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サッカーのトレセンに選ばれる子のはどんな選手? 日本サッカー協会が選手たちに求めること

公開:2017年10月26日 更新:2024年1月19日

キーワード:JFAトレセン日本サッカー協会考える

■もう一つの目的「天井効果の排除」とは

結果的にチーム内でも一目置かれているような、上手な選手がトレセンに呼ばれると思いますが、チームではドリブルもシュートも1番で何でもできる子も、トレセンのメンバーの中に入ると突出するどころか、平均以下になってしまうこともあります。

これもトレセンの目的だと、須藤さんは教えてくれました。

例えば、足の速い子。自分のチームではロングボールを蹴り、足の速さでディフェンスを抜いて得点していた子も、同じように足の速い子が集まったトレセンのチームでは、ディフェンスを抜くことができません。

同じようなレベルの子が集まることで、それまでできていたこともできなかったり、一番でいられなくなったりします。

そこで、「考える」ことが求められます。どうしたら以前のように点を取れるのか、自分のプレーについて考え、挑戦する必要が出てくるのです。もし、ここで考えることを止めてしまったり、あきらめてしまったら、選手として1段成長の階段を上ることは出来ません。


育成年代では「自立」が重要です。自分で考えることも「自立」のひとつ。そしてサッカー選手にとって「向上心」はとても大事です。

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(写真はサカイクキャンプのものです。トレセンとは関係ありません)

また、トレセンでは初めて会う子たちとチームを組んでゲーム形式の実技も行います。そこで臆さず自分の持てる技術を出し切る力や、初めて顔を合わせた相手と意見を交換し合ってチームとして良いプレーをしようと挑戦する姿勢など、コミュニケーション能力や問題解決力のように、選手としての能力のほかに人間としてのスキルも見られています。

前述したように、テクニックがある、足が速い、など分かりやすいスキルを持っていることは、一つの選考基準にすぎません。

選ばれようとして独りよがりなプレーをして、仮にゴールを決めたとしても、コーチたちはそれ以外の部分もしっかり見て判断しています。ですから普段の練習態度やサッカーに取り組む姿勢、チームメイトとの関係構築がとても大事なのです。

もっとうまくなりたい子たちが、所属チームでは何でもできる今の自分に満足せず、同年代の同じレベルの子や自分より上手な子がいることを知ることで、刺激を受け、頑張ろうと考え、行動に起こすようになる。

トレセン制度があることで、子ども達がさらに上を目指す気持ちが育まれています。

次回は、トレセンの効果についてお伝えします。

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須藤茂光(すどう・しげみつ)
日本サッカー協会ユース育成ダイレクターおよびユース育成部会長。
元サッカー選手。現役時代のポジションはDFで、日本代表として国際Aマッチ13試合に出場。引退後はアンダーカテゴリーの日本代表監督や、Jリーグ、柏レイソルのコーチ、日本サッカー協会のナショナルトレセンコーチなどを務める。2014年、指導医者養成のサブダイレクター兼関東地域のトレセン担当となり、2016年より現職。

(財)日本サッカー協会 ナショナルトレセン概要>>

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文:前田陽子

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