■足を元気にしてあげることが必要

従来のインソールは、主に衝撃を吸収する役割を担っていましたが、BMZ社のインソールは、より良い足の環境作りをテーマとして生み出されたもの。同社の山中保取締役サッカー担当マネージャーはその特徴を次のように説明します。

「自分の足を上手く使える環境を作ることで、足を元気にしてあげるのが、このインソールを作った目的です。足が元気になれば、姿勢が変わる。姿勢が変われば筋肉が上手く使えるようになる。そうした好循環が生まれてきます」

山中さんは、パフォーマンスの向上や怪我の原因は、足の裏の状態に大きく左右されると言います。

「足の裏で起きている問題が、身体の上に波及して、腰が痛い、膝が痛いといった問題につながるのです。足の裏が正しく使えれば怪我は減るし、姿勢が良くなりパフォーマンスの向上につながる。私たちは足の裏の機能性こそが、重要な意味を持っていると考えています」

実際にＦＣ東京の選手たちを測定すると、思った以上に足の状態が悪かったと感じたそうです。

■ポイントは「アーチの高さ」と「つま先」

「何で良くないかと言えば、サッカー選手はそれだけ負荷が大きいから。その意味で、しっかりとした知識やメンテナンスが、まだまだ足りていないのかなと感じました。これはＦＣ東京の選手だけではなく、他のクラブの選手たちもおそらく同じような状態にあると思います。使えば使うほど悪くなるのは当然だからです。だから、その悪くなった状態を、このインソールを使うことで正常、あるいはより良い状態に持っていってあげる。そういう想いで、このインソールを開発しました」

正しい足の使い方を生み出すために、ポイントとなるのはアーチの高さ。アーチが低いと足の指が上手く使えず、思ったような身体の動きができなかったり、怪我の温床になるそうです。

「アーチが高ければ高いほうがいいというわけではないですが、程よい高さが必要です。足は踵から着いたら衝撃が大きいですよね。だけどつま先から着いたら、衝撃を感じない。それは無意識のうちにみなさんが理解していることです。つま先が上手く使えると、衝撃の吸収と反発力、そしてバランスを取りやすくなります。逆にこれができないといろんな問題が出てくる。特にサッカー選手は負荷が大きいので、ダメージが長年蓄積されてパンクしたような状態になってしまいます。そのためには前足部を上手く使うことが重要なのですが、アーチが低いとそれが難しくなってしまう。このインソールを着用すれば、アーチの高さを生み出すことができ、前足部を有効活用することができるのです」

■サッカースパイクは"きつめがよい"というのは間違い

これはプロだけの問題ではなく、少年サッカーでも同じこと。むしろ早い段階から前足部を活用する感覚を身に付けておいたほうがいいと山中さんは言います。

「早いうちからいい姿勢でプレーする感覚を身に付けてもらいたいですね。大人になってから強制するのは、難しいですから。育ち盛りの子こそ、足の使い方を学び、いいバランスでサッカーをしてもらいたい。そうすれば必ず上手くなるはずですから。サッカーには"きつめのスパイクの方がよい"という定説がありますが、もちろんブカブカはよくないにしても極端にきついスパイクはよくありません。窮屈な状態では、足指をしっかりと使えないためパフォーマンスの低下や怪我の原因にもなってきます。こうした正しい靴選びという点もサッカーにおいては重要なポイントです」

パフォーマンスの向上と怪我の予防。足の裏を上手く機能させることがそのふたつのテーマの解消につながります。そしてインソールはそのためにも、重要なアイテムとなるのです。