■サッカーを観ることは、なにかしら勉強になる
――サッカーを観ることが役に立ったと感じることはありましたか?
プレーもそうですが、たとえば今日サッカーを見て、明日なにかが劇的に変わるものではないけれど、蓄積させておくことが大事。自分のプレーはもちろん、いろいろなサッカーを見て感じることはすごく重要なことだと思います。僕はチャンピオンズリーグからJ1、J2、なでしこ、高校サッカーと、試合が放送されていれば、カテゴリを問わず観ます。自分の中に、「つねになにかしら勉強になる」という考えがあるので。試合を観ていると、両チームがなにを狙っているかが分かる。最初はなんとなく見ていても、結局、最後にはサッカープレーヤーの目線になっています。じつは今日もクラブハウスに来る前に、チャンピオンズリーグの試合を1試合見てきたんです。昨日も練習前にマンチェスターシティ対バルセロナ、家に帰ってからユベントス対ドルトムントを観ました。
――本当によくご覧になっているんですね。そういうときはどういった視点で見ているんですか?
すべて! 自分の考えること、見えるものはすべて見るし、注目していますよ。ボールを持った選手の動きもそうだし、もちろんボールを持ってない選手、周りの形づくりもそう。観るたびに視点は変わります。「よく注目選手は誰ですか?」と聞かれるのですが、僕からすれば全員が注目選手。見方は人それぞれだから、切り口はどこでもいいと思いますし、気になるところに注目してみればいいと思います。
――サッカーを観ていて、出場している選手と自分を重ね合わせることはありますか?
自分が出ている試合ならまだしも、自分が出ていない試合であれば、それが自分だと思っても意味がないし、そこに所属しているわけでもないので、投影してみることはありません。ただ、「ここにパスを出すかな」と予想しているのを超えたプレーが飛び出すと、おっ!と驚いたりすることはありますけどね。
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生。東京都出身。都立久留米、中央大学を経て、03年にテスト生として参加していた川崎フロンターレへ加入。06年に日本代表に初選出されると、同年10月のガーナ戦でA代表デビューを飾った。10年FIFAワールドカップ南アフリカ大会に出場。昨年末に左足首の手術をしたが、今季J1開幕戦で4か月ぶりに公式戦復帰し、小林悠、大久保嘉人らのゴールをアシスト。3-1の勝利に貢献。司令塔としてはもちろん、今季チーム最年長キャプテンとしてもチームをけん引する。
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取材・文 石井宏美 写真 平間喬