■田中誠がいま注目するディフェンダーとは?
――ポジション転向直後は、同じDFの動きなどを観察することはあったのでしょうか?
あまりなかったですね。実際にプレーするなかで失敗と成功を繰り返しながら、自分なりに、自分の距離を意識しながら対応していました。後はコーチのアドバイスを参考にしながら、自分なりのスタイルというものを見つけていきました。
――ジュニア年代には、すでにそういったことを考えられていたんですね。
代表になる選手はそういうタイプが多いと思います。ぼくらは相手FWがパスを出す直前の動きを見て、寄せて、ボールを奪いますが、たとえば、中村俊輔選手(横浜F・マリノス)は、ぼくたちが「きそうだな」と感じて寄せたところを視野に入れて、そこからプレーを変えることができる選手ですね。
――いま、DFで田中さんが注目している選手はいますか?
フィジカルの強さ、技術の高さ、読みを含めて注目しているのは森重真人選手(FC東京)です。これから日本サッカー界を背負っていく選手だと思います。また、今野(泰幸・G大阪)選手も相手の動きを見て、素早く動いて潰すというところでは、日本の中でも数少ない能力を持った選手あることは間違いないですね。日本では、海外の選手のように、体のサイズが大きくて、読みも足元もあるような、トータルに能力の高い選手はなかなか生まれませんが、吉田(麻也・サウサンプトン)選手がタイプ的には当てはまると思うし、これからさらに経験を積めばいいDFになってくれるでしょう。彼らがお手本となるプレーをして、そのプレーを観て真似している子どもたちが育っていく。そうしたサイクルが日本サッカーを強くしていくのでしょう。
田中誠(たなか・まこと)
1975年生。静岡県出身。94年清水市立商業からジュビロ磐田へ加入。02年にはJリーグ両ステージ制覇を成し遂げるなど、DFのリーダーとして、ジュビロの黄金期を支えた。また、96年アトランタ五輪ではブラジルを破るマイアミの奇跡を経験。その後、09年にアビスパ福岡に移籍し、11年シーズンで現役を引退。日本代表32試合出場。Jリーグ通算419試合出場。現役引退後は、解説者、サッカースクールのコーチを務めるなど、サッカーの普及活動に情熱を注いでいる
Jリーグの試合映像でサッカーを学ぼう!
FCバルセロナの選手や世界のトッププロをサポートしてきたスペインの世界的プロ育成集団「サッカーサービス社」が、13歳までに身に付けておくべきサッカーの戦術を、Jリーグの試合映像を使って徹底解説。サッカーインテリジェンスを高めたい子ども達が見て学べる映像トレーニング。
『Footi』清水英斗と北健一郎 アジアカップレポートを動画で配信中!