■子ども時代の歯ぎしりは気にしないで
ジュニア世代の保護者から「子どもが歯ぎしりをするんです。大丈夫でしょうか?」という声をよく聞きます。宮新先生いわく「20歳ころまでは顔の筋肉や骨、神経系統、歯とがバラバラに成長するので、睡眠後は筋肉がストレスを発散するように歯ぎしりが起こります」とのこと。子ども時代の歯ぎしりは病気ではなく、生理的なものなので、心配無用だそうです。さらに、歯ぎしりで特に乳歯はすり減り、その時点で最も安定した咬み合わせの形に変化し続け、最終的には抜けおちて永久歯に変わります。乳歯とはそういう運命なので、削れることは自然の変化です。
また、永久歯についても噛みやすい歯やあごの位置を調整したりしているので、成長期の歯ぎしりは、よほど特定の歯すり減り過ぎでしみていたいときや、顎の関節が痛くて口が開かないなどのトラブルが伴う時以外は心配しません。歯ぎしりを聞いたら、今日も大きくなったんだと大らかにとらえましょう。
健やかな日々を過ごすためにも、スポーツでのパフォーマンスを上げるためにも、歯の健康を維持することは大切です。毎日の積み重ねが重要ですので、ジュニア年代から歯の大切さを意識してケアを歯科医院で教えてもらってはいかがでしょうか。
宮新美智世(みやしん・みちよ)/東京医科歯科大学 准教授
大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学講座 小児歯科学分野 分野長、歯学部附属病院 小児歯科外来外来科長。
担当分野は小児歯科。お子様のむし歯、歯の数の異常、歯のはえ方・かみ合わせの異常、歯ぐきの異常。専門は、歯と口のケガ(外傷)の治療と予防、歯内療法、病的歯根吸収の治療、全身麻酔時などの歯・口腔の損傷(予防マウスピースの作成)、小児虐待の研究など
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文:前田陽子