■食事の際の姿勢が、美しい歯並びを作る
歯並びのために、まずすべきことは食事の際の姿勢を正しくすることだそうです。離乳が始まって、テーブルで食事をするようになったら、食事の際に足が床にしっかりと付くようにすることが大事なのだとか。
足がブラブラしているようでは、落ち着いて食事をすることができません。物を食べるときは歯で噛んでいるだけではなく、首などの筋肉も使っています。ですから、姿勢が整わないと、きちんと筋力を使えずうまく噛むことができないのです。普段、床に足がつかない高さの椅子に座って食事をしている場合は、足の下に台を置くなどしてあげる工夫をすることや、テレビなどに目が行ったり、頬杖をつくなど、首が落ち着かない状態ではなく、家族と味わい対話する楽しさを教えてあげてください。咬みながら歯の位置もきまってきます。
きちんとした歯並びを作るには、しっかり噛むこと。そのために姿勢が安定することが必要です。親は子どもにきちんとした姿勢で食事ができる状況を作ること。背筋が伸びる座り方を身に付けられるように、教えましょう。
子どもがいい歯を持っていても、姿勢が悪いときちんと噛むことはできません。きちんと食べてしっかりパフォーマンスをさせてあげたいなら、姿勢という基本を身に付けさせることは、親としてやるべきことです。
さらに、健康な歯を保つためには、食事の内容にも気を配ることが大切です。運動中は口呼吸をするので歯垢がたまりやすくサッカーをする子どもたちは、むし歯になりやすくなります。
「サッカー後のスポーツドリンクもあまりおすすめできません。むし歯菌の好物である糖分を固着した歯垢にあたえ、歯にはダブルパンチです。毎日30㎞以上走るようなアスリートであれば、スポーツドリンクのような塩分と糖分が必要かもしれませんが、ジュニア年代では水分補給は水で十分」と宮新先生は話します。
またプロの選手のように、ガムを噛むことも歯科医師としては推奨しないとのこと。子どもの歯は大人よりもむし歯になりやすいので、子どもにとってはむし歯の原因になるためだそうです。口呼吸が多く歯垢が多い状態で、ガムを噛めば歯の汚れは歯の間に押し込まれます。そうして隙間むし歯は作られるのです。さらに、キシリトールなどの人工甘味料入りのガムのなかには下痢を引き起こすこともあるので、子どもにはお勧めしません。と教えてくれました。
■いい食材をいい環境で食べることが、一番大切なこと
宮新先生は健康に歯と口腔を育むために日々の食事で気を付けたいポイントについて、こうアドバイスをくれました。
「いい食材はしっかり噛んで食べたらおいしいものです。そしてゆったりとした雰囲気で、ちゃんと味わうこと。良い姿勢で、対話しをしながら楽しんで食べることが一番です」
慌てて食事をすることのないように、日々の生活を見直しませんか。学校に、サッカーにと忙しい子どもたちですが、食事の間はせかされることのないように。ゆっくりと食事ができる環境を作ってあげましょう。
宮新美智世(みやしん・みちよ)/東京医科歯科大学 准教授
大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学講座 小児歯科学分野 分野長、歯学部附属病院 小児歯科外来外来科長。
担当分野は小児歯科。お子様のむし歯、歯の数の異常、歯のはえ方・かみ合わせの異常、歯ぐきの異常。専門は、歯と口のケガ(外傷)の治療と予防、歯内療法、病的歯根吸収の治療、全身麻酔時などの歯・口腔の損傷(予防マウスピースの作成)、小児虐待の研究など
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文:前田陽子