サッカー豆知識
【第1回】ゴールに鍵をかける国 イタリアの守備に対する考え方とは?-「イタリア人のメンタリティ」
公開:2010年12月21日 更新:2014年8月 5日
なぜ、イタリアの守備は強いのか? その疑問に答えてくれるのが、イタリアのペルージャやミランのスクールで指導経験を持つ、フィジカルコーチの井田征次郎氏です。イタリアでの豊富な指導経験を持つ井田氏に、イタリア人の守備に対する考え方を聞きました。
■イタリア人は極端な負けず嫌い
写真/アフロ
イタリア語でサッカーを意味する『カルチョ』。この言葉には、『タフで厳しい』というセリエAのイメージがついて回っています。なかでもディフェンスのハードさは有名で、井田氏も「イタリア人が守備を大事にしているのは、間違いないと思います」と言います。
「イタリア人は極端な負けず嫌いなんですね。お国柄としても、勝つことが優先順位の一番上に来ます。いくら内容が良くても、結果が出なければサポーターは黙っていません。サポーターは勝つことを求めていますし、アウェイの試合や競合チーム相手には仮に勝てなくても引き分け、つまり勝ち点1を取れば上出来というのが、イタリア人の考え方です」(井田氏)
イタリア人は勝つことより、負けないことを優先します。それがアウェイゲームや格上相手となると、顕著になるそうです。セリエAでプレー経験のある日本人選手は、口々に『アウェイに行くと、まるで別のチームになる』と言います。ホームではアグレッシブにプレーしていたのに、アウェイに行くと守備に意識が傾き、守備を重視した消極的なスタイルに変貌してしまうのです。そのあたりも『負けないこと』を優先するイタリア人のメンタリティに起因しているようです。
「イタリアでは、強豪チームが相手の場合、勝ち点1を取れば『よくやった』と拍手をします。アウェイゲームでも同様です。そのかわり、ホームで負けたらブーイングが飛んで来ます。イタリア人は他のヨーロッパの国と比べても、『負けたくない』という気持ちが強いように感じます。『負けないためには、点を取られなければいい』という考えがあるから、守備を大切にするんでしょうね」(同氏)