サッカー豆知識
「日本から欧州トップレベルの選手を」日本にいながらドイツを世界一にした育成方式で学べるスクールが描く展望
公開:2017年6月19日 更新:2021年1月27日
快晴の5月下旬、日独フットボール・アカデミーのセレクションがShonan BMW スタジアム平塚(平塚競技場)で行われました。
この日に集まったのは小学3年生から6年生までのサッカー少年たち。「ドイツ式の指導で選手を成長させ、ヨーロッパでプレーする選手を輩出する」ことをテーマに掲げる日独フットボール・アカデミーでは、どのようなセレクションで選手を見極めるのでしょうか?(取材・文 鈴木智之)
(セレクション終了後に挨拶するオッツェ校長、右はシュタルフ悠紀コーチ)
■才能は良い指導者によって引き上げられる
日独フットボール・アカデミーの校長を務めるのは、フランク・オルデネヴィッツ氏。オールドファンにはおなじみの名前かもしれません。ジェフ市原(当時)のストライカーとして、1994年のJリーグ得点王に輝いた人物です。
オルデネヴィッツ氏は自身の育成哲学について、次のように語ります。
「私の考えとしては、U12年代で必要なのはまず技術。この年代で戦術面で問い詰めたり、要求することは必要ありません。ヨーロッパのトップレベルでプレーする選手になるためには、まずは選手自身が才能を持っていること。その上で良い指導者に出会い、指導によって引き上げられていくのです」
この日のセレクションでは、5つのパートに分かれて審査が行われていました。ドイツサッカー協会が定める技術テストを通じて、選手のレベルを見極めていきます。
このテストは、グラウンドを5つのエリアに分け、ドリブル、パス、ヘディング、センタリング、シュート(ペナルティキック)を行い、プレーの様子をコーチがチェックするというものです。各ステーションは60点満点、合計300点が最高得点となります。
ドイツサッカー協会が定める、サッカー検定の内容は次の通りです。
1:ドリブル
方法:14m×14mのグリッドを作り、ドリブルをして3本のポールの間をすり抜け、角にある板に向けてボールを蹴る。跳ね返ったボールをコントロールし、前方にある2本のポールの間を抜け、角を回ってドリブルし、横に2本並んでいるポールの間をドリブルで通過し、スタート地点に戻ってくる。
1-17秒/18-21秒/22-25秒/26-29秒/30-33秒/34-37秒/37秒と、早い順に点数が高くなる。
2:キック
方法:横10mのライン上に立ち、4m先にあるボードをめがけてキックする。ボードに当たる跳ね返りを受けて、制限時間内に何回キックが成功するかをカウントする。
3:ヘディング
ゴールにテープをかけて、右上と左下のみ、ボールが通れるようにする。選手はゴールから4m離れたところへ立ち、ゴールポストの横に立つコーチから下手投げで投げられたボールをヘディングでゴールの右上か左下をめがけてシュートする。4回シュートを打ち、合計点をカウントする。
4:キック
20m先にある、6m×6mのグリッドをめがけてキックをする。グラウンダーではなく、浮き球でグリッドに入れることを目的とし、4回蹴って合計点をカウントする。
5:ペナルティキック(シュート)
ゴールにテープをかけ、6つのエリアに区切る。左右の上が20点、左右の下が10点、中央上が6点、中央下が2点とし、PKスポットから3回蹴り、成功した点数の合計をカウントする。
以上の5つが、ドイツサッカー協会が定めるサッカー検定の内容です。すべてのテストについて、コーチの主観ではなく、明確な基準が定められていました。こうすることで、コーチ個々による選手の評価にブレが少なくなります。
サッカー少年の子育てに役立つ最新記事が届く!サカイクメルマガに登録しよう!
文:鈴木智之