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夏バテ予防や疲労回復の処方箋!"眠たくなるサイクル"の作り方【プロから学ぶ疲労回復と夏バテ対策2】

公開:2015年7月 9日 更新:2021年6月 8日

キーワード:疲労回復

そろそろジメジメとした梅雨も終わり、暑い季節がやってきます。そうすると、気温の上昇とともに体への負担が増え、夏バテが心配になります。そこで、過去に横浜ベイスターズのトレーナーを務め、現在はゴールドジム成田千葉店でトレーニング指導を行う平野元章さんに夏バテ対策や疲労回復に関するお話をうかがいました。前回は、子どもの疲労具合を簡単にチェックできるストレッチや、疲労の仕組みについて教えてもらいました。今回は、生活リズムを整えることの重要性や、休養の大切さを聞いてきました。
 
サッカーをがんばる少年少女たちのお父さんお母さんは必見です。(取材・構成=木之下潤/写真=サカイク編集部)
 
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■生活リズムを整えて“眠たくなるサイクル”をつくろう

――夏休みになると練習や試合も多くなり、疲労も溜まります。そうなることで起こしやすい症状はありますか?
 
「脱水症状にならないよう注意したいのと、夏場はふくらはぎや足裏がつることも増えます。しっかりと日頃から栄養を摂り、練習や試合のときに十分に水分補給を行うこと。そうすれば、これらの症状の予防にもなります。最近、朝食を食べる小学生は増えているそうです。しかし、中学生は減っているとか。その原因は、中学生になると夕食を食べる時間が遅くなり、朝になってもお腹が空いていないから。生活のリズムそのものが遅くなっているために陥る弊害です。これはクラブやスクールに通うジュニア年代の子どもたちにも言えることではないでしょうか。あくまでも体作りのベースは普段からの私生活だということを忘れないでください」
 
――足がつる症状に見舞われたときはどう対処したらいいのでしょう。
 
「まずは、つった部分をしっかり伸ばすこと。たとえば、ふくろはぎがつったのなら足首を曲げてつま先を垂直に保ち、膝を曲げずに真っ直ぐ伸ばした状態でふくろはぎを伸ばします。それと、予防として十分に水分を補給することです。しかもナトリウム、つまり塩分を含んだドリンクを体内に取り入れることです。食べ物であれば、カリウムも含んだバナナをお腹に入れるのもいいと思います。糖質も摂れてエネルギーの補給になりますから。最近の研究では、ナトリウムもある程度、含有量を必要とすることがわかりました。だから、パッケージに記されている表示にも目を向けてみてください。個人的な意見ですが、ポカリスエットはおすすめです。自分が飲むドリンクは「体に染み渡っている」と感じるものを口に含むようにするのが、体にとって一番正直なんだと思います。お腹に残らず、吸収しているような感覚を得られるものです。水分補給は1時間に3~4回、15分おきに飲むようにしましょう」
 
――夏場だと、休養も疲労回復には欠かせないものです。
 
「もちろんです。完全休養する場合もあれば、ストレッチやジョギングなど軽めに動いてリカバリーする場合もあります。その時々の子どもの状態を見て判断することが大切です。最近のジュニア年代は夜更かしする選手も多いそうですが、睡眠は成長期の体には必要不可欠なものです。かといって、眠ろうと意識すればストレスになりますから、まずは、眠たくなるサイクルを作ることを心がけましょう。そのためにも20時までには夕食を食べるようにし、お風呂でリラックスする時間を設ける。そうすれば、12時を回るころには自然に体が眠たくなるでしょうし、朝になればお腹も空いているはずです。そんな規則正しい生活リズムを刻むことが大事です」
 
 

■親にできることは、子どもの体の変化に気づくこと

――お父さんお母さんにできることは、規則正しい生活を送らせることですね。
 
「私たちトレーナーが疲労回復について子どもたちにできることは、体を整えることと、栄養や睡眠のアドバイスをするなどですが、そのほとんどが私生活にかかわることですから、日頃から規則正しい生活をすることが結果的に早く疲労回復することにつながります。そうすることで、自分の体の変化にも気づきやすくなります。たとえば、『昨日は寝るのが遅かったから体が重かったのか』とか。だから、親御さんは規則正しい生活の道筋を子どもに示し、その生活リズムを作ること、そして、それを毎日続ける手助けをしてあげてください」
 
――ほかに周囲の人がやってあげられるサポートはありますか?
 
「暑い夏場であれば、体重もバロメーターになります。プロ野球選手、特にキャッチャーは夏だと試合後に体重が3㎏以上減る選手もいます。体中の水分が、体重の2%失われるとパフォーマンスが落ちると言われていますから、水分を摂り、エネルギーとなる食事をしっかりとる。これは一つの事例ですが、試合前の朝に体重をはかっておき、帰宅後にまた体重をはかってみると、水分補給や食事をとることの重要性に説得力が出るかもしれません。コーチや親にできることはサポートすることです。そのためにも根拠のある情報を収集し、十分に体のことを学んでおくことが子どものためになるのではないでしょうか」
 
――そうですよね。よく水分補給には、体温を下げる意味もあると言います。
 
「そう、水分を補うだけではないんです。運動することで急激に上がった体温を下げるためにも水分を摂るのです。5℃~15℃のものを飲むようにしてください。夏は筋肉の温度も上がってしまうので、試合後は冷水のシャワーを浴びて一気に冷やすことも夏バテには有効です。そのような環境がなければ、足裏を氷や冷水で冷やすだけでも疲労回復には役立ちます」
 
――先ほども足裏の話が登場しました。
 
「前回も足裏をほぐすことをおすすめしました。唯一、人間の体が地面に接している部位です。運動方向も運動の強弱もすべて足裏で決まると言っても過言ではありません。そう考えると、それだけ負担の大きい部位でもあるのです。ふくろはぎや太腿、お尻など大きい部位は筋肉疲労も気づきやすいのですが、足裏のような部位は気づきにくい。だから、意識的にケアしてあげると、パフォーマンスの低下を防ぐことにもなります。少し専門的な話をすると、メカニカルストレスという言葉をご存じでしょうか?」
 
――はじめて聞きました。
 
「簡単に説明すると、痛みがある場所とは離れた場所に原因があるということなんです。たとえば、肩が痛いとします。そうすると、普通は肩を集中的にケアします。でも、痛みが治まらない場合がある。体は連結連動しているので、下半身をケアしたらスッと痛みが消えたりすることもあるのです。特に足元は重要なのです。細かく骨が配列しており、膝や腰、股関節の痛みの原因が足元にあったりすることも多いんです。それほど足は人体にとっては大切な部位なのです」
 
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