健康と食育
サッカー少年の大敵、花粉症! 試合で活躍するためにも知っておきたい、花粉症対策
公開:2021年3月 9日 更新:2023年2月 3日
目がかゆい、鼻がムズムズする、くしゃみが止まらない...。これらは花粉症の症状です。今年の春は花粉が大量飛散していることもあり、つらい思いをしている人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、医療法人つばさ会 高座渋谷つばさクリニックの武井智昭院長に、花粉症対策について話をうかがいました。花粉症シーズンを乗り切るためにも、ぜひ参考にしてみてください。
(取材・文:鈴木智之)
後編:つらい目のかゆみ、鼻のグズグズにさよなら! サッカー少年を悩ます花粉症は治る時代。その方法とは>>
■花粉の本格シーズンは2月末からGW頃まで
花粉はいつ頃から飛び始めるのでしょうか? 小児科・内科・アレルギー科の医師として勤務する、高座渋谷つばさクリニックの武井智昭院長によると、「スギやヒノキの花粉は、早いところでは1月下旬から飛び始め、2月下旬から本格化します」とのこと。5月のゴールデンウィーク頃まで、花粉シーズンは続くそうです。
「花粉症の症状としてはくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ。鼻の粘膜が圧迫されることによる、頭部前方の頭痛などがあげられます。すでに花粉症シーズンですので、これらの症状に悩まれている方は多いかと思います」
花粉症でつらいのが鼻づまり。頭がぼーっとし、集中力が途切れてしまいます。
「なぜ花粉によって鼻がつまるのかというと、花粉が鼻の粘膜に付着することにより、炎症が起こるからです。炎症によって粘膜が鼻の中で押されるようになり、空気が通る空間を塞ぎます。これが鼻づまりのメカニズムです。鼻がつまると脳に酸素が行きにくくなるので、集中力の低下が起きます。鼻づまりがひどくなると、勉強などに集中することが難しくなるので、花粉症の薬を飲み、点鼻薬を使うようにしましょう」
■目のかゆみは目薬でバリアを張ろう
花粉症の症状には個人差がありますが、目のかゆみに悩まされる人も多いのではないでしょうか。かいてしまうと目が腫れたり、充血するので、注意が必要です。
「目のかゆみには目薬が効果的です。1日に3回程度使うことで、目に目薬でバリアを張ることができ、花粉の侵入を防ぐことができます。アレルギー反応(かゆみ)を抑える効果があるので、目薬は必須と言えるでしょう。お子さんの場合、目をかきすぎて赤くただれてしまうこともあるので、かゆくなったら目薬をさすことを習慣にすると良いでしょう」
■花粉症かな、と思ったら何科を診断すればいいの?
近年は子どもの花粉症が増えていて、3、4歳の子が受診するケースも多いようです。
「症状は大人と同じく、目のかゆみ、くしゃみ、鼻水といった、典型的な花粉症のものです。お子さんの場合、花粉症かな? と思ったら、小児科やアレルギー科、もしくは耳鼻咽喉科のいずれかを受診してください。花粉症の症状は鼻や喉に影響が出るので、耳鼻咽喉科でも大丈夫です」
花粉症対策として、すぐにできるものにマスク、メガネ、手洗いなどがあります。花粉は目、鼻、喉の粘膜に付着するので、それらを防ぐことが重要です。感染症の対策とほぼ同じで、現代ではマスク着用は必須になっていますし、手洗い、手指の消毒も頻繁に行っていると思います。
「忘れやすいのが、衣服についた花粉を払うことです。外に長時間いると、衣服に花粉が付着しています。それを室内に持ってきてしまうと、花粉が滞留することになるので、家の玄関など、部屋に入る前に洋服についた花粉を手で払ったり、上着を脱いで振り落とすことで、室内に花粉を持ち込まずに済みます」
これらの対策をすることで、外から体内に侵入する花粉を防ぎ、取り込む量を軽減することができます。
■薬は一週間ぐらい前から飲み始める
しかし、それだけでは万全とは言えません。花粉症は、体内と体外の両方から防ぐことがポイントなのです。
「体内から防ぐ方法は2つあります。もっとも重要なのが、薬を飲むことです。薬の飲み方としては、花粉シーズンが始まる1周間ほど前から飲むことをおすすめしています。なぜ早めに飲み始めるのが良いかというと、花粉の飛散量が増えるとともに、症状も悪化するからです」
花粉症の薬は『抗ヒスタミン薬』と言って、飲んですぐ効くというよりはじわじわ効き始めて、一週間ぐらいで効果が出てくるとされています。そのため、花粉が飛びそうな一週間ほど前から飲み始めた方が良いそうです。
「最近の薬は眠くならなくなってきていますし、小さなお子さんでも飲めるものもあります。鼻づまりや鼻水に効く点鼻薬は、子ども用でも、ステロイドが入ってるものをお出しすることができます。病院で処方する薬は、ドラッグストアなどで売っているものには含まれていない成分が含まれているものもあるので、医薬品を使うことをおすすめします」
以上が基本的な花粉症対策です。
次回の記事ではサッカーの場面での対策、日常生活でできる体質改善、近年注目されている、花粉症が治る治療法などについて、解説していきます。
武井智昭(たけい・ともあき)
医師。慶應義塾大学医学部卒業後、慶應義塾大学病院 にて小児科研修、2005年から平塚共済病院小児科医長として勤務、2020年に「高座渋谷つばさクリニック」院長就任。
専門は小児科・内科・アレルギー科。