サッカーを観て学ぶ
大谷秀和のサッカー観戦術「ボールのないところを観る」
公開:2014年12月 5日 更新:2020年3月24日
次シーズンのACL出場権をかけたアルビレックス新潟戦を、明日(6日)に控える柏レイソル。08年から7季にわたりキャプテンとしてチームをけん引する大谷秀和選手は、30歳になったいまも豊富な経験と、冷静沈着なプレーで絶対的な存在感を発揮しています。攻守に機転の効くプレーと危機察知能力を生かしたボール奪取力が武器のボランチが、自らの経験を踏まえ、サッカーを“観る”ことの重要性を語ってくれました。(取材・文/石井宏美 写真/サカイク編集部、田川秀之)
■プレーを見れば、サッカーを観ているかどうかわかる
――大谷秀和選手は普段からサッカーを観ていますか?
深夜に放送するチャンピオンズリーグなど、時間的にリアルタイムで見られない試合は録画しておいて後で観ますが、それ以外は自分が「サッカーの試合を観ようかな」と思った時間に、『スカパー!』や『wowow』で放送されている試合を観ます。プレミアもスペインもJ1もJ2も、とくに固定せず、さまざまな国のリーグを観ています。
――日頃からサッカーを観ることは意識していますか?
じつはユースからトップチームに上がったばかりのころは、あまり観ていなかったんですよ。厳密に言うと観てはいたのですが、ハイライトとかゴールシーンが中心だった気がします。プロ1年目は試合に出させてもらっていても、いろいろと考えることも多くて、正直、「サッカーを観て勉強しよう」というところまで考えが及ばなかったというか、自分のことで精いっぱいで。ただ、もともとサッカーを観ることに対しての抵抗もなかったので、プロのリズムにも慣れて少し時間的にも余裕ができるようなってからは、少しずつ試合の映像を観るようになっていきました。
――客観的にサッカーを観るようになってからの変化や、プレーする上でなにか参考になったことはありますか?
それは本当にたくさんありますし、サッカー選手はやはり、サッカーを観ないとダメだと思います。ピッチ上でのプレーを見れば、普段からサッカーを観ている人と観ていない人が、なんとなく分かるんですよね。それは、自分がいろいろなサッカー、試合を観てきたという蓄積もありますし、年齢を重ねたことも関係していると思います。ぼく自身はサッカーを観ることにおいては、1ファンとして純粋にサッカー中継を観るときと、「この選手のプレーが観たいから」と、最初から最後まで集中して観るときを、きっちり分けているんです。
――では、サッカーを『観る』ことで得られるものは、なんだと考えますか?
ぼくは身体能力が高い選手ではないので、やはり目が行くのはサイズの大きな選手よりも、むしろ逆のタイプの選手。ポジショニングを見たり、「なぜいま、そこでボールを受けることができたんだろう」と思ったら巻き戻してみたり、「こういうワンフェイントがあったから、ディフェンスが(ボールを)獲りに来なかったのか」など、体の向きひとつで相手がひっかかったり、食いついている場面は、観ていてすごく勉強になっています。いまは、どこにいてもJリーグはもちろん、海外サッカーも観ることができる環境じゃないですか。だからこそ、サッカーを『観る』必要性はあるのではないかなと、ぼくは思いますね。
取材・文/石井宏美 写真/サカイク編集部、田川秀之