インタビュー
「守備の1対1を向上させたい」。東京都の強豪クラブが、タニラダーでトレーニングをする理由
公開:2022年5月13日 更新:2023年6月30日
子どもからプロ選手まで、「足が速くなった」「動きのキレが増した」「1対1に強くなった」などの支持を得る、タニラダートレーニング。サカイクはより多くの人にタニラダーを経験してもらうため「公認インストラクター制度」を開始しました。
2021年9月に1期がスタートし、これまで約40人が資格を取得。公認インストラクターとして活動を続けています。今回はジュニア年代の強豪クラブ、JACPA東京でコーチを務める鈴木宏輝さんに、タニラダーインストラクター資格を取得した理由について、話をうかがいました。(取材・文 鈴木智之)
■守備の1対1を向上させたい
鈴木コーチがタニラダーに興味を持ったきっかけが「守備の1対1の動きを向上させたい」という思いからだったそうです。
「以前から、1対1の守備を改善したいと思っていました。相手に対して一発で突っ込んでいくのではなく、相手の動きに対応した守備ができるようにしたいと思っていたところ、ダニラダートレーニングを知り、これはいいと感じて、指導ライセンスを取得しました」
タニラダーと出会った2021年には、JACPA東京で谷真一郎さんによるタニラダートレーニングを実施。そのときに「(タニラダーは)サッカーの動きにつながっている」と感じ、より深く学びたいと思ったそうです。
その後、タニラダーのC級インストラクターを取得。谷さんは鈴木さんの指導について「デモンストレーションが上手」と太鼓判を押します。
「鈴木さんのように指導力があり、サッカーを突き詰めて指導している方は、動きの部分に興味を持ってくれることが多いです。思考能力の高い指導者は『なぜ抜かれるのか?』『抜かれないためにはどうすればいいか』 に目を向けて、戦術でぼかすのではなく、動きづくりを始めとする、個人の対応力に目を向けます。そういう指導者の方が増えると、日本サッカーも変わりますよね」
■抜かれる理由を突き詰める
JACPA東京は幼児教育を行っており、鈴木コーチは幼稚園や保育園で体育の指導をしています。その観点からも「身体操作性を高めることは、とても大切なこと」と言葉に力を込めます。
「サッカーがうまくなるためには、サッカーだけをしていても足りないと思っています。そのため、でんぐり返しや鉄棒、跳び箱などを通じて、身体操作性を高めることにも取り組んでいます」
JACPAの子どもたちはスパイクを履かず、トレーニングシューズで練習をしているそうです。その理由を鈴木コーチは「足裏のアーチを感じて、動いてほしいから」と言います。
「スパイクのポイントでグリップをごまかすのではなく、正しい体の動かし方を身につけてほしいので、トレーニングシューズを履くようにしています」
保護者から「どうすれば足が速くなりますか?」と聞かれることも多いそうで、「ジュニア年代で正しい運動動作を身につけることの重要性は、常に感じている」と話します。
「(タニラダーの)インストラクター資格を取得するときに、自分の動きを動画で撮るのですが、自分では動けているつもりでも、動けていない部分があるといった発見がありました。自分の映像を見たときに『子どもたちも同じだ』と思ったんです」
鈴木さんが指導する子どもたちも、自分では腕が正しく振れていたり、ターンの動きができていると感じていたとしても、映像を見るとできていないことがあるそうです。
「10歳、12歳の早い時期に、正しい動きを身につけるのは大切なことです。動きの癖がない段階なので、身につきやすいと感じています。小学生年代で正しい動きを身につけて自動化させて、何も考えずにできるようになってから、ジュニアユースに進むことで、よりサッカーのプレーに意識を向けやすくなると思っています」
■学んだことをチーム内で共有
※現在はタニラダーを使用してトレーニングを行なっています。
鈴木コーチは、タニラダーライセンスの取得を通じて学んだ内容を、コーチ仲間や保護者とシェアしているそうです。
「保護者の方には、お子さんのストロングポイントと課題を報告しているのですが、アジリティに課題がある子のお父さんが、タニラダーインストラクターの資格を取得していました。こちらの投げかけに対して、熱心に応えてくれるのでありがたいです」
谷さんは「クラブにインストラクターがいると、他のコーチが『この場面ではどう動けばいい?』『どんなトレーニングをすればいい?』など、すぐに聞くことができます。それはすごく大切なことで、動きの課題を戦術でぼかすことなく、選手個人のレベルアップにつなげることができます」とインストラクターの有用性を話し、こう続けます。
「鈴木コーチは動きのポイントを理解しているので、腕の振りや足の上げ方、足のつき方など、ドリルトレーニングを通じて改善することができますよね。チームに足が遅い選手がいたとして、『どこに課題があるから、スピードが上がらないのか?』を見て判断できるのは、チームとしての強みになると思います」
サッカー面での質の高い指導に加えて、スピードアップやアジリティなど、動きの質向上にも取り組む、JACPA東京FC。今後はタニラダーライセンスC級取得者が開催できるチーム向けの講習会などを通じて、さらなる運動能力向上に取り組むそうです。子どもたちの、今後の変化が楽しみです!