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ダノン杯で世界一を目指す!甲府U-12が取り組む「0.2秒の差を生む」ステップ・ワークとは?

公開:2016年9月28日 更新:2023年6月30日

キーワード:タニラダーヴァンフォーレ甲府姿勢谷真一郎走り方運動神経

10月14日にフランス・パリで開幕するダノンネーションズカップ2016世界大会。32カ国が出場するグループリーグの組み合わせが決定しました。
 
世界的強豪クラブも多数出場する今大会、日本代表として出場するヴァンフォーレ甲府U-12は、オランダ、ポーランド、アルジェリアと同じグループDから決勝トーナメント進出を目指します。
 
世界大会初出場となるヴァンフォーレ甲府U-12ですが、先日開催されたU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2016では、FCバルセロナと対戦し、世界レベルは体感済み。
 
過去にもレジスタFCや横河武蔵野JFCなどが初出場ながら決勝まで勝ち進んでいることもあり、今回も日本代表の上位進出が期待されます。
 
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▲U-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2016でFCバルセロナと対戦したキャプテンの志村くん
 
 

■子どもたちの能力を引き出すトレーニング

ダノンネーションズカップ in JAPAN 2016でも優勝するなど、ここ最近になって大きく力をつけてきたヴァンフォーレ甲府U-12。その背景には、ボールを使ったトレーニング以外にもジュニア期における身体づくりにも非常に力を入れていることをご存知でしょうか?
 
その代表的なトレーニングが「タニラダー」です。トップチームのフィジカル・コンディショニングコーチであり、Jリーグで15年以上の指導キャリアを持つ谷真一郎さんが考案した“サッカーの動きをスピードアップ”するためのトレーニングです。
 
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「甲府は、関東のように人口は多くありませんし、限られた中から選手を育てていかなければなりません。そのためには、彼らの能力を最大限に引き出してあげられるよう、ジュニアの年代からベースとなる身体づくりをしっかり行っていく必要があります。運動神経やスピードなどは生まれ持った才能と思われがちですが、あるレベルまではトレーニングによって簡単に改善することができます」(谷氏)
 
タニラダー」とは4マスの特殊なラダーを使い、サッカーの動きから逆算したステップ・ワークや身体の姿勢、使い方をマスターするトレーニングです。
 
以前サカイクでは、ヴァンフォーレ甲府のアカデミーにお伺いし、そのトレーニング成果をデータで検証しました。
 
 

■トレーニング成果を科学的に検証

測定したのは、短距離のスプリントです。最先端の測定機器を扱う株式会社スポレングスに協力を依頼し、U-10からU-18の100名の選手が参加して、2m往復ダッシュの測定を行いました。わずか2mの距離をダッシュし、目印のラインを越えて戻ってくるという動きを行います。まずは何も意識せずにダッシュを行います。
 
次に、ラインを越えて戻ってくるときにタニラダーのトレーニングで重要なポイントである“ひざをロックする”ことを意識して、ダッシュをします。
 
ひざをロックするとは、膝や足首の屈曲による時間のロスをなくす接地の仕方で、トレーニングではラダーを使いこのステップ・ワークを習得します。
 
タニラダーメソッドのポイントとなる、ひざをロックするか、しないかで、どれだけスピードに差があるのでしょうか?
 
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○:ひざをロックした状態
×:ひざをロックしない状態
 
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左:前方へダッシュして、後ろ向きにもどる
右:後ろ向きでダッシュして、前方にもどる
 
実際に、選手たちが2mダッシュにチャレンジしていきます。その様子を見ていると、足のつま先をラインに垂直に向けて走る場合、ひざに重心がかかって潰れた状態になり、スピードが上がりません。
 
逆にひざをロックした状態で走ると、ひざが潰れないので地面を力強く蹴ることができ、ダッシュのスピードも速いように見えます。さらには、ひざをロックしない場合、地面に足をとられて滑ってしまう選手も続出。後ろに重心がかかってしまうため、バランスが崩れやすくなっているのです。
 
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▲ひざをロックしない状態だと、滑ってバランスが崩れてしまう
 
「U-12の選手たちは、ひざをロックするタニラダーのトレーニングを取り入れて、日々、この動きを身につけるトレーニングをしています。神経系統が急激に伸びる時期に動きの基礎づくりをしているので、スムーズに足を運ぶことができています」(谷氏)
 
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▲ひざをしっかりロックして地面を蹴る
 
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▲甲府の選手たちは、タニラダーメソッドによって独自開発された特殊な4マスのラダーでトレーニングを実践
 
 

■0.2秒の差を生むステップ・ワークが勝敗を分ける

測定結果をまとめると、前から後ろへのターンでは、全選手のうち77%の選手が平均0.15秒、後ろから前へのターンでは、全選手のうち86%の選手が平均0.19秒も膝をロックしたターンの方が速くなっていることが分かりました。
 
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▲なかには0.5秒も速くなる選手も!
 
このタイム差は距離にするとどの位の差となるのでしょう?
 
「この差は、だいたい靴の3~4足分に当たります。サッカーの局面におきかえると、今まで抜かれていた相手に身体を入れ込んで、マイボールにすることができるようになる。わずかに届かなかったボールをクリアしたり、ゴールにつなげたりできるようになります。この差は確実に“勝敗を分ける差”であると言えます。」(谷氏)
 
測定の結果、良いターン(ひざをロックする)と悪いターン(ラインに対してつま先を垂直に向ける)の差について、谷さんはこう語ります。
 
「ひざをロックしてターンしたダッシュの方が速いと、数値ではっきりと出ました。ひざをロックしない状態でバランスを崩して、足を滑らせている選手がいましたが、これと同じことが実際の試合で起きています。U-12年代で正しい走り方、身体の使い方を身につけさえすれば、相手に速く寄せに行くことも、すばやく進行方向を替えてスピードに乗ることもできます。これを早い年代でいかにして身に付けるか。それが、その選手の将来の伸びに直結すると思います」(谷氏)
 
数字の面からも、その有効性が再確認できたヴァンフォーレ甲府U-12のトレーニング。このトレーニング成果が世界を相手にいかに発揮されるのか、注目です!
 
 
甲府U-12も実践するサッカーのスピードアップトレーニング「タニラダー」の詳細はこちら>>
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