移籍で空いた10番も付けたが、2005年には故障に加え、補強選手や若手の台頭もあって出場機会が激減。7月にヴィッセル神戸に完全移籍した。2008年に契約満了で退団後、5月13日に引退を発表。「マイアミの奇跡」で知られる1996年アトランタオリンピックのU-23日本代表では、背番号10を背負った。実弟はガンバ大阪に所属している遠藤保仁。現在は財団法人日本サッカー協会公認B級コーチライセンスを取得し、一般社団法人Jリーグ選手OB会の理事を務めながら、株式会社11asideに所属し、指導者として国内外で活躍中。
 
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取材・文・写真/森田将義

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