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健康と食育

試合前のように筋肉に負荷をかけていませんか? 正しいクーリングダウンを知ろう

公開:2013年4月19日

キーワード:ストレッチマッサージ

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 クーリングダウン実践編の今回もフル代表、育成年代の日本代表のトレーナーを務める並木磨去光トレーナーにお話を伺います。
 
 
<<試合後の5分が次への準備につながる! クーリングダウンの大切さを学ぶ
 
 

■クーリングダウンでは負荷をかけないストレッチを

 ウォーミングアップのストレッチとどう違うのか? これは、ある簡単な違いを出すことで、解決できるようです。
 
「ひとつは負荷をなるべくかけないこと。まずは『クーリングダウンのストレッチは座ってやる』と覚えておけばいいでしょう」
 
 同じ“もも前”を伸ばすストレッチでも、ウォーミングアップのときは立ったまま負荷をかけて伸ばしていきます。クーリングダウンの時は負荷がかかりすぎないように座りながらゆっくりストレッチをします。
 
「運動後はなるべく膝に余計な負担をかけたくありません。運動後のストレッチを大切にしようとするあまり、試合前のように負荷をかけている光景を目にしますが、あれではクーリングダウンにはなりませんよね」
 
 クーリングダウンは刺激を入れすぎず、座ったり、寝転んだりしながらゆっくりと伸ばしていくのが鉄則です。
 
「クーリングダウンを最後にすることもポイントのひとつですね。クーリングダウンの途中や終わりに体幹トレーニングを組み込んでいるチームを見かけますが、あれもできれば体幹をやったあとにクーリングダウンの順番を徹底した方がいい」
 
 身体を休めるための動きと、トレーニングで鍛える動きを同時にしてしまってはお互いの効果が半減してしまいますよね。
 
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■状況に応じた対応を ストレッチの注意点

「クーリングダウンの効果はお話ししましたけど、現実問題、クーリングダウンが難しいこともあるんですよね」
 
 Jリーグでは試合後、サポーターのいるグラウンドを使ってジョギングというのは現実的ではありません。狭い室内でストレッチだけと言うことも珍しくないようです。並木さんが実際に関わった育成年代の試合でも、クーリングダウンのスペースがなく、室内のストレッチだけで済ませたこともあったそうです。
 
「走るのは結構どこでもできますが、ストレッチをする場所には注意が必要です」と、並木さん。
 
 特に試合後は「空いているアスファルトの上でストレッチ」ということも珍しくありません。座ってやるクーリングダウンだけに、夏の炎天下では直に伝わる熱に気をつけなければいけませんし、冬は冷気で体が冷えることにも注意が必要です。
 
「一番大切なのは子どもたちの身体の状態を見て対応することです」
 
 クーリングダウンをすることが目的になってしまって、かえって子どもたちの身体を危険にさらさないように、そこは柔軟さが求められます。
 
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■自発的に考える身体のケア

「これまで説明してきたようにウォーミングアップとクーリングダウンはとても大切なメニューですが『必要だからこれをやれ』と、子どもたちに指示するだけでは、本当の意味で身体のケアを自分でできる選手は育ちません」
 
 ウォームアップもクーリングダウンも方法論のひとつ。並木さんは選手が自分の身体に必要なことを、必要性を感じて自主的にやるのが理想だと言います。
 
「はじめはきちんと正しいやり方を示す。効果についてもきちんと教える。その後は、自分で工夫してやってみる」
 
 並木さんも選手たちにひとつひとつのメニューを「やる意味」に気づいてもらおうと、工夫を凝らしているそうです。
 
「『もも裏』『じゃあ次はもも前』なんて、ストレッチの時に伸ばして欲しい部位だけを言って、子どもたちにどんなストレッチでそこが伸びるかやってみてもらうのもいいですよね。クイズ形式にすると、選手たちも盛り上がってやりますよ」
 
 正しい方法と効果を伝えることは重要ですが、習慣付けが大切な身体のケアは「指示待ち」では効果も望めません。指導する側もあまり形にとらわれすぎてもいけないようです。「言われてやる」から「必要だから」「自分にとって大切だから」やる身体のケアへ。自分の身体を大切にする選手は、きっとサッカーでも考えてプレーできる選手になることでしょう。
 
 
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並木磨去光 //
なみき・まさみつ
日本代表アスレチックトレーナー。スポーツマッサージ・ナズー代表。トレーナーとしてW杯、五輪日本代表をサポート。ケガ人の治療、マッサージによる疲労の回復、コンディショニング、リハビリテーションなどを担当。今年行われたAFC U-16選手権では久しぶりにアンダーカテゴリーのトレーナーを担当。チームの準優勝、2013年に行われるU-17W杯出場権獲得に貢献した。
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取材・文/大塚一樹 撮影/新井賢一(ダノンネーションズカップ2013より)

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