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急造GKで3度のPK戦を制したベガルタ仙台ジュニア【バーモントカップ大会レポート1/2】

公開:2012年1月10日 更新:2012年1月11日

キーワード:フットサル仙台だより

 1月4日~6日、東京の駒沢体育館・屋内球技場で「バーモントカップ第21回全日本少年フットサル大会」が行われました。全国から48チームが集まり優勝を争い熱戦が繰り広げられ、決勝で東京都代表FCトッカーノが宮城県代表ベガルタ仙台ジュニアを6-1で下し、初優勝しました。その熱戦の模様を2回に渡りお届けします。
 
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↑決勝でゴールを決めたキャプテン郷家友太選手と抱き合うベガルタ仙台ジュニアの選手達。
 

■被災地から感謝の横断幕、全国の絆が見えた開会式

 1日目に行われた開会式では、岩手県代表のジュニア・アントス・フットボールクラブが「絆・感謝 ご支援ありがとうございます」という被災地支援への感謝を表した横断幕を持って入場しました。「岩手県大会のベスト4で当たった陸前高田市の高田FCの代表者さんは消防団活動中に行方不明になってしまいました。そのチームに勝たせていただき、ここに来ることができたので、こうした横断幕を出しました」と遠藤裕司コーチが語った通り、岩手県沿岸部のチームの思いも背負って戦いました。残念ながらチームは1次ラウンドグループDで3連敗してしまいましたが、女子選手として奮闘した湯沢小春選手がなでしこ賞を受賞しました。
 
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↑全国からの支援への感謝を横断幕にした被災地岩手県代表ジュニア・アントス・フットボールクラブ。
 
 開会式の選手宣誓を務めたのは岡山県代表アヴァンサールフットボールクラブのキャプテン鈴木孝徳選手。「昨年東北地方を襲った東日本大震災から復興に向け、今も頑張っているたくさんの方々に、僕達の元気と笑顔が届けられるよう、心を一つに最後まで諦めることなく夢を目指して戦い抜きます」と被災地への思いがこもった感動的な選手宣誓を行いました。
 
 1日目から2日目にかけての1次ラウンドでは熱戦が繰り広げられ、2日目に決勝トーナメント進出の16チームが決まりました。
 
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↑立派な選手宣誓を行った岡山県代表アヴァンサールフットボールクラブのキャプテン鈴木孝徳選手。
 
 決勝トーナメントの前にはエキジビションが行われ、アデマール・ペレイラ・マリーニョさん、元日本代表の三浦淳寛さん、福西崇史さん、なでしこジャパンの山郷のぞみさんと丸山桂里奈さんがゲストで登場。負傷中の丸山さん以外の4名と今大会参加選手全員がフットサルを楽しみ、プロの高い技術を参加選手は体感しました。
 
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↑エキジビションでは元日本代表、なでしこジャパンの選手達と子ども達が交流。
 

■GK不在の危機を乗り越え3回のPK戦を制したベガルタ仙台ジュニア

 そしていよいよ2日目16:00より決勝トーナメントが始まりました。奇跡的な快進撃を見せたのは、宮城県代表のベガルタ仙台ジュニアでした。
 
 ラウンド16でベガルタ仙台ジュニアは北海道第1代表SSS札幌サッカースクールと対戦しました。ベガルタ仙台ジュニアが1点を先制した後の前半の終盤、大きなアクシデントがチームを襲いました。チーム唯一のGKだった5年生の阿部海士選手が右足股を傷め、プレー続行が不可能になりました。「さすがに焦りました」と壱岐友輔監督が語った通り、GK専任の選手がいなくなる絶体絶命の危機でした。
 
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↑準優勝は宮城県代表ベガルタ仙台ジュニア。3回のPK戦を制する奇跡の勝ち上がりを見せました。
 
 代わりのGKを務めたのは、サイドの攻撃的な選手だった荒井秀賀選手。荒井選手はこの大会で存分に見せたかったドリブル突破やシュートを見せられなくなることを受け入れました。「チームのゴールを守ろう、チームを盛り上げるために声を出して戦おうと思いました」と語った通り、荒井選手は最後方から大きな声を出し、必死にシュートを止め続けました。それでもミスが出て、2失点してしまいましたが、後半終了間際にキャプテンの郷家友太選手がシュートを決めて2-2の同点で、PK戦に突入しました。このPK戦、荒井選手はなんと2本のPKを止めて4-3で勝利したのです。荒井選手はチームのみんなと抱き合い、涙を見せました。
 
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↑ラウンド16のPK戦で2回PKを止めた荒井選手の目には涙がありました。
 
 準々決勝北海道第2代表フロンティアトルナーレFCU-12戦も大激戦の末、3-3でPK戦に突入しましたが、荒井選手がまたもPKを1本止めて、5-3でPK戦を制しました。さらに準決勝茨城県代表鹿島アントラーズジュニア戦も3-3でPK戦に突入。PK戦は双方10人目まで全員成功しましたが、11人目で荒井選手がPKを止めて11-10でPK戦勝利。急造GKでPK戦を3回制して決勝進出を決めるという奇跡的な勝ち上がりを見せたのです。
 
 壱岐監督は「本当に子ども達が最後まで毎試合毎試合諦めずにファイトしてくれたと思っています。荒井はPK戦で神がかっていて、絶対止めるぞという気迫を感じました。他の選手も勝負所でゴールを決めてくれました。難しい状況になっても諦めないでゴールを目指して欲しかったので、その点は嬉しかったですね。」と大会を振り返り、荒井選手をはじめ、全員が諦めずに最後まで戦い続けたことが収穫と語りました。
 
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↑急遽GKを務めたベガルタ仙台ジュニア荒井秀賀選手。本職ではないGKを務めながら3回のPK戦に勝利し、ベストプレーヤーに選出。
 
 ベガルタ仙台ジュニアからはキャプテンの郷家選手と共に、本職ではないGKとして3回のPK戦に勝った荒井選手が大会のベストプレーヤーに選出されました。荒井選手はこの大会を通じて「パススピードやドリブルの技術をサッカーに生かせるように今後も頑張っていきたいです」と今度は本職の攻撃的なポジションでの活躍に意欲を見せました。
 
大会レポート後編を読む>>
 
 
バーモントカップ全日本少年フットサル大会//
小学生年代におけるフットサルの日本一クラブを決める日本サッカー協会主催の全国大会。毎年秋から年末にかけて各地で予選が行われ、決勝大会は翌年の1月に駒沢体育館で開かれる。ハウス食品が協賛しており、バーモントカップと呼ばれている。
過去、第1回大会には、小野伸二(清水)、第9回大会には金崎夢生(名古屋)など、多くのJリーガーも出場している。
 
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取材・文・写真/小林健志

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