運動能力
できないことをその場でできるようにしてしまう!日本代表エース・香川真司の凄さの秘密
公開:2016年7月18日 更新:2023年6月30日
自分よりもフィジカル能力で勝る選手が大勢いるドイツ・ブンデスリーガという舞台で活躍を続ける日本代表の10番・香川真司選手。香川選手が活躍を続ける裏には、さまざまなスタッフたちの影でのサポートがありますが、今回はそのなかのひとりをご紹介します。香川選手の専属のパーソナルトレーナーとして香川選手に日々寄り添ってサポートしているのは、谷田亮太さんです。(取材・文 杜乃伍真)
■ボールを扱う技術だけでは“のびしろ”が先細りになる⁉
「彼のドイツの自宅のすぐ近くに住んで、彼から“お願いします”という連絡があったら、すぐに駆けつけるような体制をとっています」
24時間、選手への献身的なサポートをするのが、パーソナルトレーナーの仕事。谷田さんが香川選手と出会ったのは19歳のとき。香川選手がセレッソ大阪に所属していたときでした。
「そのときの彼はまだトレーニングにまったく興味がない、という様子でした。若いので無理をしても大丈夫ですし、トレーニングが必要ない状態でした」
ただ、谷田さんは「若いころからトレーニングはやったほうがいいと思うので、興味を持ってもらえるようにいろいろなアドバイスから入って彼の興味を引き出していきました」と言います。
「ぼくがやろうとするトレーニングは、筋肉をしっかりつけよう、というものではないよ」
谷田さんはそんなふうに香川選手にアドバイスを続けたそうです。その理由をこう話します。
「香川選手のサッカー選手としての最大の特徴は“ボールを扱う技術”でしたが、それだけを伸ばしていくのでは、その後成長していくための『のびしろ』はだんだんと先細りになってしまうんです。技術以外の『のびしろ』として、若い頃からしっかりと強い身体を作っていくことで将来的にさらにいい選手になれるよ、という話をしながら二人で体幹などのトレーニングを進めていきました」
■なにかできないことがあれば、その場でできるようになるために集中する
トレーニングを始めた頃の香川選手は、単純なトレーニングができないことが多かったそうですが、キラリと光る部分があったと谷田さんはいいます。
「彼の場合、何かできないことがあれば、その場ですぐできるようになるためにグッと集中力を高めて取り組めるんです。その集中力がつづくから、できないことを習得するのもすごく早い。そういう集中力の差が、いい選手になれるかどうかの差なんだと思いますね。それと、彼の場合はとにかくサッカーに対する気持ちの強さが若い頃からありました。それは僕以外にも、彼のことを知っている人たちが口を揃えて話すことです。サッカー選手として成長するためにはそれがもっとも大事な要素だと思いますね」
谷田さんとトレーニングを一緒に開始した香川選手は、当初、たとえば単純なバランスボールを使ったトレーニングでも、ボールの上に四つんばいになったり、膝を立ててボールの上に立ったり、そういう基礎的なことができなかったといいます。
「それが今では膝を立ててボールの上に立つことはもちろん、バランスボールの上に両足で立つこともできます。さらに、その状態でこちらからボールを投げてもぶれなくなっています。年々レベルアップしていますね。彼の場合、一度できるともう次から楽々クリアしてしまうんですよ。運動神経はいいですね」
■ストレッチや体感トレーニングできながらの柔軟性が身につく
集中力の高さ、そして運動神経の良さ。それらを本来的に持ちながらも、香川選手に当初足りなかったものがあったと谷田さんはいいます。それが、柔軟性です。
「それも前屈をしたときの柔軟性というよりも、ぼく個人としては“動きながらの柔軟性”が重要だと思っているので、そういうトレーニングを今でも課しています」
動きながらの柔軟性――。イメージとしては、香川選手が、自分よりも身長や体重で勝る大男たちがいるブンデスリーガのピッチで、相手のディフェンダーが捕まえに来る、それを寸でのところで柔軟に交わせる、キレのある身体を手に入れる、というものです。
それらを身に付けるには、香川真司選手が今年3月にオープンしたサイト『SHINJI HOUSE』(誰でも無料登録で閲覧可能)で紹介する「親子でできる体幹トレーニング」や「家族ストレッチ」を毎日欠かさずにこなしたうえで、サッカーのトレーニングに励むことで自然と身についていくそうです。
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取材・文 杜乃伍真