■生理状況を共有することでメンバーから外される!?
前編でも紹介しましたが、スフィーダ世田谷の選手の多くは、当初生理とコンディションの関係を否定しています。いくつかの理由が考えられる中、千葉マネージャーは生理によって自らの評価が下がることへの恐怖が一番強いのではないかと推測します。
「わたしは生理でパフォーマンスが悪いと思われるのが嫌で、絶対にスタッフの耳には入れたくなかったです。今回の取り組みを始めたときにも、ある選手から『メンバーを外されることが怖い』という声が挙がりました。不安をもつ選手たちには『あくまで不調をカバーするための材料だよ』ということを説明して、今は自分から体調を申告してくれるようになっています」
イライラしたり、足がむくんだり、眠気が出たり、食欲が増したり…。痛みがひどくてトイレに籠もってしまう選手がいる一方、生理中のほうがパフォーマンスが上がるという選手もいることが分かりました。試合への影響を考えて治療をためらっていた無月経の選手は、自ら早期治療に踏み切ったそうです。
生理に対するチームの理解を実感したことで、選手たちはようやく自らのコンディションと正面から向き合えるようになりました。
■生理を含めた自己管理がトップ選手になる近道になる
取材の最後に、千葉マネージャーは選手たちへ向けたエールを送ってくれました。
「早い段階から生理を含めた自己管理が当たり前にできるようになることが、トップ選手への近道になるかもしれません。生理は女性にとって一か月に一度のイベント。しっかり把握することで、もっとサッカーを楽しめるようになると思います」
男性指導者が大きく踏み込むには勇気がいる、女性と体の問題。お互いが理解を深め、信頼関係を築くことで、より素晴らしいチームへと成長していくはずです。また、下記に参考となるサイトを紹介しますので、ぜひご覧になってください。
勝つことを追求するトップチーム(チャレンジリーグ:なでしこリーグ2部所属)と、普及と育成を目的とするアカデミー(小学生・中学生・高校生・ママさん)との、合計約170名が所属する日本国内最大規模の女子サッカークラブです。HPはこちらから
【参考資料】
取材・文・写真/青木美帆