運動能力
できないことをその場でできるようにしてしまう!日本代表エース・香川真司の凄さの秘密
公開:2016年7月18日 更新:2023年6月30日
■世界で戦うために必要なものとは
ただ一方で、谷田さんは現在、屈強なフィジカル能力を持つ選手が多数揃うようなブンデスリーガで戦うためには、“動きながらの柔軟性”だけでは足りないと感じているといいます。
「動きながらの柔軟性を身につけつつ、ブンデスリーガのような舞台では、それだけでは相手のパワーに潰されてしまうところもあるので、柔軟性をなくさないように気をつけながら、同時にフィジカルを強くしないといけないと感じています。なので、今シーズンの前半戦は、相手にある程度は当たり負けしないためのフィジカルを強くするトレーニングに重点的に取り組んでいました。結果として、1対1で相手に押し潰されるようなことはなくなり、強くなったと思います」
谷田さんは子どものころから、たとえばウェイトトレーニングを行って筋肉を大きくするようなことは「絶対にやってはいけないこと」と否定する立場をとりますが、日々のストレッチや体幹トレーニング、自分の体重の範囲内で筋力アップすることなどを繰り返しながら、やがて大人の年齢に近づき、身体のベースとなるものができたあとには、ある程度フィジカルを強くするために筋力アップを図ることも、欧州の舞台で活躍するために最低限必要なものだと考えているようです。
「それと、欧州のサッカー最前線の舞台では、やはりスプリント能力もあげないといけないと感じています。ぼくは陸上の短距離選手だったので、彼の走りに何が足りないのかはわかっていたので、今季はスプリント能力を上げながらサッカーのプレーと切り離さないように活かす、ということを意識して取り組みました。残った数字上のものを見れば、取り組みは成功だったと思っています」
■背が低いことが武器になる!香川真司の戦いかた
10メートルや20メートルの速さで相手より先んじるスプリント能力や、ある程度のフィジカルの強さを保つための筋力アップも世界のトップレベルの舞台では必要だから鍛えないといけない――。ただし、香川選手と谷田さんのふたりの日本人は「日本人の良さも活かしたいという思いがある」といいます。
「香川選手の場合は背が低いのですが、それが大男揃いのブンデスリーガでは逆に武器になるのは確かだと感じますね。相手と思い切り当たり合うのではなく、そこでやはり、しなやかで柔軟な動きを駆使して相手を翻弄したい。屈強なフィジカルでぶつかってくる相手に対し、決して正面からぶつからずにくぐり抜けるように交わしていく。それが本来的にフィジカルに劣る日本人にできることであり、間違いなく強みです。そこは日本人として絶対に外さないように心に留めながら、欧州の舞台で対抗していきたいと思っています」
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取材・文 杜乃伍真