元日本オリンピック委員会強化スタッフで、現在はスポーツ栄養WATSONIAの代表としてプロスポーツ選手から企業まで広く栄養サポートをしている管理栄養士、川端理香さんに食事の大切さを教えていただきます。
今回は身長や骨の健康に欠かせないと認識されている「乳製品」の中から牛乳についてその働きや選び方をご紹介します。
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■お腹を壊さない飲み方がある!
セミナーなどで乳製品のお話をすると、必ずでてくるのが
「牛乳を飲むと下痢をする」という相談です。
「お腹が弱いのかしら...」と心配する保護者もいますが、実はこれは牛乳に含まれる乳糖(ラクトース)を分解する酵素(ラクトースβ・グルコミダーゼ)の働きが生まれつき低いことによるのです。
牛乳を飲むと甘く感じるかと思います。あれが乳糖です。甘い=砂糖と思われがちですが、甘味は色々な種類があることはご存知でしょうか。
白砂糖、はちみつ、メイプルシロップといった市販の甘味料以外にも、フルーツの甘味もあります。さつまいもやかぼちゃなどにも甘味を感じたりもするでしょう。これらは実は、単糖(それ以上加水分解できない「糖の最小単位」としての糖)が作っている甘味なのです。
単糖にはグルコース(ぶどう糖)、フルクトース(果糖)などがあります。
砂糖はグルコースとフルクトースでできています。今回牛乳にはいっている乳糖は、グルコースとガラクトースから出来ています。そのように、どの単糖がくっついているかによって甘味の種類がかわります。
さて牛乳に話をもどしましょう。
牛乳の甘味は乳糖という話をしましたが、牛乳を飲んでお腹を壊す人は、この乳糖を分解する酵素が弱いために下痢をしてしまうのです。
これが例えば、牛乳の甘さが乳糖ではなく砂糖であれば飲んでゴロゴロするという人はいなかったことでしょう。
また牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしてしまう人のために、乳糖を分解した牛乳があります。乳糖が分解されて含まれていないので、もちろんこの牛乳は飲んでもお腹を壊すことはないわけです。
そのため、牛乳でお腹をこわす人も加熱したものや、ヨーグルトなどは大丈夫だったりします。これは加熱や菌によって、乳糖が分解されたりしているためなのです。