■効率よく走ることで、一試合走り続けることができる!?
ただし、サッカーに疲労はつきもの。後半も終盤になれば「スタートダッシュの一歩目は小刻みに」と意識しながらプレーするのは難しくなります。
「ぼくも最近サッカーをプレーするようになって感じるのは、疲れているときに意識をしながらプレーするのは難しいということです。ハードラーとして現役時代、身体を追い込んで疲弊しているときは頭ではわかっていても動作に移行できなくなることがしばしばありました。サッカーでいうと、前半の動きに無駄があると後半に疲弊しやすくなってしまうのではないかと考えられるんです。効率の良い動きを身につけられれば、プロのサッカー選手も90分間、走り続けられるのではないかと思います」
そのためには日頃から、(頭から串が刺さっているのを折れないようなイメージをもって)正しい姿勢で効率よく走ることを意識するのがとても重要。
「チームでジョギングをするときにも、だらだらとなんとなくジョギングをするのではなく、正しい姿勢を意識しながら、つねにフォームの練習にする習慣をもちましょう。ぼく自身、陸上競技をこなすなかでフォームの修正に非常に時間がかかりました。ボールを使ったり、その他の練習も複合的にこなさないといけないサッカー選手には、フォームを矯正する時間はほとんどないでしょう。それだけに、日頃から正しい姿勢を意識しながら走ることで、無駄のない走りを習得することが重要なのです」
■走り方が理想的なサッカー選手はクリスティアーノ・ロナウド
ちなみに、姿勢がよくて効率よく走れているサッカー選手を秋本さんに尋ねてみると、代表例としてクリスティアーノ・ロナウドを挙げてくれました。日本人だと大久保嘉人選手の走り方が良いそうです。
「アスリートには、技術がなくても本来備わるフィジカルの強さで誤魔化せてしまう選手と、走る技術を高めて勝負する選手とに大きく分かれるのですが、ロナウドの走るときの技術は相当高いと感じました。そもそも足関節や足首が非常に強い選手なので、走っているときやドリブルをするときに“かかと”を地面につけていません。あのような素早いボールタッチは、べた足やかかとを踏んだステップでは絶対に不可能なんです。あれだけ身長が高いロナウドができるのは、技術的なポイントを押さえていないと相当難しいのですが、ロナウドの関係者に話を聞いたときには、ラダートレーニングの際の腕振りはめちゃくちゃだったそうです。僕の持論では腕の振りなどは走るときに大して影響があるものではなく、大事なのは身体のぶれない軸。ロナウドは無意識に正しい姿勢で走ったり、ドリブルをしたりする技術が非常に高いのだと思います。もしアドバイスができればもっと良くなる可能性もあるでしょうね」
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取材・文/杜乃伍真 写真/サカイク編集部