インタビュー
高校サッカー選手権注目選手、川崎フロンターレ加入内定のストライカーが語る"理想のFW"像
公開:2023年12月 9日 更新:2023年12月11日
今大会注目、オールラウンドのストライカーだ。
高校年代最高峰のリーグ戦・プレミアリーグWESTでは精巧なポストプレーや献身的な守備を見せつつ、ゴールを量産。その後、負傷で戦列を離れたものの、信じた仲間たちが選手権出場を勝ち取り、そして間に合った。
静岡学園のエース、川崎F内定FW神田奏真の軌跡と胸中に迫った。
(提供/エル・ゴラッソ特別編集 高校サッカー名鑑 聞き手:安藤 隆人)
■「ありがとう」しかない。覚悟は決まった
――まずは2年ぶりの選手権出場と川崎F内定おめでとうございます。
「ありがとうございます。どちらも周りの人たちのおかげだと思っています」
――静岡県予選は負傷離脱中で1試合も出場することができませんでした。どのような心境で見ていましたか?
「とにかく仲間を信じる気持ちでした。(欠場せざるを得ない)悔しさが一番でしたが、最後の選手権はどうしても出たかったので、チームメートが勝利を重ねて出場権をつかみ取ってくれることを信じ、もう祈るような気持ちで見ていました」
――仲間たちがやってくれましたね
「選手権出場が決まったときはもう、『ありがとう』の言葉しか出てきませんでした。同時に、ピッチの上で(最後の)高校サッカーに本気で向き合っていく覚悟も決まりました」
■万能型FWへの挑戦
――神田選手はしなやかなポストプレーと足元でボールを収めてからのターン、シュートのうまさが魅力だと思います。理想とするストライカー像はあるのでしょうか?
「僕は"なんでもできるFW"、"毎試合1点は必ず取るFW"になりたいと思っています。そのために、常にボールを受けることと、ゴールを狙えるポジションを取ることを意識しています。
自分では"前線でのボールキープが得意で、周りを生かしつつ、周りからも生かされるストライカー"だと思っていますが、同時にやっぱり、常に自分がチームで一番点を取りたいと思っています。ボールを持ったら積極的に勝負を仕掛けたり、チームが苦しいときに僕一人でも点が取れたりする選手になりたいです」
――ハイボールもグラウンダーのボールも前線であれだけ収めてくれると周りも助かると思います
「クリアボールやGKからのボールも含め、僕が前線で収められれば、周りも前向きにプレーできますし、僕自身もマイボールにしてから仕掛けられるので、意識はしています。
でも、もっとボールを積極的に受けて、常にゴールを狙えるポジションを取りたい。そのために、もっと体の使い方、相手の力を活用する意識を研ぎ澄ませたいという考えです。
自分よりも大きな選手を背負えるようになりたいですし、動き出しで外せる選手にもなりたいので、自分にとって必要なプレーはどんどん身につけてきたいと思っています」
――卒業後は川崎Fに加入することが決まっています。オファーをもらったときの心境はいかがでしたか?
「素直にうれしかったですし、フロンターレさんからいただけるとは思っていなかったので驚きました。決めるにあたってはプレッシャーもありましたが、『ここでやりたい』と強く思えたので、覚悟は固まりました。ただもちろん、決まったからよかったではなく、これから先、あのハイレベルなメンバーの中でも飛び抜けた存在にならないといけないです」
――プロ入り前最後の大舞台が選手権ですね。11月26日のプレミアリーグWEST第21節・磐田戦では、8月以来となる実戦復帰を果たしました
「予定より1カ月くらい早かったですね。もともと"選手権に間に合えばいい"という話だったので。ケガしていた間は『若い人は治りが早い』と言われていたので、お医者さんの言葉を信じて、復帰したときに少しでもいいプレーができるように、筋トレをやりました。体重は増えていませんが、上半身の筋肉量は増えましたよ。
(プレー初日は)まだ怖さもあったのですが、この素晴らしい仲間とサッカーができるのも残りわずかなので、まずは復帰できてうれしかったです。あとは何より、僕は"優勝を目指せる状況"にしてもらった立場です。競争を勝ち抜き、仲間が作ってくれたチャンスをモノにすることが僕の、FWとしての役割なので、1 本も無駄にしないようにしたいです」
ピッチを離れている間にとった行動、しなやかなターンとポストプレーに隠された秘密、「仲間に連れてきてもらった」選手権に挑むエースの覚悟......
続きは『高校サッカー名鑑』で
神田 奏真(かんだ・そうま)
2005年12月29日生まれ、17歳。
大阪府出身。178㎝/73kg。
大阪東淀川FC→静岡学園高。川崎F加入内定。U-18日本代表
こちらもおすすめ
- サッカーのトレセンに選ばれる子のはどんな選手? 日本サッカー協会が選手たちに...
- 2017年10月26日
- 小学校高学年や中学生になると「セレクション」や「地区トレセン」「ナショナルトレセン」といった言葉を聞くと思います。低学年のうちはボールを蹴ることが純粋に楽しかった子どもたちも、向上...続きを読む