■体が小さいなりの体の使い方と工夫
――サッカーを始めたころは、自分の持ち味や武器はどのように理解していましたか?
小学生のときは足が速く、ドリブルを得意としていたので、よくドリブルで抜けてミドルシュートを決めていました。それが自信になっていたし、その積み重ねだったんじゃないのかなと思います。得意としていたドリブルは、いつも「取れるものなら取ってみろ」という気持ちでプレーしていましたし、実際にボールを奪われない自信もありました。ただ、身長はチームの中でも一番低かったので、大きな相手になると少しきつかったですね。6年生で136センチぐらいでしたから。中学に上がるまでは、それをハンデと感じたこともありました。そのハンデをハンデだと思わせないよう、スピードで相手をぶち抜いていました。競り合いになると、体格で劣る自分はかなわないから、とにかく突破しよう、と。
――中学になってそのハンデは関係ないと思えるようになったのは、なぜでしょうか?
小学生のころは、どんなに工夫して突っ込んでも、いつも吹っ飛ばされていましたし、当時は体の大きな人がすごいという感じで。でも、中学に上がると、体が小さいなりの身体の使い方や工夫をするようになり、それからはうまくプレーできていたように思います。とにかく体は小さかったけれど、「小さくてもやれるんだ!」というところを見せたかった。体格差で負けていても、たとえばヘディングでも「こいつに勝てば褒められるんじゃないか」と思いながらプレーしていたような気がします。
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大久保嘉人(おおくぼ・よしと)
1982年6月9日生。福岡県出身。長崎県の国見高校では3年生の2000年度、インターハイ・国体・全国高校サッカー選手権で3冠を達成。2001年、セレッソ大阪が多くのJクラブの中から獲得。2004年アテネオリンピックに出場し2得点を記録。同年11月にはスペインのRCDマジョルカへ期限付き移籍となった。以降はセレッソ大阪、ヴィッセル神戸、VfLヴォルフスブルグ、ヴィッセル神戸へと移籍し、2010年FIFAワールドカップ南アフリカ大会に出場。2013年に川崎フロンターレへ完全移籍。昨季はJ1で26得点を挙げ得点王に、2014FIFAワールドカップブラジル大会出場
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取材・文/石井宏美