■サッカーを集中して見たいときは大抵ひとり
――そういった時は一人で見ますか?それともチームメイトと一緒ですか?
「自分が好きなように見たいタイプなので、集中して見たい時はたいてい一人です。仲間と一緒に見ることもありますが、その時は『今のプレーすごかったな』など話しながら、あまり何も考えず見ています。でも、そういうときはなかなか頭に入ってこないんですよね」
――先ほど、幼いころはあまりサッカーを見る機会がなかったと話していましたが、プロ選手になった今、ジュニア時代から「見る」ことを習慣づけておくことの大切さを痛感することはありますか?
「今の子どもたちは、本当にすごく上手だと思います。リフティングにせよ、テクニック1つとってもそう。そういった“巧さ”という部分では、ぼくらが小さい頃と比べると倍以上。それは豊富な情報や、海外のトップレベルの選手のプレーを見ることができる環境にあることも関係していると思いますし、そういうことが習慣づけられているからだと思います。ですから、本当に見る目を養うことは、大事だと思います。すでにさまざまな情報に溢れ、いろいろなサッカーを目にする機会が多い現代ですから、今後、ますますうまい選手、楽しみな選手が出てくるだろうと思います」
――そんなジュニアの選手たちが、今、注目すべきはどんな選手なのでしょう?
「海外の選手たちを見ていると、試合の中でずる賢さを持った選手が多いと思うんです。そのあたりは、日本の選手も、今後さらに吸収したほうがいい部分かなと感じています。どうしても、テクニックばかりに目がいきがちになってしまいますが、技術以外の部分……選手の気迫やちょっとした激しさも必要です。プレー以外でのサッカーの考え方や心の持ちよう、テクニックで相手をどうこうするというだけではなく、戦いとしての駆け引きという部分を頭に入れながら、プレーしていかなければと思います」
――具体的には?
「海外の選手、とくに南米の選手なんかは上手くプレーしていると思います。日本だと、どうしてもみんな華麗なプレーをしようとして、テクニックで相手を負かそうとする傾向がある。もちろん、テクニックは大事な要素ですが、かねてから言われてるように、今、日本に足りないものはずる賢さだったり、モチベーション、メンタル面です。そういった部分を、幼い頃から培うことができればいいと思います。ただ、ずる賢さが必要だからといって、悪質なプレーがいいということではないので、そこは勘違いしてほしくありません」
森重真人
1987年5月21日生まれ。広島県出身。2006年に広島皆実高から大分トリニータに加入。各世代別代表としても活躍。08年北京五輪に出場した。同年9月にはA代表に初選出。10年にはFC東京へ移籍した。13年より主将を務め、14年にはFIFAワールドカップブラジル大会代表メンバーに選出された。今やFC東京はもちろん、日本代表に欠かせない存在になっている。
<<森重選手の試合を観に行こう!!>>
6月7日(日)16:00 松本山雅FC 松本平広域公園総合球技場
6月20日(土)16:00 サガン鳥栖 ベストアメニティスタジアム
6月27日(土)19:00 清水エスパルス 味の素スタジアム
取材・文 石井宏美 写真 武山 智史