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子どもの体のゆがみは、ケガの重要なサイン サッカー少年少女の親が逃してはいけない「体のゆがみ」、その具体例と対処法

公開:2025年4月22日

キーワード:ケガスポーツ障害休養小学生成長期正しい姿勢転び方

サッカーをする子どもの怪我を防ぐために、前回は「負荷耐性」という考え方と、トレーニング・栄養・休養のバランスの重要性について、いわきスポーツクラブ(いわきFC)アカデミーやドームアスリートハウスアスレチックアカデミーのアドバイザーを務める強化育成の専門家である小俣よしのぶさんに解説してもらいました。

今回は、ケガのサインとして見逃してはいけない「体のゆがみ」と対処法について、具体例を交えて説明してもらいました。
(取材・文 鈴木智之)

 

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(写真は少年サッカーのイメージ)

 

前編:小学生年代でトレーニングのしすぎは逆効果! 負荷耐性が低下するとケガしやすい部位と予防のカギ

 

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■子どもの体のゆがみは、ケガの重要なサイン

小俣さんは「子どもの体のゆがみは、ケガの重要なサインです」と切り出します。

「医学的には『マルアライメント』と呼びますが、これは骨や関節の配列が正常ではない状態を指します。

例えば、X脚O脚猫背ストレートネック巻き肩へっぴり腰扁平足などが代表的な例です。

一見、体つきの個人差のように見えるかもしれませんが、実はスポーツ障害の重要なサインなのです」

このマルアライメントは、スポーツ障害の発生要因の一つになるそうです。また、運動効率も低下させてしまうと言います。

「X脚やO脚の場合、走るときやボールを蹴るときに問題が生じます。曲がった杖で体を支えたり歩いたりするのは難しいように、曲がった脚で走ったり、蹴ることは難しいのです。

また、猫背やヘッピリ腰では『腹圧』がうまくかけられず、強いキックが打てなかったり、相手との競り合いに弱くなったりします。

気をつけたいのは、一見、大きな問題に見えなくても、繰り返し運動することで、徐々にアライメントの異常が進行していくことです」

 

■裸足で遊ぶ機会が少なくなった現代の子どもの足裏問題

特に注意が必要なのが、偏平足からX脚に発展するケースです。

「本来、足裏にはアーチ(土踏まず)があるのですが、過度な負荷や、現代の子どもに多い『裸足で遊ばない生活』により、アーチを支える骨が沈み込んでしまうことがあります。

その結果、足が内側に倒れ込み、それが膝や足全体のゆがみにつながっていくのです。これは後天的に起こる変化なので、予防や早期発見が重要になります」

このような状態で運動を続けると、様々な問題が生じてきます。

「膝が内側に入った状態で急激な停止やターンをすると、膝を痛める可能性が高まります。

また、太もも(大腿骨)も内側に絞られ、腰周りの筋肉が張って腰痛の原因になり、股関節への負担も大きくなります。

特にサッカーの場合は下半身にアライメント異常が出やすいので、見逃さないようにしましょう」

 

■姿勢を整えることで体幹(胴)まわりの筋肉が自然とつく

では、どうすれば予防できるのでしょうか。小俣さんは、まず「姿勢づくり」の重要性を指摘します。

クラシックバレエの基本姿勢を意識すると、自然と体が整います。横から見て耳・肩・腰・膝・足が一直線に並ぶのが理想的です。この姿勢を保つことで、直立姿勢を支える多くの筋肉が自然と使われ、結果としてお腹に力が入りやすくなったりします」

特別な体幹トレーニングをしなくても、正しい姿勢を意識することで、必要な筋肉は自然と使われるそうです。

クリスティアーノ・ロナウド選手がボールを蹴る前に取る、美しい直立姿勢も、実はこれと同じ理にかなっているのです。ヨーロッパのサッカー選手は総じて姿勢が良いのですが、それは決して偶然ではないと思われます」

 

■サッカーの前に、基礎的な運動能力が必要

さらに、こう続けます。

「サッカーや野球といった専門競技をする前に、まずは基礎的な体力運動能力を身につけることが必要です。

腕立て伏せ、懸垂、逆立ち、逆上がりなど、体育で扱う基本的な運動ができることが理想です。体育で『5』を取れるような基礎体力運動能力があってこそ、複雑な球技も上達するのです。

本来なら、体育の授業や日常的な遊びの中でこれらの能力が養われるべきなのですが、残念ながら現代の子どもたちにはその機会が不足しています」

なるべく外遊びやさまざまな運動,サッカー以外のスポーツの機会を増やし、多様な運動を経験させるとともに「やりすぎ」に注意を払う。それこそが保護者ができるサポートと言えるでしょう。

 

■安易に土踏まずをサポートするインソールを入れるのは避けて

また、子どもの体の変化に早めに気づき、適切に対処することも重要です。

「『うちの子、ちょっと偏平足かな』『足が内側に入るような気がする』といった変化に気づいたら、まずは整形外科でレントゲンを撮り、骨に異常がないかを確認しましょう。

その後、必要に応じて整骨院やトレーナーに相談するのがよいでしょう。ただし、安易に土踏まずをサポートするインソールを入れるのは避けてください。一時的な対処療法に終わってしまいます。土踏まずを作るための運動や、足裏の筋肉を鍛えるトレーニングなど、根本的な改善を目指すべきです」

 

■早期復帰を、と焦らないで。成長期は休養することで身長が伸びることも

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(写真は少年サッカーのイメージ)

 

最後に、保護者の方々へ、次のようなメッセージをくれました。

「もしケガをしてしまったとしても、ネガティブに捉える必要はありません。『いままでサッカーをしすぎていたから、体を休ませる絶好の機会』と捉えてほしいです。

成長期の子どもの場合、休養することで、身長が伸びることも多いです。数か月のブランクで、サッカーが下手になるのであれば、それまでの実力だったということ。焦って早期復帰を急ぐのではなく、長期的な視点で子どもの成長を見守ってほしいと思います」

昨今は子どもの様子をビデオカメラで撮り、映像で見返すご家庭も多いです。その際にプレーの良し悪しだけでなく、姿勢や立ち方、体つきなどにも目を向けてみてはいかがでしょうか。

そこにケガのサインが出ていたら要注意。この記事を参考に、適切に対処することを心がけましょう。

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土踏まずを支えるのではなく「立方骨」を支えることでアーチを作り、足指をしっかり使えるようにします。

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取材・文 鈴木智之

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