■楽しくプレーすると周りが見える
――武器であるドリブルと同じくらい、またはそれ以上に大切にしていたことはありますか?
ボールをもらったら奪われないこと。「とにかく、おれがどうにかするからボールを出せ」というスタンスは当時から変わりません。あと、よくシュート練習もしていました。1本外したら走るルールだったので、すごく緊張感を持って臨んでいたような気がします。ただ、そういう緊張感は大事なことだと思うけれど、自分が当時から(緊張感を)意識してシュートしていたかと問われたら、あまり考えていなかったようにも思います。小学生のころは、純粋にいいシュートが決められればうれしかったし、自信もついた。ただそれだけでしたから。
――現在はプロ選手としてプレーし、Jリーグの得点ランキングでもトップタイと結果を残している大久保選手ですが、相手のどういった動き、プレーに注意していますか?
試合中はもちろん相手をよく観察しますし、駆け引きという点はとくに大事にしています。ディフェンスの選手がどこを見ているのか、とか。目を見ると(相手が)疲れているかどうかも分かるんです。そういう時はどこまででもドリブルしたり、切り替えしたり、パスを出して相手に向かっていったり、とにかく相手をとことん疲れさせます。一歩足を出すだけで、相手の身体が前がかりになり、足を出した時にうらを突けば抜ける。そういったプレーを楽しんでいます。
――そこに『楽しむ』要素は必要だと思いますか?
楽しくプレーしていないと、周りが見えない。逆に楽しくプレーしていると、どこまでも周りが見えると思います。
■大久保嘉人流! 得点王になる方法
――どうすれば、大久保選手のように得点王になることができるのでしょうか?
どうなんでしょう(笑)。昨年、ぼくはとにかくひたすらシュート練習をしていました。(得点ランキング)トップを走っていると、やはり不安だし、追われる立場はきついです。今年もそうですけど、昨年は単独トップだったので、とくにプレッシャーが半端じゃなかったです。
――シュート練習をして不安を打ち消すという感じでしょうか?
そうですね。とにかくやり続けること。そして試合になったらシュートを打ち続ける。日本人は1本打ってそれが入らないと、その後、周りの声を気にしてチャンスでもパスを出したり、シュートを打たないじゃないですか。それは良くないと思うんですよね。自分のタイミングで、自分が打てるのならば打ったほうがいい。ぼくは自分のタイミングで打ちますし、周りの声も気にしません。まず、入ると思ってシュートを打っていますから。入らなくても、次にまたボールが来たら、同じように入ると思って蹴る。なにを言われようと、やるのは自分ですから。FWは「おれに出せ!」というくらいの気持ちでいいと思いますし、たとえハズしたとしても、「次のチャンスもおれが打つからおれに出せ」くらいの意気込みでプレーしていいと思います。
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大久保嘉人(おおくぼ・よしと)
1982年6月9日生。福岡県出身。長崎県の国見高校では3年生の2000年度、インターハイ・国体・全国高校サッカー選手権で3冠を達成。2001年、セレッソ大阪が多くのJクラブの中から獲得。2004年アテネオリンピックに出場し2得点を記録。同年11月にはスペインのRCDマジョルカへ期限付き移籍となった。以降はセレッソ大阪、ヴィッセル神戸、VfLヴォルフスブルグ、ヴィッセル神戸へと移籍し、2010年FIFAワールドカップ南アフリカ大会に出場。2013年に川崎フロンターレへ完全移籍。昨季はJ1で26得点を挙げ得点王に、2014FIFAワールドカップブラジル大会出場
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取材・文 石井宏美 写真 サカイク編集部