インタビュー
「レベルは関係ない。サッカーはとにかく楽しく、ボールにたくさん触って」内田篤人
公開:2018年3月20日 更新:2023年6月30日
ドイツ、ブンデスリーガで世界最高峰のレベルのサッカーを経験して、今季8年ぶりにJリーグに復帰した内田篤人選手。復帰が心配された右ヒザの状態や、鹿島アントラーズで迎える新シーズンに向けての意気込みなど、ファンならずとも色々気になりますよね。
そこでサカイクでは、公式SNSを使って内田選手への質問を募集したところ、たくさんの質問が寄せられました。
ファンからの質問だと伝えると内田選手も「おもしろそうだね~」と喜んでくれて、みなさんからの質問に真剣に答えてくれましたよ。内田選手のルーティーンに関する考え方やワールドカップの楽しみ方など、参考になるのではないでしょうか。
(取材・文:前田陽子)
(今シーズンは古巣鹿島アントラーズで優勝を目指す)
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■右ヒザはもう大丈夫
まずファンが一番知りたいのは、約2年も戦線を離れることになった右ヒザの状態(膝蓋腱の炎症)ですよね。それについて伺うと......
――足の具合はどうですか?
ご心配をおかけしました。もう大丈夫です。キャンプも練習もすべてこなしています。
と、力強い回答をいただきました。
久しぶりのJリーグの舞台で、ドイツで世界最高峰の選手たちとしのぎを削った実力を存分に発揮して活躍してほしいですね。
続いては、内田選手ファンのわが子のために色々手を尽くしている親御さんからの質問です。
プロとしての立場、保護者としての立場、サッカー少年の立場がどれも理解できるとあり、少し悩みながらも質問者に寄り添った回答をしてくれました。
――子どもが内田選手のファンです。いつか会いたいという夢をかなえてあげたいと、TV、雑誌など内田選手が出演するものをアピールしていますが、あまり響いていないようです。親のこういう行為は迷惑でしょうか?
練習や試合を見に行きたいというのなら連れて行けばいいと思いますが、自分がサッカー少年で誰かのファンだったとして、親に雑誌とかを持ってこられてもはあまり興味を示さないかもしれないですね(笑)。今のところ本人が興味を示さないように見えるなら、親が積極的にアピールしなくてもいいんじゃないでしょうか。
僕自身は、グラウンドやスタジアムに来ていただき、自分がサッカーをしているところを見てほしいなと思います。
■他の子と比べてレベル差がある子には...
次の2問は、周囲の子どもと比べてサッカーを始めるのが遅かったり、レベルが追いついていないわが子を心配する保護者からの質問です。
――サッカーを始めるのが周囲の子より遅く、技術差がある場合はどういった練習をしたらいいですか?
技術的に一番うまくなるのが小学校中学校年代です。その年代である程度できてこないと、その先が難しくなります。なので、技術練習は下手でもたくさんやってください。完璧にできなくても良いのでとにかくたくさんボールに触ること。
インサイドがどうのアウトサイドがどうのという練習は、中学以降に嫌でもやるので、小学生のときに細かいことを気にする必要はありません。たくさんボールに触ってボールの回転や弾み方とかを身体の感覚で覚える方が良いでしょう。
リフティングやヘディング、ドリブル、トラップというのは、小さいうちに始めてたくさんやっておいた方がいいですね。回数が重要ということではなく、先ほど言った身体の感覚で覚えるからという意味です。体が大きくなると自分に向いているポジションがわかったり、プレーにも特徴が出てくるはずですから、親御さんが心配しすぎない方が良いと思います。
――同級生より少しレベルが落ちる子どもに、どういう声かけをしますか?
とにかく楽しくサッカーをやらせてほしいです。レベルとかはどうでもいいんですよ。
スクールなどでもパッと見て「上手だな」「下手だな」というのはありますが、小学校6年、中学3年、高校3年。部活でも地域のクラブでも何でもいいので本人が「やり切った」と思えることが大事だと思います。
サッカーをやらせてくれている親で"子どもにプロになってほしい"と考えている人は少ないんじゃないでしょうか。みんなと仲良く集団の中で学ぶことがあると思うから、入れていると思います。
下手でもいいし、なかなか技術が上達しなくてもいいから、卒業するまでチームのみんなで楽しくサッカーをやれることが大切だと思います。
と、サッカーを楽しむこと、やり抜くことの大切さを挙げてくれました。内田選手は、サッカーは楽しむことが大事と言いますが、それはご自身の経験から来る考え方かもしれません。
――小学生時代でコーチに言われて印象に残っていることは何ですか?
小学生のときは地域の少年団に所属していました。コーチに言われたことと言えば、ボールに座るなということくらいですね。後は楽しくやろうという感じかな。
特に「楽しくしよう」と言われたわけではないけど、そういう雰囲気でしたね。練習も楽しく、雰囲気も楽しく。のびのびとみんなでサッカーを楽しもうという感じのチームでした。