運動能力
良いGKに必要な「失点しないコーチング」を身につけるコツ 味方を上手く動かす声かけ・指示とは
公開:2023年11月10日
サカイク初のゴールキーパー向けキャンプとして、リピーター続出なのが、澤村公康コーチによるゴールキーパーキャンプです。
技術、戦術はもちろんのこと、「良いゴールキーパーになるための心構え」や「ゴールキーパーをするお子さんをお持ちの、保護者に向けたアドバイス」など、ゴールキーパーとして成長するためのヒントをたくさんもらえるキャンプです。
日本代表のシュミット・ダニエル選手の恩師として知られ、サンフレッチェ広島時代には、日本代表の大迫敬介選手を開花させたことでも有名な、澤村コーチによるゴールキーパーキャンプは、2023年12月に開催予定です。
そこで今回から4回に分けて、澤村コーチに、
①失点しないコーチング(味方への指示) ※今回はこちら
②失点しないためのポジショニング
③プレーの反応速度を上げる(ステップワーク、プレー予測など)
④状況判断能力を上げる
をテーマに、ポイントを教えてもらいました。
ゴールキーパーとしてレベルアップしたい小学生に知ってもらいたい内容です。ぜひ保護者の方は記事の内容をお子さんにもかみ砕いて紹介してください。
(取材・文 鈴木智之)
関連記事:「ノートを見返すことで周りを見る習慣がついた」センアーノ神戸の選手に聞いたサッカーが上手くなるサッカーノートの使い方
■相手にシュートを打たせないGK
第1回目は「失点しないコーチング(味方への指示)」です。ゴールキーパーのもっとも大切な仕事は、ゴールを守ることです。相手にシュートを打たせなければ、失点する可能性は限りなく低くなります。
澤村さんは「コーチング(指示出し)」の重要性を強く認識しており、これまでの指導経験をもとに、こう話します。
「僕はこれまで、育成年代からトッププロまで、38人の監督と仕事をしてきました。その中で38人全員から言われたのが、『味方とコミュニケーションをとって、相手にシュートを打たせないキーパーにしてほしい』ということでした」
■味方へのコーチング(指示だし)は「大きく、はっきり、わかりやすく」。「打たせるな」より「寄せろ」が良い理由
澤村コーチはコーチング(指示出し)のポイントを、次のように説明します。
「大きく、はっきり、わかりやすく。味方に指示を出すときは、この3つを意識しましょう。たとえば、シュートを打たせたくない場面で、味方に対して『打たせるな!』という指示を出しているキーパーを見かけます。はたして、これは良い指示でしょうか?」
そう疑問を呈し、次のように続けます。
「相手にシュートを打たせないために、味方は何をすればいいのでしょうか? 『打たせるな!』だと、指示が聞こえたとしても、具体的な行動は人によってそれぞれです。それならば、ボールを持っている選手に対して『寄せろ!』という指示の方がわかりやすいです」
寄せろ! という指示を聞いた選手は、相手との距離を詰めるようになります。結果としてシュートを打たれたとしても、足に当たる可能性が高くなりますし、シュートコースを塞がれていることを察知したシューターは、シュートではなくパスを選択するかもしれません。
「『寄せろ!』は語尾の母音が『お』なので、声を発しやすく、体に力がみなぎりやすいです。このように、ゴールキーパーが発する言葉ひとつで、味方も、自分もプレーがしやすくなることを、キーパーを始めたばかりの子たちに理解してもらいたいと思っています」
■DFラインを上げて欲しい時は「下がるな」ではなく......
また試合中、ゴールの近くでボールを持たれたくないので、ディフェンスラインを上げてほしい場面があります。
「そのとき、ディフェンスの選手に『下がるな!』と声をかけているキーパーをよく見かけます。『下がるな!』は『下がる』という動詞に『な』を加えて、否定する言葉です。試合の緊迫した状態で『下がる』と『下がるな』を聞き分けるのは難しいですし、最後まで聞かないと、『下がる』なのか『下がるな』なのかがわかりません」
では、ここで問題です。ディフェンスラインを下げさせたくないときに、どのような指示を出せばいいでしょうか?
「僕は『止まれ!』を推奨しています。人間は止まれと言われると、その場にとどまろうとします。結果、ディフェンスラインをずるずる下げることはなくなります。『止まれ!』は短くて発しやすく、言われた方もどうすればいいかが瞬時に理解できますよね。大きく、短く、わかりやすく。これがコーチング(指示出し)のポイントです」
■わかりやすいコーチングは、親との会話など日常生活で意識することができる
わかりやすいコーチングは、サッカーの場面だけでなく、日常生活からも意識することができます。
「たとえば、親御さんと話をするときや、監督・コーチ、学校の先生から質問をされたときなど、わかりやすく、はっきりと大きな声で簡潔に話すように心がけると、試合のとっさの場面でも出せるようになってきます。大事なのは、日々の積み重ねです」
澤村コーチのゴールキーパーキャンプでは、ピッチ内でのトレーニングはもとより、日常生活やピッチを離れたときに、仲間同士でどのようなコミュニケーションをとるか、あるいは親子でのコミュニケーションなど、ゴールキーパーとして成長するために、多角的なアプローチをしています。
「お子さんもそうですが、見学に来てくれている保護者の方も、とても満足してくれています。それはすごく嬉しいことですし、キャンプで学んだことを家に持ち帰って、家庭や日々の活動で意識していってほしいと思っています」
■GKとしてもっとレベルアップしたい子におすすめのゴールキーパーキャンプを開催
リピーター多数、参加満足度も高評価の澤村コーチによる、ゴールキーパーキャンプ。「ゴールキーパーとしてもっとレベルアップしたい」「将来はプロになりたい」と思う子は参加してみてください。
多数のプロを指導し、本物を知る澤村コーチから学べることはたくさんあるはずです。
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