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足が重い状態を改善?サッカー選手のスピードアップにつながる身体の動かし方

公開:2017年11月28日 更新:2023年6月30日

キーワード:いい姿勢けがエスパニョールスペインヒザ痛股関節背骨

お子さんのサッカーを見ていて、ドリブルの切り返しやディフェンスの方向転換をするときに、なんだか動きが遅い、足が重いように見えることはありませんか。よーいドンなら遅くないのになぜだろう、と思う親御さんもいるのではないでしょうか。

サッカーで素早い動きをするのに重要なのは「股関節」だとアスレティック・トレーナーの松井真弥さんは言います。これまで、ジュニア年代の体幹トレーニングが必要かどうかのお話や、イメージした通りに身体を動かすためのトレーニングをご紹介してきましたが、今回はスピードアップにつながる身体の動かし方をお送りします。(取材・文:原山裕平)

股関節のトレーニングを
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(写真はU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2017より)

<<元スペイン1部のトレーナー直伝!イメージ通りのプレーをするための骨盤と背中のトレーニング

スペインの名門エスパニョールのアカデミーで10年に渡ってトレーナーを務め、ベガルタ仙台のトップチームでも同職を担った経験のある松井さんに、前回は身体の動きをスムースにして素早い動きを可能にするための骨盤の可動域の広げ方背中をほぐすトレーニングを教えていただきました。

今回は股関節の動きをスムースにするエクササイズを教えていただいたので、動画を交えてご紹介します。

■股関節の動きをスムーズにする

骨盤、背骨の動きに加え、股関節の動きも大切な役割を担います。プレーのスピードを向上させるには、足を鍛えるのではなく、股関節の可動域を広げることこそが大事だと、松井さんは話してくれました。

股関節の動きで重要なのは、大腿骨と接地する球体状の部分が、ベアリングのような役割を果たすこと。そのためには股関節が、大腿骨に上手くはまらなければいけません。

それを確認する動きがあります。イメージしながら実践してみてください。

まず片足を上げて、上げた足の方向に身体をひねります。次に逆足でも同じ動作を行ないます。その際に、ふらついてしまう場合は、上手くはまっていない証拠です。まずは、この動作を繰り返し行い、はまっている感覚を身に付けましょう。

次に股関節をベアリングのように動かすためのトレーニングです。

床に座り、膝を立て、その状態で片足の膝の内側を床に付くように倒します。右、左と交互に倒す動きを繰り返すことで、股間節の可動域が広がります。

股関節の動きもまた、姿勢の良し悪しに左右されるそうです。姿勢が悪いと骨盤が下がってしまいます。その状態で股関節を動かそうとしても、前には動かせるものの、後ろには上手く動かせないのです。

これは猫背の状態だと、肩を上手く回せないことと同じ原理で、身体はひとつにつながっているものである以上、一方の状態が悪ければ、他の部分にも影響を及ぼしてしまうのだと松井さんは教えてくれました。

ヨーロッパの人たちは先天的に骨盤が前傾している為、姿勢が良く、股関節の可動域も日本人と比べて広い人が多いそうです。したがって意識的に骨盤を前に傾けることが、股関節の可動域を広げることにつながるのです。

【股関節の動きをスムースにするエクササイズ】

※字幕と動きが重なって足の動きが見えにくくなる可能性があります。恐れ入りますが、字幕を非表示にしていただくなどのご対応をしていただけますようお願いします。

■股関節の動きが良くなるとヒザ痛軽減にも

股関節は球関節のため、あらゆる方向に可動域を持ちます。ボールのような形状の骨がスムースに回転することで方向転換や切り返しがより素早く行えるようになるのです。

また、骨盤を立てて股関節を可動させることで、連動した筋肉にも影響があります。腰痛の原因でもある大腰筋は、インナーマッスルでもあり、正しく股関節を使うことで鍛えられます。また、骨盤底筋や内転筋、ハムストリング(太もも裏の大きな筋肉)などがきちんと機能することで股関節が安定し、ヒザへの負担が軽減するのです。

したがって、股関節の動きが良くなると、ジュニア年代も悩まされる「ヒザの痛み」の予防にもなります。

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(写真はU-12ジュニアサッカーワールドチャレンジ2017より)

松井さんは、日本の方がスペインに比べヒザの痛みを抱える子が多い印象だと言います。これも良い姿勢が身についていない事や股関節がうまく使えていないことに原因があるのです。

お子さんが「ヒザが痛い」と言い出す前に、正しい姿勢と股関節のボール(球体になっている関節部分)をスムースに動かせるようトレーニングでケガの予防に努めましょう。

■足が重い状態を回避するためにできること

ここまで紹介したように、股関節の動きをスムーズにすることはスピードアップを目指すうえでは欠かせませんが、それと同時に、足の疲れを軽減することも大切です。そこでここでは、足の疲れを取り除き、足が重い状態を回避するためにできることを紹介します。

■クールダウン

プレーをする前にウォーミングアップで体のスイッチを入れるように、プレーを終えたらクールダウンで体のスイッチを徐々にオフにすることが大切です。クールダウンで体をケアしないと、疲労が蓄積して筋肉が硬くなってしまいます。筋肉が硬い状態は怪我のリスクも高まるため回避しなければなりません。クールダウンは、筋肉の柔軟性を取り戻すのと同時に、運動によって傷ついた筋組織の修復にもつながります。クールダウンにはさまざまな方法がありますが、簡単にできるのはジョギングです。ゆっくりと軽く走ることで、翌日以降の足の疲労具合も変わってくるでしょう。

■ゆっくりと入浴する

足が重い状態を改善するためには、ゆっくりと湯船に浸かり体を労わることも大切です。湯船に浸かって体を温めることで、血管が開き、血流が良くなります。血流が良くなると疲労物質の排出や損傷した筋肉の回復を早めることができます。

通常の入浴だけでも血流の改善は期待できますが、スポーツ後の場合は、温水と冷水による交代浴もおすすめです。温水は血管を広げますが、冷水は逆に血管を収縮させます。これを繰り返すことで、血管の弾力性がアップし、さらに血流が良くなります。

自宅であれば、以下のような形で行うことができるでしょう。

  1. 30度くらいの冷水(シャワー)かける
  2. 41度くらい温水に10〜15分入る
  3. 5分ほど休憩する

■マッサージ

足が重いと感じている人は、ふくらはぎや太ももなど下半身のマッサージを入念に行いましょう。特にふくらはぎは第二の心臓と呼ばれるなど、下半身の血液循環で重要な役割を果たしています。

ふくらはぎのマッサージは、ふくらはぎの裏側を掴むようにして揉んでください。この時、足首の方から揉み始め、徐々に膝の方へと上がって行くようにマッサージを行うことがポイントです。

また、太もものマッサージは、膝裏から始め、押しほぐしながら少しずつ上の方へと進んでいきます。表側をマッサージするときは、手のひらで円を描くようにほぐしながら行ってください。

■着圧ソックスの着用

プレーをしている最中に足の負担を軽減することも足が重い状態を回避するためには大切です。例えば、着圧ソックスは、ふくらはぎの筋肉の収縮をサポートし、血行を促進してくれるため、足の疲労軽減につながります。また、ソックスによる圧が筋肉を安定させるため、プレー中の筋肉の揺れを抑えることができ、プレー後の回復を早めることも可能です。

ケガ・痛みなくサッカーを楽しむために、予防の知識を得てわが子の快適なサッカーライフをサポートしましょう。

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松井真弥(まつい・しんや)
アスレティック・トレーナー。2010年より10年間、スペインのリーガ・エスパニョーラ1部の名門RCDエスパニョールでトレーナーを務める。帰国後は2011年から14年までJリーグのベガルタ仙台でトレーナーとして活動。現在は千葉市にある鍋島整形外科にて身体のケアや身体の使い方によるケガ減少の指導を行っている。不定期で走り方教室を開催中。
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文:原山裕平、写真:新井賢一(U-12ジュニアワールドチャレンジ2017)

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