打撲などの外傷の対処方法で、何はなくとも押さえておきたいのがRICE処置です。

 

「何度か目にしたことがある」という人もいると思いますが、自分には関係ない、難しそうと、敬遠していた人もいるのでは？

 

RICE処置は、お父さん、お母さんであっても覚えておいて損のない、とても役に立つ応急処置方法です。金成さんにできるだけわかりやすく解説してもらったので、この機会に読んでみてはいかがでしょう。

 

RICE処置は、Rest（安静）、Ice（冷却）、Compression（圧迫）、Elevation（挙上）という応急処置に必要な4 つの処置の頭文字をとったもので、ケガへの対処の基本のスキルとも言える処置法です。

 

金成さんも「ケガが付き物のスポーツに関わるならば、絶対に知っておいていただきたいこと」と言います。RICE 処置について、引き続き打撲を例にどんなことをしたら良いのか紹介しましょう。

 

R......Rest　安静にする

ケガが発生したら、すぐにプレーを止めて、安静にすることが最優先です。RICE処置のＲの前に「Ｐromtect（保護）」の「Ｐ」を付けた「PRICE処置」という概念も登場していますが、ケガをしたらまずは安全を確保して安静に！

 

I......Ice　冷やす

アイスは、冷やすこと。外傷に対してはまず冷やすと覚えておきましょう。打撲を温めてしまうと筋肉が痛んでいるところに血流が良くなってパンパンに腫れ上がってしまうなんてことになりかねません。同じ理由で患部のマッサージもNG。氷を氷嚢やビニール袋に入れて冷やしましょう。

 

C......Compression　圧迫する

患部を圧迫することで冷却効果も増します。また腫れがひどくなるのを防ぐことができますのでバンデージやテーピングなどを使用して圧迫するといいでしょう。但し、圧迫が強すぎると、血流を阻害したり、神経を圧迫してしまうことがありますので、患部より先がしびれたり、青紫色になっている場合は、少し弱めに圧迫し直しましょう。

 

Ｅ......Elevation　挙上する

挙上するというとなんだか難しそうですが、Elevation（エレベーション）はエレベーターを思い浮かべればわかるように、上にあげる、持ち上げるという意味です。血液を全身に送る役目の心臓より、患部を高い位置に保つことで、内出血やズキズキとした痛みを抑えることができます。

 

ケガに対してどう対処するのかは、もちろん専門家に任せたいところではありますが、このRICE処置は、自分が対処するしないにかかわらず、覚えておいて損のない応急処置の方法です。

 

肉離れを起こしているのか、打撲なのか？　骨に異常があるか？こうした判断は、やはり知識を持った専門家でないと難しいでしょう。

 

「骨折や脱臼による変形、ショック症状などは迷わず救急車要請、医療機関への受診となりますが、そのような場合でなければ、まずグランドでRICE処置を行った上で、患部のしびれ、患部への荷重不可（立っていられないとか、力が入らない）を確認し、その後に医療機関に受診する方がいいでしょう」

 

あなたのお子さんを守る『サカイク救急箱』の第1回として、ケガの対処法について、まず覚えて欲しいこと、優先順位の高いことを紹介しました。

 

ケガはサッカーをプレーする子どもたちの最大の敵になり得ます。ボールを蹴りたいのに痛くて蹴れない。試合中に思い切ってプレーできない。練習も力をセーブしながらじゃないとできない......。子どもたちを悩ますケガに対処するには、お父さんやお母さんが、ケガに対して最低限の正しい知識を身につけることも大切です。

 

今回はサッカーに起きやすいケガ、主に外傷とその基本的な対処法について紹介しました。今後はさらに細かいケガによっての対応や、障害編、予防法などもご紹介できればと思っています。

 

 

金成仙太郎／トレーナー

ジュニアからトップアスリートまで（J1リーグチーム・日本代表ユース年代・中学高校大学サッカー部・サッカー大会など）幅広いカテゴリー・レベルの選手をサポート。国際スポーツ医科学研究所代表取締役としてだけでなく、勝浦整形外科クリニック理学療法士／パーソナルトレーナー／大学専門学校講師／セミナー開催など多方面で活躍している。現在はできるだけ多くのサッカー選手をサポートするために、全国から医療従事者・アスレティックトレーナーを集めたサポート活動を展開中。

 

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