インタビュー
バルサキャンプMVPを経て神村学園でプロを目指す二人に聞いた、小学生年代から世界を知っておくことの大切さ
公開:2022年6月24日 更新:2023年6月30日
2007年に初開催され、今年で15年目を迎えるバルサキャンプ。2009 年に久保建英選手が参加し、FC バルセロナ加入のきっかけとなったことでも有名です。これまで延べ1万人以上の選手がキャンプに参加し、36名の選手がMVP に選出されました。
現在は強豪・神村学園高校でプレーする濱野心温くん、藤井崇匡くんも、小学生時代にバルサキャンプ参加し、MVPに選ばれた選手です。
そこで今回は、プロを目指して奮闘するお二人に、バルサキャンプの思い出を語ってもらいました。バルサから学んだこと、MVPに選ばれてスペインに行ったことなど、ここでしか聞くことのできない話が飛び出します。(記事提供:アメージングスポーツラボジャパン)
左:藤井くん/右:濱野くん
■イニエスタに憧れて、バルサキャンプへ
濱野心温くん(黒部中央SSS→ヴァリエンテ富山ジュニア→ヴィッセル神戸U-15→神村学園高)がバルサキャンプに参加したのは2015年、小学3年生のときでした。当時は富山県に住んでいて、一番近くで開催される新潟会場に足を運びました。
「僕は小さい頃からバルセロナに憧れていて、試合をよく見ていました。バルサキャンプに参加することで、バルセロナのサッカーを学べるんじゃないかと思ったので、行かせてもらいました」
濱野くんはイニエスタが好きで「難しいプレーを簡単にやっているように見せて、それを1試合通してできるのがすごい」と、憧れのまなざしを向けます。
本人いわく、「小学生の頃は、ボールだけを見てサッカーをしていた子どもだった」ようで「バルサキャンプでは周りを見て、相手がどこにいるのか、味方がどこにいるのかを確認しながら、どのプレーがいいのかを判断して、プレーをすることを教わりました」と振り返ります。
コーチからのアドバイスを次々吸収し、プレーに上達が見られた結果、小学3年生にしてMVPを獲得。MVP特典として、スペインのバルサスクールに参加することになりました。
バルサキャンプMVP時の濱野くん
「スペインの子たちは、ポジションでの役割やどうすればボールがうまく回るかなど、どうすればサッカーがうまくいくかという、11人を通した考え方がありました」と衝撃を受けた濱野くん。ほかにも「メンタルの強さ」を感じたと言います。
「スペイン人は、勝ちたい気持ちがとにかく強くて。だから全員で勝とうとするし、個人も強気でプレーします。勝つために、上手くなるために頑張る選手が多かったです。バルサのスクールを通して、メンタルの重要性も学ぶことができました」
小学校卒業と同時に、憧れのイニエスタが所属するヴィッセル神戸U-15の加入を勝ち取り、高校からは全国レベルの強豪、神村学園でプロ入りを目指します。
「バルサキャンプでは、最先端のサッカーを学ぶことができました。数日間でしたが、多くのことを知ることができたので、参加して良かったと思います。バルサのコーチに言われた、『謙虚な姿勢を忘れず、向上心を持って頑張って欲しい』という言葉は、いまでも自分に言い聞かせていますし、コーチに言われたことを素直に受け入れて、努力することを心がけています」
バルサキャンプに参加してみたいと思う子どもたちに対しては、次のようにメッセージをくれました。
「バルサという名前を聞いただけで、自分がその中でサッカーができるのかとか 自分のプレーが出せるのかなといった不安もあったのですが、コーチ陣も優しくて、チームメイトも優しい子たちばかりだったので、楽しかった印象があります。すごくいい経験になるので、参加してみるといいと思います」
■MVPを取って、スペインに行きたかった
藤井崇匡くん(ロアッソ熊本→FCアンツ→神村学園中等部→神村学園高)は「MVPを取ってスペインに行きたかったから、キャンプに参加させていただきました」と、参加の理由を話します。
イニエスタやメッシが好きだった藤井くん。小学4年生で参加したバルサキャンプでは実力が認められ、1つ上のカテゴリーでプレーすることになりました。
「バルサのコーチに、どこに立てばいいかとか、ポジショニングを教えてもらうのですが、最初は全然できませんでした。子どもの頃はあまり考えてプレーしていなかったので、普段のトレーニングと違って難しかったです」と、当時を振り返ります。
そんな中、持ち前の負けん気を発揮し、コーチの教えを吸収していった藤井くん。見事、MVPに選ばれます。MVP特典として参加したスペインのバルサスクールでは、自己主張の違いに戸惑ったそうです。
バルサキャンプMVP時の藤井くん
「技術の差はそこまで感じませんでしたが、パスを要求しないとボールをくれなかったりと、日本とは違う厳しさがありました。慣れるのに時間がかかりましたね」
スペインに行って「頭を使うことの重要さ」を再確認したそうで「いまでも、常に首を振って周りを見ること、プレー中に考えを止めないことを意識しています。ポジション取りや認知、判断の部分は、いまのプレーに生きています」と学びを忘れず、現在に活かしているとのこと。
藤井くんは、バルサキャンプに興味のある子どもたちに、次のように呼びかけます。
「バルサキャンプは、スペインの現地の指導者に教えてもらえる貴重な機会です。MVPになれなくても、たくさんのことを学ぶことができますし、サッカー選手としてためになることばかりなので、参加した方がいいと思います」
バルサキャンプでは、ふたりともサッカーだけでなく、スペイン語を勉強したりと、貴重な経験がたくさんできた様子。キャンプでの経験を活かし、名門・神村学園高校でプロを目指して頑張っています。多様なサッカー観を身につけた彼らの将来に、期待大です!